凡人王
碧山
プロローグ
日曜日の朝に放送されていた変身してあしき悪しき者を成敗する特撮番組を見てヒーローに憧れる子供の横であっあれ痛そーとかそうだ、やれやれ!何が正義だとおじさん臭く悪役を心のなかで応援しおり、遊園地や公園でおこなわれていたヒーローショーで弟は当時の小さな手を力強く握りしめ、目から光線が出るのではないかと思わんばかりキラキラとした目をして頑張れーと叫んでいた。その横で、私佐々木博は、同じ子供でありながらヒーローとの写真撮影時にヒーローにキックをかましてイタっとの太いおじさんの声がしたのを聞きつつ悪役さん仇を取ったぞと心の中で思っていた。
おじさんくさい性格なのは名前のせいだと思っており、平成に博と言う昭和初期の人ですかと言わんばかりの古い名前であり、昔小学校時代の課題であなたの名前の由来を聞いてきて発表する課題で母親に確認したときに。あんたの名前はお母さんが華々しい学園生活を送っている時に超人気だったアイドル、滝川広志さんから取ったのよと言われたがひろしはひろしでも漢字が違うそこを問い詰めると親父が役所に提出する際に博と書いて提出しまい訂正しようとしたが、事務手続きがめんどくさくなりそのままと言うことになったと言う。何が華々しい学校生活だ。今は一日中家にいて日が暮れたら浴びる様に酒を飲んでいつの間にか床で寝ている
全国のひろしさんには大変申し訳ないが、私は自分の名前が大嫌いだ。
「佐々木さん…佐々木さん聞いてますか?」
「あっ、すいません…もう一度お願いしても」
はっと我に戻るとそこは役所の二階にあるご老人の溜まり場と言ってもいいであろうハローワークそう、私は転職先を探している。
「もう一度言いますが、株式会社Longさんの選考結果ですが、採用枠が既に埋まっている為、今回はご希望に添えないとのことでした。」
「まっ、まだ選考結果貰えていない企業さんも数件ありますので大丈夫ですよ」
あっはい、と返事しつつカウンセラーの励ましの言葉を受け流して、ありがとうございます…とカウンセラーとは目も合わせず、礼を言って席を立った。
パソコンルームへ行き、一時間程度求人検索をおこない役所を出ると、役所の前では女の人が立ち就職のビラを配りその後ろには、黒のワンボックスカーいかにも怪しい、佐々木はビラを手渡されるが、軽く会釈をして通りすぎる。
このままではいけないとは自分では感じるが自分の切り札にも枚数がある。大学まで行った。6年家電量販店で販売員として勤めた。ペーパーだが運転免許と…そのくらいか
いくら頭を揺すってももうでてこない。本日も役所を出ると大道理の向かいの噴水のある大きな公園のベンチでホットの缶コーヒーを買って一息つき、
「おじさん、いつもここにいるよね」
振り向くと、佐々木より若い女性がそこにいた。
「そのコーヒーもいつも飲んでるけど美味しいの?」
これが、俺の平凡生活の分岐点であろう彼女、
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