第6話 6日目 リディアたん
—キーンコーンカーンコーン—
俺は授業終了とともに猛ダッシュで家に帰る。
(リッディアたん♡リッディアたん♡)
寂しい一人旅は卒業だ。
俺、冴内渉改め【白銀の王子カイン】は今日からロリロリアバターのリディアたんと一緒に冒険ができるのだ!!
わーい!
部屋に戻って早速VRゴーグルを装着し、ゲームを起動した。
〜〜♪〜〜
カインさん
おかえりなさい。
◆Virtual † Quest◆の世界へようこそ。
〜〜♪〜〜
いつものアリエスの声。
ちゃんとサエナイワタルからカインに変更されている。よかった。
ほどなくして、俺の目の前に、ピンクのツインテールのリディアたんが現れた。
昨日は髪をおろしていたが、今日はツインテールだ。
こっちのほうが俺好みだ。
すたすたと町中を歩くと、その後をリディアたんがずっと小走りでついてくる。
現実で彼女もできたことがない俺は、こんな経験を今までしたことがない。なんだか嬉しくなって、俺は部屋の中を無駄に何周もしてしまった。
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ステータスを見ると、リディアたんは魔法使いのようだ。HPは低いが、水と氷属性の初級魔法が使える。
俺は勿論勇者だから、剣と魔法でいい組み合わせだ。
旅のお供に僧侶とかも欲しいところだが、リディアたんとのふたり旅を邪魔されるのも面白くないので、ひとまずは2人で出発しよう。
さて、冒険に出る前に、装備を整えたい。
昨日、町の人や城の人と一通り会話は済んでいる。王様からも無事300Gもらった。
俺はウキウキしながら防具屋にいった。
「エッチな下着!エッチな下着!」
無論、最初の町にそんな防具があるわけもなく、【ぬののふく】か、【かわのよろい】のどちらかを選ぶしかなかった。
ぐぬぬ。
かわのよろいなんて着せたら、せっかくのリディアたんのロリータファッションが台無しだ。よし、ここは武器に全振りしよう。薬草を大量に買ってリディアたんのHPをこまめに回復すればいい。
俺はどうのつるぎと薬草を大量に購入し、フィールドへモンスター討伐に向かった。
町を出て少し歩くと、カッコ良い戦闘曲とともに、画面がうずまき状に回転する。
はじめてのバトルだ。
俺は右手に握ったコントローラーをスライムに向かって振った。
ザクッ!!
効果音とともに、スライムに5のダメージが加わる。
次はスライムのターンだ。
ぽよぽよっと可愛い音とともに、スライムが飛び跳ねながら襲いかかってくる。
おいおい、やめてくれ。可愛くて倒せなくなるじゃないか。俺はスライムが大好きなんだよ。
平面上のゲームよりVRはずっとリアリティがある。俺は素直にスライムの可愛いぽよぽよ攻撃を受けてやった。
所詮ゲームの世界だ。別に本当に痛いわけでもない。ましてやこんな愛くるしいスライム…あっ!!!
気づくとスライムBが俺のリディアたんに襲いかかっているではないか!!
俺は1mmの迷いもなく、スライムBを素早く八つ裂きにした。
「ふぅ。リディアたん、大丈夫か?」
俺はバトルごとに息子を心配する父親のように、リディアたんが受けた2のダメージを薬草で回復した。
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