転移成長期。第一話「転移。」
「ん?ここは何処だ?」
先程の不思議な浮遊感も消え去り晴れて異世界へ来たのだ。
目がぼやぼやする。視界が暗い。
「ты проснулась?」
やばい、何言ってるかわからない。
声の低い渋く安定した声が聞こえる。
目を擦り辺りを見渡した。
俺は赤いカーペットに横たわっている。
ついでに防具と竹刀も一緒だ。
見よこの剣道魂ってな!。
でもやっぱり、ここは異世界なんだな。
あたりには中世ヨーロッパから近世ヨーロッパを彷彿とさせる装いをしている貴族のような人や、見るからに重そうな甲冑を着ている兵士に騎士、小銃を持っている人もいる。
そうして赤のカーペットの先には、そう、やはり国王だ。国王かはわからないが、見るからにそうだ。
大きな金鍍金の玉座に座るは大きな体の持ち主。
冠を頭につけ、赤いマント、それに肩章が見て取れる。それ以外にも玉座の隣にいかにも高そうでいて強そうな剣。
その反対にティアラをつけて、ドレスを似合わせている人___王女がいる。
『勇者特定スキル【言語理解】が適応されます。」
ん?何だ?。急に頭に声が直接響いた。
その声は女性らしく共に美声だ。
それにしても、勇者特定スキル【言語理解】か、まぁー便利だな、これが地球にあれば英語なんて全て満点なのに……まぁそんなこと考えても時間の無駄。
俺は首を左右に振った。
「起きたのか?」
ん?わかる、わかるぞ!これが言語理解。
国王のような人が、俺に声をかけた。
さっきの渋い声だ。
「あ、はい。」
「ほう、其方。名前は何と言う?」
王らしき人が俺を尋ねた。
一応偉そうな人なので跪いて答えた。
「我、日、出る國の神にて選ばれし勇者___神宮寺 香久夜であります。剣術はしたことありませんが、剣道は我ながら極めております。どうぞお見知りおきを。」
王に接する態度としてはこのくらいが上出来だろう。
「ほう、其方は、香久夜というのか、良き名だ。我はこのグラスタナヤ王国代18代国王である、アルグラド・ルルー・グラスタナヤである。」
王は強いオーラを存分に出しいて答えた。
それに思わず感激を受けた。本当に異世界に来たのだと。そしてこの人は正真正銘の王であると気付いた。
「ご丁寧に御挨拶有難うございます。」
「香久夜よ、其方は我々が呼んだ身である。そう畏まらなくても良い。逆に畏まられると接し方に悩む。」
王の命令というならばと思い敬語を使うのはやめようと誓った。
「はい、アルグラド国王がそこまでいうのであれば。」
「貴様!失礼ではないか!いくらアルグラド国王陛下が仰せになってもそれを本当にやめる奴があるか!」
貴族のような人が急にキレ出した。
これ多分関わっちゃいけない人だ……
異世界にもいるんだなこういう人。
「辞めたまえユーマイル伯爵!、我はこの香久夜殿に畏まられたくないのだ!、今後魔王討伐の為話していく上で良好な立場にならねばならぬのに其方は何をする!!」
王は怒った。
なんかいきなり強い味方がついたな?そう感じた。王が味方ってこんな気持ちなのか
「んん、失礼した。おいバイード兵隊長、ユーマイル伯爵を部屋から出せ。」
おおおお、ちょっとやりすぎやしませんかなぇ?王は眉間に皺を寄せて命令した。
「ヒィ、はい!仰せのままに」
兵隊長さんもビビり散らかしている。
それもそうだ。王直々の命令で動くのだからさぞ任務は重いだろう。
兵士らは動いてユーマイル伯爵をつかまえた。
「や、やめろ!!」
ユーマイル伯爵が喚き散らかしている。
駄々を捏ねるこどものようだとついつい思ってしまうのは俺だけだろうか。
「動くな!動いたら征伐する!」
兵隊長が怒鳴っている。そうして肩を兵二人に持たれで出ていった。
「すまない。我が国の愚民が変なことを呟いた。」
アルグラド国王の権力の強さと怖さを両方されたかもしれない。
「大丈夫ですよ、このくらい。それで私はどうすれば?」
自己紹介だけして、そっからは自由……とはいかないよな。一応聞いておくことは大切だ。
「そうだ。まず香久夜殿には魔力検査や適合魔術、それに神聖魔法の有無等調べてもらう。それに事前神に言われた通り、香久夜殿の【神の力】はどのような力であるか、というのも検査する。」
「はい。わかりました。」
王は淡々と話してくれた。理解しやすくそれでいて短い。王としての風格や知能力の高さが窺える。
「我らはここで待っている。そこにいるメイドのユターシャに検査室に連れて行ってもらえ。」
横を向いた。そうしたら、白銀の髪を纏わせた何とも美しい女性のメイドがいた。
紅に染まった目は艶やかに輝いていて大きい。鼻はシュッとしていて可愛さを増す。唇は何とも瑞々しい。って俺キモイな。
だが言わせてくれそそる。異世界間半端ないメイド服がやはりそそる。
「ユターシャです!今後香久夜様の専属メイドとなります。よろしくお願いします!」
とっつきやすそうな性格の子だ。
恥じらいを持って赤面しながら挨拶しているところがそこはかとなく可愛い。永遠に愛せるレベルだ。
こんな子が専属メイドに?ムフフな展開起きまくりかよ?
「ああ、よろしくな!」
ニコッと笑みを浮かべてグッジョブを指で作って答えた。
そうしたら何とまぁ可愛い恥じらいから笑顔に変わった。守りたい可愛さ。
「はい!」
「では、検査へ行きましょう!」
ニコッと太陽晴れる笑みを浮かべて、俺言った。
「あゝ、案内は頼んだ。」
俺とユターシャさんは王様にぺこっと一礼したから王の間を出た。
「ところで、ユターシャさん。」
少し聞きたいことがあるので廊下を歩きながら問うた。
「ユターシャでいいですよ!香久夜様!。」
可愛い……………もう撫で撫でしたい。
「わかった、ユターシャ。あとユターシャがユターシャでいいなら。俺は香久夜でいい。」
まぁ簡単にいうと、俺も香久夜様ではなくて香久夜でいいと言うこと。
「わかりましたよ!でもメイドなので、せめて香久夜さん!って合わせてください!。」
一様上下関係はあるのでそこは保とうということらしい。
「それで何ですか?」
「あゝそうだった。魔力検査とか適合魔術とかの検査ってどうやってやるの?」
まぁ疑問だ。血章などを求められても流石に怖い、勇気が必要だ。今のうちにその勇気を持っておくためにも聞いとおこうと考えたのだ。
「それですか、まぁ簡単に言いますと、水晶玉が四つほどあります。一つは魔力の神ヤハジニコフが生み出したとされる魔力検査の水晶。一つは魔法の神ユリアが作ったとされる魔力適合検査の水晶。
一つは全能の神ハウル・ウェストが創造したとされる神聖魔法の有無の検査する水晶。
一つは勇者にのみ一つだけ与えられるとされる【神の力】は何かを知ることができる未だ知られぬ神。この世界とは違う神が作ったとされる。水晶。以上です!」
淡々と話を進めていくユターシャの姿。
ボソッと沢山あるもんなんだなと呟く俺。
魔力とは何か自分に適合する適合魔術はどの属性になるのか。神聖魔法は有しているのか。はたまた【神の力】はどのようなものなのか。
考えることが多い。
一つ引っかかったのが神聖魔法の有無の検査水晶を作ったハウル・ウェストの存在。全能と言っていたのでおそらくはこの惑星の創造神……………伊弉諾尊がちょいと、面倒なやつと言ってた神だ。
そして【神の力】を測る水晶は、多分伊弉諾が作ったのだろう。別の世界の神、しかも勇者が絶対的に絡むのがネックだ。
そう考えていると。
「つきました。ここです」
そこにはとても大きな扉があった。
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