第2話 2日目 初期設定
学校が終わった俺は、荷物をカバンに詰めると猛ダッシュで家に帰った。
昨日は母さんが早く風呂に入れとかいって邪魔してきて、初期設定の途中で終わってしまったので、今日は初期設定の続きだ。
部屋について、急いでゴーグルの電源を入れる。
〜〜♪〜〜
サエナイ ワタルさん、おかえりなさい。
◆Virtual † Quest◆の世界へようこそ。
案内人のアリエスです。
初期設定がまだ完了しておりません。
続きを開始しますか?
〜〜♪〜〜
「、、、はい!」
AボタンとかBボタンとかがなくて、声で返事するというのが、いまいち慣れない。
〜〜♪〜〜
かしこまりました。
では、ゲームの中でのあなたのアバターを設定いたします。
決定の場合、首を縦に振るか、コントローラーを上下して下さい。
違うパーツにしたい場合、首を横に振るから、コントローラーを左右に振って下さい。
〜〜♪〜〜
コントローラー??
そんなものあったかと、届いた段ボールを見返すと、梱包材に隠れて小さな2つのコントローラーが入っていた。
試しに左右に振ると、アバターの髪型が入れ替わった。
よし、イケメンにしよう。
髪色→銀色
髪型→おでこがあがったツンツンヘアー
目→くりっとした大きな目
鼻→すらっとした高い鼻
口→小さめ
眉毛→きりっとした細眉
服装→ロックテイスト
できた!!なかなかのイケメン。
現実の俺とは大違いだ。
髪色→黒
髪型→切るのがめんどくて伸びた天パ
目→小さめ
鼻→でかめ
口→でかめ、歯並び悪い
眉毛→ぼさぼさ
服装→Tシャツ短パン
いいんだ、別に。どうせモテないし。
ゲームの中のイケメン俺だけでも、モテるといいな。恋愛要素あるのか知らんけど。
〜〜♪〜〜
初期設定が完了いたしました。
プレイ人数は、1人でよろしいでしょうか。
2人にする場合、音声または、2台目のコントローラーのスイッチをONにしてお知らせ下さい。
〜〜♪〜〜
え、2人とかあんの??
そういえば、コントローラーは2つある。両手用じゃなく、1人1個なのか。
下からお笑いを見てゲラゲラ笑っている母さんの大声が聞こえてくる。
あと1人、、、母さん???
いやいや、ありえねぇ。
「1人で!!」
〜〜♪〜〜
かしこまりました。
それでは、冒険の舞台へお連れします。
〜〜♪〜〜
設定画面が消え、目の前に壮大な草原が広がった。と同時に、音楽も、無難なものから、フィールドっぽい勇ましいものに切り替わる。
自分の持っているコントローラーが、木の棒のようなものに変換されて右下に映っている。
「おぉーっ!!!!!」
臨場感あふれる音楽と画面に、俺は興奮した。
〜〜〜〜
この先の案内は、こちらからは必要な時のみ実施させて頂きます。
質問がございましたら、「アリエス」とお声がけ頂きましたら、ご案内いたします。
では、冒険をお楽しみください。
〜〜〜〜
俺は回転したり、ジャンプしたり、しゃがんだり、棒を振り回したり、ひととおりの動きをした。
動きに合わせて、画面の中の視点も切り替わる。
面白れぇ〜!!!!!!!
俺は草原のむこうの町に向かって駆け出した。
ゴンッ!!!!!!!
いてっ。
ゴーグルがずれて、隙間から俺の部屋の押し入れの扉が見えた。
あぁそうだ、ここは俺の部屋の中だったんだ。
現実と二次元がごちゃごちゃになった俺は、いったんゴーグルを外した。
危ないから、部屋の中の障害物をよけておこう。
俺は大晦日以来久々に、部屋の片付けを始めた。
ゴンゴンゴンゴン!と乱暴なノックと同時に、母さんがおやつを持って入ってきた。
「渉、おやつ、、、、
えっ!?アンタが部屋の片付け!!??
どうしたんだい!熱でもあんのかい???」
「ねぇよ!!悪いか!!!!!」
俺はもらったせんべいをバリバリと食べながら、布団を直した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます