[限定]パラレル外伝 AIフィアー短編集

★ もっと光を! [読者への挑戦🔍️]

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 みなさまに「読者への挑戦」を仕掛けます。


 『◆ ◆ ◆ ◆ ◆』マークが出るまでに、『犯人』と『盗難トリック』を見抜けるでしょうか?

 マークは、全体の50%の地点で登場します。


 「解けました!」という方は、コメントにて教えて下さいね。

 🎖️を差し上げます。

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 探偵事務所に、背筋の伸びた年配の男が飛び込んできた。


 フィアーはアームチェアから身を起こすと、訪問者に一度背を向け、瓶ソーダをチリンと鳴らした。最近の彼のマイブームである。


 一方で、ラズリーはバカなマイブームを蔑む視線を送ると、来客に丁寧に一礼した。アオザイの裾がかすかに揺れる。


「いらっしゃいませ。まずは、お名前とお仕事を教えていただけますか?」


 訪問客は静かにソファに腰掛けると、2人に自己紹介した。


「私はハロルドと申します。ギャラリー・ローズの館長をしております。」


「私たちに、事の経緯を説明していただけますか」


 館長のハロルド氏は苦笑いをすると、一息ついてから事の経緯を語り始めた。


「数週間前、私はイタリアから宝石を1つ譲り受けました。非常に高価なスフェーンと聞いております。当館では、スフェーンをギャラリー内に展示していましたが、おとといの休館日に宝石が盗まれてしまったのです」


 瓶ソーダを鳴らすのに飽きたフィアーは、ロッキングチェアにどっと腰掛け、膝の前で両手を組んで真面目な表情を作る。


「宝石は、どこからどう盗まれたのですか?」


「閉館後も宝石はその場に置いたままです。スフェーンはかなり脆いため、私の指示でそのようにしております。ですので、取ろうと思えば誰でも取ることができます」


 ハロルド氏は落ち着きなく手を動かしながら続けた。


「夜間警備員のジェームスが、その日の夜11時に見回りをしました。その時には、宝石はまだ土台にあったそうです。しかし、朝7時に施設を開けたときには、宝石はなくなっていました」


 フィアーは、館長の不幸を楽しげに聞きながら尋ねた。


「犯人の目星はついておりますか?」


「私が思うに、怪しいのは2人です。夜間警備員ジェームスか、展示技術員ロイのどちらかでしょう。私が宝石を確認して帰宅した後、ギャラリーに居残っていたのはその2人だけだったからです」


 フィアーは空のペリエ瓶を机の上に置くと、ハロルド氏に尋ねた。


「宝石がどのような場所に展示されていたか、具体的に教えていただけませんか? あるいは、マップはございますか?」


 ハロルド氏は、ギャラリーの見取り図をポケットから取り出した。


「ギャラリーは南北に伸びる長方形です。宝石は中央に置かれ、強力なスポットライトが4方向から光を当てております。最後までいた職員のロイが帰宅したのが午後10時半。その後、夜間警備員ジェームスが午後11時に見回りをし、すべての照明を落として建物に鍵をかけました」


「なるほど、夜間警備員の責任は大きいですね」


 フィアーは、左手でくるくるとペンを回しながら見取り図を眺めた。ラズリーもフィアーの隣に立ち、ミルク入りのコーヒーを飲みながらじっと見取り図を見つめて尋ねた。


「ハロルドさん。宝石は盗まれてしまったんですよね? でしたら、私たちではなく警察に連絡したほうが……」


 フィアーは素早く彼女の口を手のひらで塞ぎ、貴重な依頼が反故ほごになる可能性を未然に防いだ。ラズリーは仕返しとばかりにフィアーの手をガジガジとかじったが、フィアーは痛みを表情に出さず、ハロルド氏へ爽やかな顔を見せる。


「おっと、この小娘は隙あらば余計なことしか言わないもので。失礼しました。警察に言えない内容だから探偵事務所を頼った……そういうわけですよね」


「お、おっしゃる通りで……」


 ハロルド氏は2人のやり取りを驚いた瞳で見つめながら続けた。


「実は、宝石を盗んだ犯人はほぼわかっているのです。先ほど、容疑者は夜間警備員か展示技術員と言いましたね? 実は、夜間警備員のジェームスのカバンから宝石が発見されました。しかし、彼は盗んだことを否定しています」


 ラズリーはようやくフィアーの手を剥がすと、口元をハンカチで拭ってからひとりごちた。


「確か、スフェーンって脆い宝石なんだっけ? だったら、カバンに入れてほったらかすなんて、ちょっとおかしい気がする。フィアーが犯人なら、その日のうちに換金するだろうね」


「つまり、何らかの理由があって宝石をカバンに入れたままにしておいたわけだな」


 フィアーは膝をたたいて立ち上がると、自分のポケットに財布を、ラズリーの手のひらに瓶ソーダを持たせて言った。


「よし、ギャラリーに行くぞ」


    ◇ ◇ ◇


 ギャラリー・ローズは、ルイシャムの西部に位置する小洒落た建物だった。


 南北に長い一つの展示室があり、周囲の壁は真っ白く塗られ、中央には先ほどのケースが置かれていた。


 フィアーは宝石のあった土台を一周してから、その周囲のスポットライトを調べた。4台のライトが土台に向けられているが、今は消灯していた。


 フィアーはハロルド氏に向き直って尋ねた。


「警備員のジェームスはおりますか?」


「呼んできましょう」


 ハロルド氏は展示室の奥へと消え、やがて警備員を連れて戻ってきた。年は40代。鎖のような顔つきで、唇は薄かった。手にはジュエルケースが握られている。


 警備員のジェームスは、不安と恐怖が入り混じった視線をフィアーに向けて言った。


「わ、私は宝石を盗んではおりません!」


「犯罪者としておまえを警察に突き出すか、宝石泥棒をだしにおまえを強請ゆするかは、これからの返答次第だ。まずは、盗んだ宝石を見せてもらえるか?」


「こ、こちらに……」


 警備員のジェームスは震えた手で箱を差し出した。フィアーは手袋をすると、慎重な面持ちでジュエルケースを開けた。美しく輝くスフェーンが全員の前にあらわになる。一番瞳を輝かせたのは、ラズリーだった。


「わ、わ、なにこれ、ダイヤモンドみたいにキラキラしてる! ねえ、フィアー。これ欲しい!」


「お嬢様は、宝石に弱すぎるな。前も似たようなことを言っていた気がするぞ。いつもの小生意気な毒舌はどこに行ったんだ?」


「だって、欲しいんだもん……。お姫様がつけていそうだし、すごく綺麗だし……」


 フィアーは肩をすくめて鼻で笑うと、宝石をさっと持ち上げた。窓の光にかざしながら、フィアーはニンマリと笑みを浮かべてラズリーに言った。


「そんなに欲しいなら、くれてやろうか?」


「えっ、ホント!? 誕生日でもないのに?」


「いくらでもやるさ。なぜなら、これはガラス製の合成石だからな」


 周囲からどよめきが起こった。館長のハロルド氏は慌てた様子でフィアーに詰め寄る。


「いったいどういうことですか? スフェーンではなく、ただのガラスだということですか?」


「ええ、うまく作られています」


 フィアーはガラス細工を睨みつけながら続けた。


「スフェーンとガラス細工の違いは、多色性です。俺は今、窓の光に当てていますが、本物は傾きを変えると色が変わります。しかし、これは変化なし。顕微鏡を使えば、スフェーンの方は結晶構造の線まで見えるでしょうね」


「つ、つまり、ジェームス君のカバンに入っていたのはガラス細工ということで……?」


「ええ。そして犯人は閉館後にスフェーンを盗み、代わりにガラス細工を警備員のカバンに入れたのです。彼に罪をなすりつけるために」


 ラズリーは宝石が贋作だと知り、がっかりした様子でフィアーに話しかけた。


「ということは、犯人はスフェーンを盗んでそのまま逃げちゃったってこと?」


「そうだ」


「でもさ、どうやって宝石を盗んだの? 夜11時にはまだ宝石があって、翌朝の7時にはなくなっていたんだよね?」


 その言葉を聞いた瞬間、フィアーは表情を左右非対称に歪め、不敵な笑みを浮かべた。


「犯人がどのように宝石を盗んだかを教えてやる。世界一の名探偵が、この場で犯行を再現してやるぞ!」





 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆





 フィアーはガラス細工を箱にしまうと、楽しそうに周囲をぐるりと見渡した。


「ということで、楽しい楽しい種明かしの時間だ。はたして、スフェーンがどのようにして盗まれたのだろうか?」


 フィアーは瓶ソーダを一気飲みすると、快気に舌を回して続けた。


「宝石を盗むこと自体は簡単だ。なにせ、むき出しに置かれているのだからな。人目のつかないタイミングを見計らい、さっと取ってポケットに入れる。5秒で完了」


「まあ、それはそうだよね。じゃあ、犯人はいつでも盗めたってことになるね」


「いや、少なくとも盗難は閉館後でなくてはならない。ギャラリーの客が、からな」


 少し変わった物言いをしたフィアーに対し、ラズリーは小首をかしげて尋ねた。


「……どういうこと? お客さんが宝石に触っちゃダメって」


「理由は簡単。トリックがバレるおそれがあるからだ。客は物珍しいスフェーンをよく見るだろうが、普段から宝石を見ているギャラリーのスタッフはあまり注意を払わない。閉館後に盗む方がバレにくいってことだ」


「でもさ、午後11時には宝石はあったって、警備員のジェームスさんが証言しているよ」


 フィアーは眉をひそめて首を横に振る。


「いや、ジェームスは『宝石の影』を見たんだ。ジェームスが見回りをしたとき、すでに宝石は盗まれていた。にも関わらず、犯人はあらかじめ宝石の影を作っていたため、ジェームスは宝石がまだ土台にあると勘違いしていたんだ」


「宝石の影って、どうやって作るの?」


「天井にあるこいつを利用したんだ」


 フィアーは右指をパチンと鳴らすと、そのまま天井を指差した。示した先には、4つのスポットライトがある。


 館長のハロルド氏は怪訝そうな表情でフィアーを見やった。


「スポットライト、ですか? これと盗難に一体何の関係が?」


「これを使うと、スフェーンを作ることができるのですよ。1つやってみましょう」


 フィアーは窓にカーテンを閉めると、脚立を持ってスポットライトの下に立った。脚立を登り、明かりを灯す。スポットライトは一面から土台を照らした。


「1つ点けても、何も起こりません。ですが4つ点けると……?」


 フィアーは残りのスポットライトを次々点けていった。1つ、また1つと土台が明るくなっていく。


 そして最後の光を当てたとき、全員は息を飲んだ。宝石のような影が、土台の上で浮かび上がったからだ。


「な、なんと……。宝石が!?」


「お分かりいただけましたか?」


 フィアーは脚立の上からひょいと飛び降りると、悠々と土台まで歩いて指を指した。


「このように、4方向から上手く光を当てると、人間の目に球体を見せることができます。錯視の一種ですね。コツは、4つの光量に絶妙な差をつけることです。こうすることで、宝石の影が作られ、一見では宝石があるように見せられるのです」


 ラズリーは興奮した面持ちで土台に手を差し入れた。当然ながら、彼女の手は宝石の影を掴む。


「へー、面白いね! さっきのガラス細工よりキラキラしているよ」


「スフェーンのもう1つの特徴として、光に当てると白飛びしやすいというものがある。屈折率の関係で、光を当てると白く反射しやすいんだ。ちょうど、今見ている錯視の宝石のような色合いだな」


「なるほど! 犯人が閉館後に盗んだのは、お客さんが土台を真剣に見たり手を伸ばしたらすぐに盗難がバレちゃうからだね!」


 フィアーは片眉をぐいと持ち上げ、賛同の意を示した。


「閉館後にギャラリーにいるのは、宝石を見飽きたスタッフしかいない。犯人は仕事中のふりをしてスポットライトの光量を調整した後、さりげなくスフェーンを盗んで終わりだ」


「ということは、犯人って展示技術員のロイさん……」


 フィアーは空ビンをチリンチリン鳴らしながら返した。


「ギャラリーのルールとして、最後の職員が帰宅したら店内の照明を落とすことになっている。すると、スポットライトが消えたのと同時に、宝石の影もこの世から消え失せることになるんだ。そして、次の日に盗難に気づく。こういう仕組みさ」


 フィアーの推理に聞き入った聴衆は、思わずパチパチと拍手をした。そして、館長のハロルド氏はわれに返ってフィアーに言った。


「おっと、こんなことをしている暇はありません。ジェームス君、すぐに警察に連絡を!」


「わ、わかりました!」


 警備員のジェームスは急いで警察を呼んだ。リムリック警部率いる警官隊がギャラリーに駆けつけ、手帳からフィアーの罪状を1つ消した後、そのまま展示技術員のロイを捕まえに行った。


    ◇ ◇ ◇


 事務所に戻った2人。フィアーはロッキングチェアに腰掛けるやいなや、ラズリーにジュエルケースを投げてよこした。


「これをやるよ!」


「えっ、宝石!?」


 ラズリーは瞳を輝かせて箱を開けた。だが、出てきたのは犯行に使われたガラス細工である。


 彼女はがっくりと肩を落として言った。


「まあ、フィアーが高価なものをくれるわけないよね……」


「光るものに惹かれるとは、子供みたいなやつだな。同じ価値のものなら、俺は宝石よりポンド紙幣の方が嬉しいぞ。なにせ、枚数を数える時間は格別だからな」


「フィアーには、ロマンってものが無いよね。女の子って、宝石が欲しいんじゃなくて、宝石をくれるくらい大切にされたいのよ。……期待した私がバカだった!」


 ラズリーはソファの上でとんと仰向けになると、ガラス細工を指先で弄りながら言った。


「あーあ、どこかから王子様がやってきて、私をお姫様にしてくれないかな?」


「俺はどうだ? いつでも王子様役をしてやるし、いくらでも大切にしてやるぞ。相応の金さえ払ってくれればな」


「詐欺師フィアーからの誘いはお断り、かな」


 ラズリーは指先でガラス細工を弾き、フィアーの空ビンにチリンと当てた。








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 いかがでしたか?


 「AIのくせに面白いじゃん…🤔」と思った方は、下記のURLより★×3評価をお願いします!

https://kakuyomu.jp/works/16818023214059788731


 また、解けなかった方も、ぜひコメントしてくださいね!

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