第7話【悲しき現実よ】
「ありがとうございましたー」
今日の卓だった。宇辻はPLとしてかなりの満足をしていた。
こういう時に何が良かったかは二つの要因である事が多い。
1.GMが良かった。
2.PLが良かった。
大体はこの二つだ。この二つが良ければセッションは良い方向に回っていく。
正直なところシナリオはアクセントでしかなく、そのアクセントが大事な時もあるが、上記で言った二つの事に勝る事は基本ない。
「(あーいいメンバーだった)」
嚙み合わせがとにかく良かったし、PLのレベルもとても高く、シナリオもとても良いアクセントになってくれた。なんと最高な事か。
「(こういうメンバーは優良リストメンバーに入れておいて、何かあった時に誘えるようにしないとな―)」
宇辻はGMも良くやる都合上、GMをやる時は事故を減らしたいため良いメンバーに出会えたと思った時はメモして名前を控えておくことをしている。いつでも誘えるように。
誘うのには確かに勇気がいるが、知らないメンバーを募集して事故った時の苦しみに比べれば断然マシであり、今回のメンバーならばもう一度ぐらいは卓を囲んでも良いと思える良心的なメンバーであったためこうしているのだ(なお、このリストはかなりの厳選がされている)。
「あっ、そうだディスコの部屋があるんだし、今のうちになんか卓誘うか」
楽しい卓が終わってルンルン気分だった宇辻は書いてる途中のシナリオを見てそう思いついた。
しかし、まだ荒いところもあるし、今日は疲れたと思い明日誘えばいいと今日は眠りにつくのだった。
翌日。
ディスコードの部屋に何とか出来たシナリオのハンドアウト(紹介文みたいなもの)を投げたところ好評だったのだが。
「今月はもう予定が……」「すいません。ちょっと無理っすね」「あ、私来月も無理で」
「………」
宇辻は現実を思い知った。それはそうなのだ。宇辻からして優良なPLだということは他の人からも見て優良なPLなのだ。
このメンバーの中で暇だったのは宇辻だけだった。
それは何故か。宇辻は何処のコミュニティでも積極性にかけるボッチだからである。
SNSもアカウントを持ってるがロクに動かさず、何処かの界隈でも時々ツチノコのように顔を出しメンバーたち誰にも顔を覚えられてないようなボッチなのだからである。
「卓、ありがとうございました」
宇辻はショックを抑えきれずその言葉でその部屋から逃げた。
優良リストにこうして乗った人々も、このショックを思い出すのでしばらく誘う事をしずに放置する事となる。
「TRPGってやっぱりカスだわ……」
愚痴をこぼしても未だ宇辻はTRPGを止められなかった。どんなにボッチでも時々ある楽しい卓のために。
宇辻はぶらぶらと卓を探し、色々な所を渡り歩くのであった。
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