第12話 私、この世界から抜け出します
「その本…」
「図書館で見つけました。お二人ともこの本を読んだことはありますよね?」
「うん。勿論あるよ」
「そこでなんですが教えてほしいことがいくつか…まずこの″パスポート″ってやつ、お二人のページのところは切り取られていたのですが、お二人はそのパスポートを手元に持っている感じですか?そしてこのパスポートってやつはなんの役割があるのでしょうか?
「俺はパスポートは手元にはあるが家に置いてある。仕事上持ち歩いてるのがバレたら溜まったもんじゃないからな」
「僕も一応手元には置いてあるよ」
そう言いミディは棚の中から1つの紙切れを出してきた
「これがパスポート。このパスポートには他の世界に行くために″空港″というところで使用するものだ。逆にこのパスポートがないと他の世界には行けない」
「そうなんですね…」
この紙にそんな重大な役割があるとは思ってもいなかった…
「ところでこの本はどこでつくられたとか…著者が誰なのか…とかはわかりますか…??」
「残念ながら、そこまでその本に詳しいわけではない。だからその質問には答えられない」
「そ、そうですか…」
「どうだ。話は終わったか?」
ガンダがそう言う
「私が聞きたいことは一通り…」
「そうかそれなら話を進める」
「お前もなにか話したいことがあるのかい?」
「あぁ。というかこれを聞かないとどうにもならないって話だ」
(なんだろう)
彼が聞きたいこと?なんだろう。剣道もつかない。
「ミロワ。お前のことだ。お前のことはもう国に報告されているだろう。そして質問だ。
お前はもう元いた場所には戻れない。戻っても捕まるだけだ。そんなお前は今からどうやって暮らすんだ?」
「…」
「あ、え、」
「もし、ツテがないのなら僕が使っていない部屋があるからそこに住むのはどうだい?初対面で少し怪しいと思うかもしれないが人1人住めるぐらいの余裕はあるよ」
「お、お前なぁ!!それはちょっと甘すぎだろ!!」
「良いじゃないか別に。彼女も困っているんだろう?その代わり住むなら家事や仕事の手伝いが条件になるけど…」
「それでもだろ!!お前の負担が大きすぎる!!万が一バレたときどうするつもりだ!!」
「お前が決めることじゃないだろう?」
「だとしても!!」
二人が言い合っている…
確かに私はどこにもツテがない。でも私はもうどうするか決めた。
「私…この世界からパスポートを使って抜け出します。」
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