スクールカースト底辺の俺、専門デビュー!ゲームの中だけでもモテたらいいやと思っていたのに、なぜか現実世界でも女に振り回されて…!?

タカナシ トーヤ

第1話 1日目 怪しすぎる荷物

ピンポーン。


「はーいー!!!!!!」


母さんの大きな声が聞こえてしてからしばらくして、ドタバタとスリッパのうるさい音が階段を上がってきた。



バンッ!!




ノックもなしに、母さんは俺の部屋を開ける。


「渉、アンタ、インターネットでなんか頼んだのかい。」


「あ?なんも頼んでねーよ。てか、用があるならまずノックしてって、毎日ゆってるんですけど」


俺の話は無視して、母さんは続ける。

「ほれ、なんか、スキーのゴーグルみたいなもんが入ってる。あんたじゃないのかい。」


箱の中を見ると、何やらVRゴーグルのようなものが入っている。

ゲームクリエイター科を専攻している俺としては、好奇心を刺激されるアイテムだ。


「わからんけど、確認するわ。」


そう言って母さんから箱をとりあげ、中身を広げた。

宛先はウチ、宛名は俺になっているが、差出人は不明だ。


梱包材の下に、一枚のハガキが入っていた。


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冴内 渉様


おめでとうございます!

あなたは、今回のキャンペーンに見事当選し、VRゲームの体験モニターに選ばれました。


つきましては、こちらのゴーグルを装着し、RPGの世界をご堪能頂き、毎日夜23時までにその日のゲームの感想を、下記アドレスまでご連絡下さい。


vr-rpg.tousen.happy-zouhoukei-dansi@‥‥


費用は、キャンペーン中につき、通常月額22万6000円のところ、今なら特別に無料となっております。


体験期間は1ヶ月となり、期間を過ぎますと月額22万6000円が自動的に登録口座から引き落としされます。


それでは、RPGの世界をお楽しみください。

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‥‥今回のキャンペーンって何!!


アドレス長っ!!!


月額料金、高っ!!!




ツッコミどころ満載のハガキをごみ箱に捨て、母さんに荷物を返しにいこうと1階へ降りた。



ん、でも待てよ?

1ヶ月無料ってことは、期日までに解約さえすれば、VRでゲームが楽しめるってことだよな。


ゲーム好きの血が騒ぐ。



俺は部屋へ戻り、ゴミ箱からハガキを取り出した。

ゲームの開発者を目指して勉強中だが、VRの RPGはまだ体験したことがない。



月額23万の恐怖と、ゲームへの好奇心で葛藤した結果、俺はゴーグルの電源をONにした。

BGMがなり、案内の音声が聞こえる。



〜〜♪〜〜

「◆Virtual † Quest◆」の世界へようこそ。

私は案内人のアリエスです。


電源をONにした状態で、私の名前をお呼びいただければ、いつでも会話が可能です。

また、会話はゲームの品質向上のため、全て録音されております。


まずは、あなたのお名前とご年齢を教えてください。

〜〜♪〜〜





「冴内渉、19歳!!!!」




俺はゴーグルをつけたまま、決めポーズをとった。


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