第3話 炎の騎士と再戦す

「おい!ザガラッド!あいつのこと解ったのか?」

「はい・・・それが・・・異世界から召喚されたと言う事以外は何も」

「ったく役に立たない奴め!」


「お前!出ろ!それからお前もだ」

「あたし?やった!長かったなぁ・・・」

「私出られる?ようやく帰れるのね」


「二人ともこれに乗りなさい」

といわれて私とモニカが乗せられた馬車

何処へ行くのかと思っていたら、いつぞやの王宮だなぁこれは

「メラニー・アップルガーさまのお部屋へお連れします」

それって国王の名前じゃないかなぁ・・・


いくつもの部屋や廊下を通り過ぎ

「こちらでお待ちください」


大きな部屋、シャンデリアが豪華だなぁ・・・

「どうぞお入りください」


大きな扉を開けて入っていくと赤いじゅうたんの彼方の玉座に

「マリア・ミナカミ、いつぞやは失礼した、

 あなたがあれほどの実力者だとは思わなかった。申し訳ない」

「はぁ、これから私は帰れるのですよね?」

「そうしたいのだが・・・ザイード教えてあげなさい」

「はい、マリアさま、帰れるのは帰れるのですが、ちょっとお時間を・・・」

「えっ!すぐ帰れないということ?」

「大変申し訳ないのですが、もうしばらくこちらに滞在していただくことに」

「えええええーーーー学校にいけないよぉ」

「いやいや帰れないわけではないので、その辺ご理解を頂きたく」


すぐに帰れると思ってたのに・・・

パパ、ママ、ミリアは心配してるだろうなぁ。

学校の友達も、剣道部の仲間も・・・どうしよう???


「マリアさま、モニカさま、こちらへどうぞ」

「うわぁ凄ぇ部屋だな、ここに泊まっていいのか?」

「お二人でお泊りいただきます」

「おい!マリア、これは凄いことだぞ」

「・・・帰りたいよぉ・・・」

「泣くなよ、あたしまで悲しくなっちゃうだろ?」

「あ、ごめん。でも・・・」

「解るよ、家族がいるんだろ?帰りたいよなぁ。まぁでも帰れないとは言ってないし

 いずれ帰れるんだから、もうすこしここで頑張りなよ。あたしも付いてるからさ」

「ありがとモニカ」

「良いって事よ」



「ジョーイさま、次の試合は明後日ですが・・・」

「解ってるよ!あいつは出て来るのか?」

「一応出場予定者の中にいます」

「そうか!それは良いことだ!徹底的に殺ってやるぜ!」


王宮の中に一部屋あてがわれたマリアとモニカ

「あーヒマだなぁ・・・お前何してんの?」

「えっ、あ、これ?素振りっていうの」

「スブリ?」

「そう、剣道の練習だよ」



【今日もあのサド女王・炎の騎士ジョーイ・ステヴェンソンの登場だ!】

【前回敗れたマリア・ミナカミをどう料理するのか!はたまた敗れ去ってしまうのか】


コロシアム控室

「ううううう・・・・ぉぉぉぉぉおおおおおお!」

「ジョーイさま落ち着いて!」

「これが落ち着けるかって!あいつをボコボコに出来ると思うと

 ゾクゾクしてくるんだよ、解るか?」


(あの子も可哀そうだなぁ・・・ジョーイさまに目をつけられて

 生きて帰った子はいなかったしなぁ)


「マリア、今度も勝つんだろ?」

「いやそれは解らない、けどいつも通りのことをすれば良いかな」

「ずいぶん、落ち着いてるんだな」


【さぁ炎の騎士ジョーイ・ステヴェンソンの登場だ!】

奴隷と化した女たちの担ぐ神輿に乗せられてジョーイがコロシアムに入場

【つづいて、そのジョーイを負かした唯一の女性マリア・ミナカミだ】

モニカを従えてコロシアムに入場するマリア、以前に比べると余裕の表情だ


「おい!おまえ随分と余裕だな、だがそれも今日までだ!

 覚えておくが良い、この国の最強女子はこの私だと言う事を!」


マリアはジョーイが言ったことは全く聞いていなかった精神統一中だったし。


【さぁいよいよ本日最後の試合!スタートです!】


スッと剣を抜くジョーイ

対して前回と同じく、剣先をジョーイに向けて、じりっじりっと前へ進むマリア


その瞬間ジョーイが上段の構えのまま突進してくる。

「マリア!あぶない!」

だがモニカの心配は杞憂だった


どーーーーーーう!!!!!!

剣を横に薙ぎ払うマリア


うっ・・・

あまりの強烈な衝撃にうずくまるジョーイ


うううううう・・・・・


そこへ


めーーーーーん!!!!


ガシャ!

ジョーイの兜がまたもや破壊された


ぐはっ・・・

ぐぅぅぅぅぅぅ・・・・


【おーっと炎の騎士ジョーイ・ステヴェンソン!立ち上がれない!!!】

【マリア・ミナカミのKO勝利です!】


静まり返るコロシアム


「なんて強い女なんだ!」

「あのジョーイを2度も負かすなんて」



「モニカ、帰ろう」

「お、おおぅ」


第3話 完


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