第8話 お風呂に入りたい①
お風呂に入りたい
スナフキンの実験を終えて、私達3人は、美味しいランチを食べられた事に満足しつつ、次いつ食べられるだろうか?アイカの父アルクにも食べさせてあげたい、等を雑談していた。そしてアイカにとって、今晩必ずしたい事を『心のメモ』に書き留めていた事を口にするのだが、アイカにとって、耐えがたい文化の違いの壁にぶち当たる事になった。
★アイカの心のメモ
『絵を描きたい』
『お風呂に入りたい』
『美味しい物を食べたい』
「ディードさん、スナフキンの調理で焚火をして、煙たいから、お風呂に入りたいのですけど・・・。
自分の家にはないようだったけど、ディードさんの家にありますか?と尋ねたかっただけだが、またしても不可解な表情をされてしまった。
「アイカ、お風呂って何だ?」
そういえば・・・ラックもディードさんも決して清潔な服は着ておらず、肌は薄汚れている。アイカ自身も汗でべったり、転生前のアイカ自身が、一体いつお風呂に入ったのだろうか?異世界転生2日目にして、空腹以上に、お風呂に入りたくて、たまらない・・・「絵描き」の次くらいに、優先したい事項である。
「お風呂だよ?まさかお風呂が無いという事は・・・」
「アイカがアルクさんと魔道具ウオッシュを受けたのはいつだ?」
魔道具だって?ファンタジーの世界で、ついに出会ってしまったよ。まさか!と思っていたけど、やはり存在していた魔術が存在する世界、『アイカの心のメモ』に4つ目『魔法を使ってみたい』が加えられたよ。
「ねぇ!ディードさんとラックは魔法を使えるの?」
魔道具ウオッシュは、私にも扱えるのだろうか?しかしラックとディードさんが残念そうな表情をしている所から、恐らくふたりには無理なのだろうか?
「アイカ!どうしたんだよ?魔道具は、お貴族様しか使えないだろう?常識だぞ!」
常識だって?またしてもやらかしてしまいそうだ・・・前世のアイカの記憶にも薄っすらとしか残されていなかったのだよ・・知る訳ないよ!!
「魔道具ウオッシュは、月に1度、貴族街から下級貴族の士官見習いが派遣されてきて、村民に対して、清潔が保てるように、魔道具を施行してくれるんだよ。しかも銅貨10枚もするんだぞ!」
銅貨10枚は、高いのか?安いのか?それに月1回しか派遣されないという事は、貴重な儀式のようなモノなのだろうか?私は普通にお風呂に入りたいだけなのだけど・・・
「アイカ、あなたは教えられていないかも?しれないので、アルクに代わって大事な事伝えるわね。」
ディードさんは、難しい顔で、魔道具ウオッシュについて教えてくれた。
大陸エーファの女王が定めた規則があり、国民は、月に1度は、清潔を保たなければならない、と定められている。理由はある。100年ほど前、疫病が大流行し、かなりの死者が出たらしい。それから病気をまん延させない為、月に1度は、魔道具ウオッシュで衣類と体を綺麗にしなければならない。ルールを破った者は、罰金がかせられ、払えなければ、奴隷落ちされてしまうらしい。何て怖い事を!!
あれ?待って欲しい。アイカ自身の記憶の中で、魔道具ウオッシュを使われた記憶があまり無いのだが・・どういう事だろう?
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