第6話 序列

「決闘は個別で教師に頼み込み、序列順位が自分よりも上のものと戦うことができる。詳細はこの紙に書かれているから目を通しておけ」


 アメリア先生はそういうと、一枚のプリントを配布し始めた。手元に回ってきたプリントに目を向けると、そこには以下のことが記されていた。


◇◆◇◆


・序列を上げるためには決闘を申し込む必要がある。


・前提として、この学校の序列は全国公開され、国民は序列を見ることができる。


・年に四回、全校生徒が必ず行う決闘があり、その決闘は全国公開され国民は観戦することが出来る。


・決闘では支給された木剣を使い、模擬戦を行う。その際、魔法の行使は許可する。


・決闘は序列が下のものが上のものに申し込むときのみ、成立する。


・決闘で序列下位の者が序列上位のものに勝利した場合、その者の序列を獲得できる。


・序列上位の者が序列下位の者に敗北した場合、その者の序列に下がる。


・序列下位の者が序列上位の者に敗北した場合、その後三ヶ月は同じ者と決闘を行うことはできない。


・決闘を申し込まれたらそれを拒否することはできない。(体調不良等で試合ができないなどの特別な理由を除く)


・どちらかが先に一本を取る、もしくは場外をしたら試合終了となる。


◇◆◇◆


「プリントに一通り目を通したら次はこっちだ。今のはあくまでも学年序列。これから開示するのは学校全体の序列だ。自分がこの学校でどれほどの位置にいるのか、確認しろ」


 アメリア先生は学校総合序列を開示した。だいたい六十人ほどの名前がずらりと並んでおり、俺は真ん中らへんに位置していた。俺の上に一年の名前は無い事から、結構優秀な部類に入るのではないだろうか。


「自分の序列に不満な者は今から決闘を申し込むことが出来る。ただし、今日から二週間は学年内のみだ。決闘を申し込みたい奴はこのHRのあと、私の所に来い。何かこれまでのことで質問事項はあるか?」


 質問事項は無いようで、誰も手を上げる事は無い。アメリア先生は一度頷くと、


「では、今朝のHRを終わりにする」


 その言葉を聞いた途端、三人ほどの生徒が椅子から立ち上がり、先生のもとへ向かうと、決闘の申し込みを始めた。最初に、先ほど真っ先に不満の声を上げたリアというが先生に申し込みに行った。


「先生、早速ですが決闘を申し込みたいと思います。私の所望する相手はダクネス・ロードルくんです」

「先生、俺もダクネス・ロードルに決闘を申し込みたいと思います」

「僕もよろしくお願いします」

「そうか。わかった。おい、ロードル。早速決闘の申し込みだ。本日については授業は何も無い。早速今から始めるぞ。ついてこい」


 そう言うなり、アメリア先生は椅子から立ち上がり、とっとと教室から出て行った。俺に決闘を申し込んだ三人は、一斉に一度俺のことをにらんだ後、先生が消えていったドアに向かって歩いて行った。


「あ、が、頑張ってくださいね。ダクネス君」


 イリスがそう励ましてくれる。ありがたい。しかし、なぜあの三人は一度に俺を狙うのだろうか。どうせなら一つとか二つ上の奴を狙って一個ずつ序列を上げて行った方が良いように感じるが。まあ、いい。俺のため、家のために俺はこの学校でトップを取る。その邪魔をする奴らは全員叩き潰すまでだ。

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