第6問 インタビュー/中華料理屋前

第6問 次の文章を読み、問いに答えなさい。



―すみません、今よろしいですか?


 え、今忙しいんですけど。


―すみません。バイクと、そのバッグ。これから配達ですか?


 そうです、見りゃわかるでしょ。


ーウーバー?


 鞄はね。今(の注文)はウォルト。アプリ掛け持ちが普通なんで。

 それが聞きたかったの? 悪いけどもうすぐここ(中華料理屋)の注文ができるから、時間ないから。


―普段はこの辺りでお仕事されてるんですか?


 そうです。


―怖い話しませんか?


 は?


―この辺の怖い話を集めてて。怖い話しませんか?


 あー、知らないです。時間ないんで。


―すみません、幽霊が出てくる話とか、妖怪とか。


 知らないです。貴方の方が怖いよ。


―1月23日の話とか。


 23日?

 あー。


―はい。意味伝わってますか?


 あー、そうね。ちょうどここだったか……。

 よく知ってるね、俺のことも誰かに聞いたの?


―では、少々よろしいですか?


 いや時間ないんで。

 ま、でも、一言か二言だけなら。


―23日のこの時間も、ここに?


 そうだよ、ちょうど春節の次の日で、中国系の人からの注文が増えたんだ。だからあの日は2、3回は来てたね。


―はあ。あの、それじゃ、この道で……


 そうそうそう! 走ってたの。


 そしたら、前を男が車道走ってんの。

 短髪の、服着てない、全身赤い男。

 あっちの坂下りてったよ、寒いだろうに。


 何だろって思ったけど、その後でしょ、あの事件。

 驚いたよ、来週で1年だっけ?


―はあ。


 あ、注文。

 悪いけど、これで。


―はあ。
















問 どうしたらもっと怖くなるか、あなたの考えを述べなさい。


答 ( 聞き手の倉田君の話し方が悪く、この会話は成立しなかった。彼がしたかったのは今年の1月23日の話であり、その日中華料理屋の前で起きた二人の衝突事故の打ち合わせだった。倉田君はこの事故で全身バラバラになり地縛霊になる予定だったが、調整が足りず病院で息を引き取った。ただ死ぬだけでは怖くない。彼はバラバラで死ぬべきだった。 )



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