第3話

―――2月14日 収監室前―――


「何かまずいんじゃあないか…?」

後ろから、まるで勝ち誇ったような顔で

こちらをレッドポリエスは見てくる。

二人は何かを察知していたが、

気づくことなくマカノチタは発動条件を終えていた。


「それじゃあ、トドメと行きますか!」


と、進んだ瞬間ゴゴゴゴゴゴゴと

建物が壊れる音がしたのだった。


「なッ!?何かが降ってきているのかッ!??」


ジェマーネシャルは冷静に考えながら

状況を理解しようとした。

そして、次の瞬間二人に襲いかかったのは

「小惑星」だったのだ。


「うっ…嘘だろぉおおおおお!???」


「これがの私のマカノチタでぇす。

「明日世界に星が届く」(ラララプラネタリア)は

発動して、日付が変わったら

能力は発動し、私に命の危機が訪れれば

訪れるほど小惑星が隕石となって

降ってくるのでえぇす。つまりぃ無敵ィィ」


「クッソ…悠長に説明しやがってェ!

     『篭城!!!』」


ジェマーネシャルは篭城を出せたには

出せたにしろ隕石の猛攻には耐えられず…

レッドポリエスには近づけないのであった。


「バイオーネェ!お前が右目を

石に変えた影響で無限に隕石が振り続けてしまう

(目が無い→鬱→自殺なども精神上考えられるため)

マカノチタは解除できないのか!?」


「無理だ…一度売買が成立してしまった時点で

物体の概念自体に固定ピンが打たれたような

状況になってしまっている……能力は解除できない…」


ジェマーネシャルの希望は

呆気なく潰されてしまうばかりで…

もう、道には小惑星の破片が散らばっている。

そして、避け続ける体力にも限界が来てしまう。

ビュゴォォオオオオオオオ!!


「つッ!!!!!まずい…非常にこのまずい何だァ…

とにかくヤバイんだ!隕石の穴から地上に出るんだッ」


ジェマーネシャルの起点の効いた作戦に

バイオーネは希望を感じつつ、

隕石の通り道だったところに


駆け込んでいった………だが、何者かに足を

引っ張られていた。


「逃がしませんよぉお〜」


「クソッタレェエエエエ!!

 「鏡花売買」ィィイイ!!」

タ〜タラタッタラタラタラタ〜〜♪


「うぉおおお!!拳銃で足をッ!撃つッ!!

そして、金に出してテメェの足を買わせてもらう!」


160万円(余り分)-160万円!!買い取り完了!!!

ブチッ!!!!!


「いっっっってぇなァァァ!!!

畜生畜生畜生畜生畜生畜生足がなくても逃さねィ!!!」


「嘘だろッ!??」


レッドポリエスはジェマーネシャル達が

思っていたよりもしつこい刺客であった。

ジェマーネシャルはバイオーネが

交戦している間に「篭城」で狙い始めた。


「チャンスが…来ないッ…アイツ早すぎんだよッ

何とかして遅くしてくれよぉおぉ……」


篭城は「チャンス」が来ないと発動できない

厄介なマカノチタ(防御は前提条件として)

篭城戦においても、引きこもりつつ

戦うため、チャンスが必要になるのだ。


ジェマーネシャルは慎重に

集中して深呼吸を繰り返した。

バイオーネはかなり疲労が溜まってきていた、

計画の失敗がここまで大幅なものだとは

思えなかったからである。


「おおぉいぃ連れの方はどうしたんですかぃ?」


「なッ気づかれたッ!?」


ジェマーネシャルは慎重に、慎重に

篭城を当てようとしていた。だが、その行為が

足枷になっていたのだった、


ヒュゴォオオオオオオオオオオ!!!!

ドガァアンンッ!!


―――――――――――隕石は落ちた。


「ジェッ…ジェマーネシャルゥウ!!?」


砂や土の風が入り乱れている。

勿論それは、レッドポリエスの方にも……


「なッ……対象物が多すぎる

バイオーネはどこに行ったのだ!、?」


レッドポリエスは眼球を石に変えられ、

さらに足も売買成立されていた。

視界がないので感触で判断するしか無い。

そこに砂は飛んだ、気配を感じるのに

全力をかけていたため、そこに

手が回っていなかったのだ。

そして道ができた。


「チャンスはできた。今、撃ち込む……喰らえッ!」


ドンッ!!


キュィイイイイイイイイイイイイン


「ッッッ!?!!」

ジェマーネシャルは考えていなかった、

隕石の速度は(大きさはランダム)殺意の距離に

反比例している。殺意のレベルは大砲が当たるとき

最大レベルに達していた。

隕石の速度はMAX、高速に満たない程度の

スピードでジェマーネシャルの頭を貫いた。

ヒュガッッ!!!!!      




「ジェマーネシャルゥウゥウウウウ!!!」




だが、大砲はしっかりと

レッドポリエスの心臓を貫いた。

チャンスは成立していたのだ。


だが、同時にジェマーネシャルの命にも

危機が及んでいた。

バイオーネは叫んだ。脱獄はできた。が……


「鏡花売買!!!」


タ〜タラタッタラタラタラタ〜〜♪


「何かを代わりに詰めなくては……

レッドポリエスから取るか……」


バイオーネは決死の決断をした、

脳の売買によっては何かが起きてしまう。

不安に押しつぶされそうに、なりながらも

バイオーネは今までの余り分で売買を成立させた。


ビシィィイイイイッ!!!!!!


「頼む……どうか上手く行ってくれ………」


バイオーネは天に祈った、

そして、ジェマーネシャルは起き上がった。


「くッ……はぁ…はぁ…レッドポリエスは……

どうなっ……た……」


「ジェマーネシャル!!!」


ジェマーネシャルは息を吹き返した!

そして、彼の能力にも変化があった。


「何か力が湧いてくるぞ………!???

    『篭城ゥ!』」


ドォォオオオンと現れたのは

これまでの姿とは違い、星の形があり

大砲発射部分は望遠鏡の先のようになっている。

これはマカノチタの性質上にあった。


マカノチタとは

生まれたときに天から授けられる力であり

多種多様なものがあり、メリットがあれば

必ずデメリットもある。

マカノチタは隠された力であり

使えない人は「使い方を知らない」

生まれたときに、ごく一部の人に

使い方が授けられる。使えない人は

どうやっても使えないのだ。


脳が一部レッドポリエスに変えられたため、

篭城に明日世界に星が届く(ラララプラネタリア)の

能力が一部引き継がれたのだ。


「これじゃあ、まるで

篭城・プラネタリアだぜ……へへッ」


ジェマーネシャルは苦笑いしながら

バイオーネに声をかけた


「バイオーネェ!

本部が再開するまで小さなチームでも

作ってテロの犯人を探そうぜ!」


「いぃ…んじゃあないか?

今日はバレンタインデーだし、

バレンタインデイズとか?」


半ばお遊びで作ったこの名が、

遠い未来、誰もが憎む名になることを

まだ知らなかった。


第三話‐完‐

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