第15話 色彩こころとしての今後の方針
「夕希ちゃん。入江さんからの伝言を伝えておくわね」
お母さんの話は唐突に始まった。入江さんからということはVtuberのことかもしれない。
「一つ目は、しばらくは日曜日にRe:live事務所に来てもらって配信をして欲しいということね」
「配信って基本事務所でやるんじゃないの?」
「違うわね。配信をやるための機材がないからこちらに送ってくれるらしいけれど。時間がかかるからそれまでの間は事務所でやることになったわ」
確かに初めて配信したときに傍にあったものが家にはなかったなとは思う。その機材が必要だと思うけどいうのは分かった。そして、一つ目ということは複数あることを示していることが分かる。
「次に二つ目、Re:liveの先輩の配信を見たりして、配信について学ぶこと」
先輩……。ボクは四期生だから一、二、三期生の人達のことだよね。初配信の反省も踏まえて学ぶことはいいことかもしれない。でも……。
「どうやって先輩の配信を見るの?」
「スマホがあるでしょ? それを使うのよ。……あっ、そういやこわれていたんだっけ」
「なんでボクのスマホ? について知ってるの?」
「なんでって、そりゃあ入院中に普通にベッドの隣に置いてあったから」
まぁ、いろいろわかったけど、スマホとやらが壊れているなら見れないよね?
「私の部屋にパソコンがあるから使い方を教えるわ。それと明日に夕希ちゃんの新しいスマホを買わないとね」
ボクの疑問は、すぐに無くなる。お母さんはこの疑問を想定しているようで明日の予定も決まったようだ。
「最後に、近いうちに四期生の他三人と会って欲しいということね」
四期生の三人……。たしか、
澄風トウカさんに、寝琴ねむさん。それと楽堂ミライさんだったよね。
コメントの言葉を見る限りだと、トウカさんが真面目っぽい感じで、ねむさんが名前の通り眠ることが好きそうだったな。ミライさんは何も考えてなさそうだった気がする。
「どうしてなの?」
そんな三人と会う必要があるのか。
「Re:liveでは配信者同士の仲を重要視しているらしいわ。だから、直接会って仲を深めて欲しいということよ」
「なるほど理解です」
「それじゃあ、二階の私の部屋でパソコンの使い方教えるからそれでご飯の時間まで先輩方とやらの配信でも見てなさいな」
ボクは階段を登っていくお母さんの跡を追い、登っていく。ちなみにここまで会話に参加していなかったお父さんはボクがVtuberになったことを知らなかったようで放心状態になっていた。
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「ここで電源をつける」
「ぽち〜」
「このマウスで画面の矢印を動かす」
「すい〜」
「そこで左クリック!」
「カチ〜」
「可愛すぎる……」
お母さんからパソコンの動かし方を学び、いざ実践。アドバイスのもと、動画サイトのヨウチューブを開くことに成功した。
お母さんは何故か胸を抑えて悶えている。
「じゃ、じゃあわたしは夕ご飯の準備してるから楽しんでね」
そう言いながらも胸を抑えて階段を下っていった。ボクはそれを見送り、配信中の二期生、犬宮りん先輩と里山狸央先輩を見ることにした。
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