第9話 協定
決闘から一週間がたった今。リアはいまだに登校してこない。明らかに俺との決戦の結果が影響しているのだが、どうにも俺が悪かった所は見つからない。何が彼女をここまで壊したのか、それを確かめるために、俺はイリスに教えてもらったリアの寮の部屋の前まで足を運んだ。
俺はコンコンとドアをノックし、リアに呼び掛けた。
「リア・ベストリア。俺だ。ダクネス・ロードルだ。今日は少し話がしたくてここに来た。ドアを開けてくれないか?」
そう、俺だ言うと、部屋の中からどたばたとした音が聞こえ、ドアが開いた。
「な、なに?」
ドアから覗いたリアの目元は隈が出来ており、あまり寝れていないことが分かった。そしてその顔はなぜか恐怖でいっぱいの顔をしている。そのことに若干の不信感を感じながらも、俺はリアに言った。
「さっきも言ったが少し話がしたくてここに来た。部屋に入れてくれないか?」
「……」
リアは俺を訝しむような眼で見ながらも部屋に上げてくれた。
「……なぜ下着姿なんだ?」
「だ、だって急に来るから。早く出ないと何されるか分からないし、怖いんだもの。慌ててドアを開けたらこの姿だっただけで…」
「まあいい」
俺はリアの部屋の中にあった椅子に座る。リアは向かいのベッドに腰かけた。
「そ、それであなたは何が聞きたいの?私の泣き声?許しを請う声?それともあ、喘ぎ声?」
「何を言っているんだお前は?俺が聞きたいのはお前の俺に対する感情と学校に来ない理由だ。お前の喘ぎ声など興味は……ない」
「その微妙な間はいったい何?まぁ、いいわ。学校に行かない理由ね」
正直言ってこれほどの美少女はなかなかいない。男として喘ぎ声が聞きたくないわけではない。下着姿であるから突き出たものに目が移ってしまう。がそれだと話が進まない。俺は理性を総動員し、話を促した。
「私が学校に行きたくない理由はあなたがいるからよ。私の初めての敗北。それがあなたとの決闘だった。いままで一度も負けてこなかった私が初めて負けたの。心が折れたというのかしら?このままでは学校に行ったところで無様な姿を見せるだけ。だから行きたくないの」
「ふむ。なら原因は俺というわけか。そうか、それはすまなかった。だが俺にも体面というものがある。あんなところで負けるわけにはいかないんだ」
「そんなこと関係ないわ。私は常に一番じゃなきゃ気が済まない。だけどそんな考えも貴方によってぽっきりと折られた。どう落とし前着けてくれるの?」
・・・なぜか逆ギレされる。おかしい。決闘を申し込まれたから戦っただけなのに。
しかし俺は解決方法を見つけた。それは、
「俺と協定を組め」
「協・・・定・・・?」
「要するに奴隷、駒か?つまり、お前は俺のために行動し、俺はお前を強くする。そうすればお前の求める称賛の目を集めることができる。俺はお前を使い、この学校でトップを取るための行動を起こす。どうだ?まさにwin-winだろ?」
俺はそう、提案を持ちかけた。俺にもリアにも利益がある提案。
「……あんたそれ正気で言ってんの?だとしたら頭がおかしい。人を奴隷とか言って利用するだなんて」
「頭がおかしくても何でもいい。俺はこの学校でトップに立つことさえすれば何でもいい。受けるか?受けないか?」
「……わかった。その協定受けるわ。ただし、私のことを本気で強くさせなさいよ」
「ククッ、ああ。約束しよう。ダクネス・ロードルの名に懸けてなァ」
こうしてリアとの仲直り及び協定の締結が終了した。
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