第1話
公園の噴水は中央はご派手に噴いているが周りは衰退しているのか円形状に構成されているはずのに歯抜けであり迫力がなく病んでいる。
「おじさん、いつもそのコーヒー飲んでるけど美味しいの?」
背後からわかるキラキラと輝いた。
コーヒーは飲んでいたがこの声の知人は博にはいない。声に無視をしてコーヒー缶に口をつけてくっと顔を持ち上げると博のすぐ後ろに女性の顔があった。
近い。
博がもう少し缶を空に掲げると後頭部画接触していただろう。咄嗟に座った体制のまま数歩前に出て振り向く。
「おじさん、聞こえてる?」
女性は博とそんなに差はないように見えるが博は高校生くらいから周りから見てふけ顔で高校時代興味本位で買うときにタバコ屋のおばちゃんに年齢確認をせずに買えたくらいしかこの顔で良かったとは思わなかったという。
「俺はまだおじさんと言われる年齢ではないが、」
「そうでしたか、これは失礼。無精髭を生やして、ソフトハットを深くかぶり、ベージュ色のトレンチコートどこかの大泥棒を追っている刑事さんみたいでしたので。」
「いやいや、あの警部は設定では29歳で俺はその1歳下で28だ!まだおじさんではないだろう」
そうでしたか。失礼しました。と一礼し、上がってきた顔には笑顔があった。
「ねぇ、毎日、この時間にこの場所でそれを飲んでるけど美味しいの?」
「こいつは、俺のガソリンだ。うまくもないし不味くもない。」
女性は佐々木の言葉を聞きつつベンチの横に備え付けられた自動販売機の前に立ち佐々木が飲むコーヒーを買った。
「よく、美味しくないと言ってる横で買えるな。」
「不味いってものの味を知りたくて」
彼女は缶の栓を開けて缶コーヒーのショート缶を飲み干し、自動販売機の横に備え付けてあるゴミ箱に捨てた。
「美味しいですね。ガソリン」
博の方に振り向き笑顔を見せる。博はその笑顔を見てかわいいと思ってしまい顔を少し赤らめて顔を反らす。
「おにいさん、今から予定ある?」
おじさんからおにいさんに呼び方が変わり博は戸惑いつつ、いつもハローワーク後は、スーパーへ行き晩御飯の買い出し程度のため。特にはと返した。
では、ついてきてと博の右手首を掴んで引っ張り小走りで公園を後にする。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。私は富田桜子。宇宙人なの。」
彼女に手を引かれて気がついた。彼女からフローラルないい匂いがした。
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