第2話:Room2
Room2。二つ目の部屋を舐めるように見回すけれど何も成果が上がらない。実際に舐めてみようかと舌先を伸ばした所で存在しないはずの衆目を恥じらい、空気だけでもゆっくり味わおうかと大きく埃を吸い上げる。空気に一家言のある美食家は食感に少しの違和を覚えつつ、ナンバリングの途絶えない部屋は何処まで続くのかと気になった。Room1への戻り口が無いことから一方通行の運命は拒むことが出来ず、二度と確かめられない部屋の輪郭をもう一度味わおうと深呼吸した。話を戻して、「何も無い場所に居たい」「消えたい」という想いは何か事件を発端とする症状ではなく先天的に埋め込まれた三大欲求と並立し得る生理的衝動。だから皆保険の有難味を忘れていたのが奇跡的だったし、こうして空白地帯が現実となったのは日頃の行いのお蔭、あるいは既に他界を済まし行き着く先は死後の進路相談室なのかもしれない。このまま何も無い状態が理想的だとは思いながら、何かを求める身体が次の部屋を襲う。
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