第8話 8日目 新しい仲間

今日は学校もバイトも休みだ。


母さんも出かけているので、1階は貸切だ。小さな部屋の中よりリビングのほうがずっと動きやすい。


というわけで、俺は朝からVRゴーグルをかけ、1人でリビングをうろうろしながらフィールド探索をし、スライムを倒しまくって小銭を稼いでいる。



さっさと強い武器防具を買って次の町に進まないと。


所持金は526Gまで貯まった。

これで鎧と盾と帽子が買えるだろう。あともちろんリディアたん回復用の薬草も。


…でも、バトルの時にいちいち薬草を使うのはやっぱり面倒だ。


薬草を使ったターンは攻撃もできないから、リディアたんの魔法に頼るしかないが、リディアたんはまだレベルが低い。MPが尽きるたびに何度も宿屋に戻るのは大変だ。

うーん。どうしたものか。



…そうだ!!!


可愛い僧侶を探せば良いじゃないか!!!

なんで思い付かなかったんだろう。




リディアたんと、可愛い僧侶たんの3人旅にすれば良いのだ。


我ながら名案だ。



俺はパソコンを起動し、立てた後すっかり忘れて放置していた掲示板のスレッドを開いた。


------【大至急】VR RPG、◆Virtual † Quest◆やってる人集まれ!!!------







—新着 1件—




うぉっ!!!!マジか!!

俺は慌てて椅子に座り直した。



「よろしくね♡フレンドコード:WMGtg0354.....」



なっ…これは!

なんかもしかしたら可愛い子が期待できるかも!?



俺はアリエスを起動し、フレンドコードを伝えた。



〜〜♪〜〜

フレンド検索を開始します。



フレンドが見つかりました。

〜〜♪〜〜




俺の目の前に黒髪メガネの、セーラー服の女子学生が出現した。

真面目そうな雰囲気だが、なんだか少し照れたようにこちらをちら見する表情が可愛い。



「メルル」と書かれている。



メルル「お…お友達ができて嬉しい…です。お手柔らかにお願いします。」



喋ってる!オンラインだ!



お手柔らかに…だと…??

…こういう感じもタイプだぜ…

ごくっ。


俺は唾を飲み込んだ。



リディアたんとメルルたんを見比べた。


ロリロリで元気な可愛いリディア

恥じらう姿が健気なメルル




リ…リディアたんごめん、どっちも可愛い!!!!




い、いやいや!何を言っているんだ俺は!

俺の彼女はリディアたんと決めたはずだ。



メルルたんは旅の仲間だ。そう、仲間。


俺はメルルのステータスを確認した。





HP少なめ。

MP多め。

力弱め。

賢さ高め。

回復魔法あり。






僧侶キター!!!!!!!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*







カイン「メルル!!僧侶がくるのを待ってたんだ!仲間になってくれて嬉しいよ!」



メルル「そ…そうですか。ありがとうございます…」

斜め下を向きながら、恥じらいながらボソボソと喋るメルル。



かっ…可愛いぃ…




少し間をおいてリディアが喋る。



リディア「メルル、よろしくね!それはそうとカイン、僧侶がいるからって安心しないで、ちゃんと約束は守るのよ?わかってる?」



カイン「…約束?」



リディア「はぁ?信じらんない。昨日、私の盾になるって言ったばかりでしょ?」



…あれ、リディアたん、もしかして怒ってる???


…え、どうしよう。こんなの漫画の世界でしか見たことない。

俺はどうすりゃいいんだ???




カイン「え、えーっと、いや、それはもちろんそうなんだけど…」



リディア「なんなの!頼りない男!」

リディアたんはそっぽを向いてしまった。



ああ!!!!!!( ゚д゚)

なんてこった。



メルル「あ、あの、なんか私、お邪魔でした?ごめんなさい…」




あぁあ〜!!!

こっちまで!!( ゚д゚)




カイン「ち、違うんだ2人とも!!俺は君たちを2人とも守る!!だって俺、勇者なんだから!!」



リディア「じゃああんた、全部の攻撃を私たちの代わりに受けなさいよね。」



えぇえー!?!?

なにこのキャラ変!!

昨日までの可愛いリディアたんはどこへ…( T_T)


…い、いや、まてよ、これが俗に言うヤキモチってやつなのか?

恋愛経験のない俺にはよくわからん。



メルル「あ、あのぅ…せっかく仲間になったんだし、みなさんで仲良くしませんか?」


リディア「そうね!仲良くしましょ!」


メルルとリディアはふたりで町の方へ向かってしまった。




えっ、ちょっと待って。

なにこの空気。

お、俺は一体どうすればいいんだー!!!!( ;∀;)




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