第3話 3日目 フレンド募集

昨日、部屋の大片付けをしたから、足元は安心だ。今日も、壁にぶつからないようにだけ気をつけながら遊べばいい。


俺はゴーグルのスイッチを入れた。


昨日は、部屋の中を何周かして、草原の奥に見えた町についた所でセーブした。

今日は、町を探索だ。



軽快な町の音楽が流れる中、俺は武器屋や道具屋を見に行った。

だが、途中、モンスターは出現しなかったから、まだバトルもしていなければ、所持金もない。


宿屋に行くと、2階にバーがあるようだった。

そんな場所には現実では行ったことがないが、ゲームの世界だから気兼ねなくいける。

俺は2階へあがった。


うさ耳バンドをつけたオネエサンが、話しかけてきた。

「あら、いらっしゃい、かっこいいお兄さん。あなた、20歳以上〜?」


うほっ!可愛い。


てか、かっこいいお兄さん!!??俺が?!






‥‥あぁ、そうだ、俺の銀髪のイケメンアバターのことだ。




俺は今19だが、ここはゲームの世界だ。

「はい、そうです。」


その時、急にビープ音がなり、アリエスの声がした。


〜〜〜〜

サエナイ ワタルさん


あなたは、20歳未満のため、

このお店を利用できません。

〜〜〜〜



マジで!?なんでだよ。

ゲームだろ!

どうでもいいとこで、現実感だすなよ!!





強制的に1階に連行された俺は、もやもやしながらも仕方なく、奥のホールにいってみた。


ホールは町の人々で賑わっていた。

奥のカウンターでメシが食えるらしい。


俺は腹が減ったので、ポテトを食べようとカウンターへいった。

しかし、お金がなかった。

おまけに、考えたらここはゲームの中。ここで食ったところで、現実の俺の腹は満たされない。



メシ屋の横に、人だかりができている一角があり、美人なお姉さんが受付していた。

現実ではクラスの女子にすら話しかけることもできないが、ここはゲームの世界。しかも、俺はカッコいいお兄さんの設定である。俺は人混みに割り込んで、お姉さんに話しかけた。


「ここって、なんの店??」


「ここは、旅人が出会いと別れを求めて集まるお店よ。仲間をお求めかしら?」



どこかで聞いたようなセリフだ。酒場の年齢制限設定のためか、酒場ではなくただのお店という設定のようだ。




「仲間‥欲しいんだけど、どうすればいい??」



一瞬画面がかたまったあと、アリエスの起動音がなった。

〜〜〜〜

仲間を作るには、専用のゴーグルとコントローラーが必要です。


2台目のコントローラーは、お試し期間中は無料で使用できます。

2台目のゴーグルをご利用希望の場合、お試し期間中は月額3万円でお貸し出しが可能ですので、お申し付けください。


または、同じく◆Virtual † Quest◆をご利用頂いているお客様とフレンド登録をして頂くことで、パーティメンバーとなることが可能です。

〜〜〜〜



出た!!!月額料金!!!

てか2台目のコントローラー意味ねぇ!!!! 



月額3万円なんて、払えねぇよ。

不定期にシフト入ってる1ヶ月のバイト代全部つぎ込んでも足りない金額だ。



誰か呼んで、ゴーグルなしでコントローラーだけでプレイしてもらう‥??いや、無理だな。だいたい俺、彼女どころか友達もいねーし。幼馴染のケンタはいるが、ゴーグルなしで何も見えないのでは、やってくれるわけもない。


ドケチの母さんが、3万円払ってくれるわけもないし。


1人で冒険するのは、かなりの難易度だろうから町周辺でレベル上げしているうちに、無料期間が終わってしまうだろう。




だが、ゲーム好きとして、せっかくのVR冒険のチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。




‥‥よし、こうなったら、なんとしてでも◆Virtual † Quest◆をプレイしている人を探してフレンド登録するしかない!!!



俺はパソコンを立ち上げ、いつも学校の陽キャの愚痴を書き連ねている掲示板を開き、スレッドを立てた。



「【大至急】VR RPG、◆Virtual † Quest◆やってる人集まれ!!!」





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