第9話 お風呂に入りたい②

「魔道具ウオッシュを使用しないと罰金になるのですか?」


もともと大陸エーファの女王が、疫病の大流行を生じさせない事が目的だから、川で水浴びしたり、他の方法で清潔にしていたら、罪に問われることはないようだが・・・。アイカは自分自身が決して清潔でない事に、今更ながら実感してしまう・・・私少し匂うような。。


女の子だよ!しかも見た目は、かなりの美少女なのに、近づくと臭い女子なんて・・残念過ぎるよ・・・嫌だ!勘弁して欲しい!!!

それにさっきからスナフキンの実の調理していたのに、気付けよ!私。

もしかしたらラックたちは私の事臭いと思っていたのでは?アイカ、お前臭いんだよ!なんてう~ん。。。耐えられないよ・・・とにかく早く清潔にならなければ!!!アイカは固く決心をするのであった。


「私、魔道具ウオッシュに興味があるけど、それよりもお風呂に入りたいです!最悪・・・川で水浴びしたいよ!」

このままでは不潔な状態で、罰金が払えなくて、奴隷落ちなんて、ありえない事だよ!!


「本気か?アイカ!今の季節は、雪が残っていて水浴び何て、ありえないぞ!」

どうやらリジー村は年中、気候が低いので、水浴びは自殺行為のようだ。魔道具ウオッシュで銅貨10枚を支払う事ができない家族は、天気が良く、気温が高めな時に、極稀に覚悟を決めて入る事はあるらしい・


さっきスナフキンの実を茹でる時に、お湯をかまどで沸かしていたから、お湯を沸かす事自体は、誰にでも出来るだろう。トフスラン(牛)の水桶があるのだから、お湯を水桶に入れたらお風呂は完成だ。


「ディードさん、ラック!今からお風呂を沸かしませんか?」


「アイカ、さっきから言っている、お風呂って何だ?」


「お風呂だよ!私が今から、お風呂の準備をするから、絶対に気に入るから、私に任せて!!

ふたりは満足する筈だよ!!」

トフスランの水桶を借りても良い?水を溜めておくだから、汚くはないよね?先ほどのスナフキンの実の新たな発見もあったので、ディードとラックは、アイカに言われるがままに、夢見の神の悪戯が、アイカに新しい発見を与えてくれたのだろう、と納得させているようだ。


アイカは、自分の家とディードの家両方で、ひたすらお湯を沸かした。お湯を沸かす事は、どういう訳か思ったより早い。ディードとラックも少し不思議がっている。


「母さん、いつもよりお湯が沸くのが早くない?」


「本当ね。アイカの熱量が魔力みたいなものかもね?」

ディードは、どうやら本気でアイカから魔力が流れていて、お湯を沸かす作業を助けてくれているのだ、と冗談半分で言っている。異世界転生したアニメの主人公は、たいてい魔力が高く異質と決まっている。私ももしかしたらそうなのでは?と怖いようで・・・しかし恐らく間違いないだろう。アイカ自身も、前世では、絵を描く事以外に情熱を向ける事はなかったのに・・・


性格が明るくなっていて、何事にも前向きになれている自分が好きだ!と思えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る