第7話 スナフキンの実の実験③

スナフキンの実の調理実験を終えた3人は、ディードの家で水を飲みながら、ティータイムとなった。

ふたりからスナフキンの感想を聞くのが楽しみだけど、その前に・・ティータイムで水って!どういう事?ここでも異世界文化に驚かされた。


「ディードさん、一般的に飲み物って水だけですか?」

本当に水しか飲まないのだろうか?果実ジュースがあって欲しい!


「平民の私達には、水がほとんどね。でもトフスラン(牛)から取れる乳は、祭事の時は飲むわよ。」


果実ジュースは?と言いたい言葉を、グッと堪えた。家の前に生えていたタンポポもどきの野草からタンポポーコーヒーが出来るかも?と色々アイデアが湧いてくる。しかし今回の流行りは、スナフキンの実の実験だけだよ。これ以上は徐々にだ!この世界の常識を調べてからでないと・・・私は目立たちたくない!勝手に流行りを発信した事で、命を狙われるような事があったら、「絵を描く」私の野望が叶えられないわ!!!

絵描きが、最重要事項なのである。


「ディードさん、ラック!スナフキンの実から2通りの調理の実験をしたけど、率直な感想を聞かせてもらえますか?わたしは、素朴な味でとっても美味しかったのだけど?」


ふたりとも生まれて初めて味わった調理方法に、違和感を感じつつも・・・美味しい物を食べた時に、驚愕な表情をしていた。間違いなく美味しかったのだろう。


「アイカ、俺、こんなに美味しい物・・・食べた事がないぞ!マジ美味い!!」

ラックは身体を震わせながら、感動を表現してくれた。


「ディードさんはどうでしたか?子供の頃、生のスナフキンを食べた時と違い、お腹は痛くなりませんでしたか?」


「これまでムーミンの飲み物しか私達は知らなかったけど、食べるという行為は、家畜であるトフスランしか見た事がないのよ。家畜と同じ行為をする事に、正直戸惑いを感じるし、リジー村に住む他の村人たちが受け入れてくれるか?疑問に感じるわ。でも・・・・」


「ディードさん、最初だけですよね?

一口食べたら、誰もがお腹の満足感とスナフキンの甘みのある味わい深さに感動する事だろう!」


「そうね・・・でも、たとえ美味しい調理方法であっても、スナフキンは、貴重な実であり、毎年春頃の3月~5月くらいしか摂れないから。年中味わえるものではないわね。だから今は、私達だけの秘密にした方がいいわね。それでいい?アイカ!」


ディードは、大人の意見として、スナフキンが村人の主食になってしまうと、本来トフスランの餌として、保存する実であるから、大切に扱われる食材である事が分かった。しかし予想以上に美味しいスナフキンの調理方法の発見に、私達3人は、大満足である。

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