第5話 その本の内容は②

「何これ…どういうことなの…!?」


なにもそのはず、私たちはそんなこと教えられたこともなければ聞いたこともない。

というか…そもそも…教えられていたことと全てが違いすぎる。


       ~13年前~


『この世界は奇跡的に″生命″が生まれた世界。生命が存在しているのはこの″星の都″のみなのです。

そんな世界に生まれた皆さんはこれからもこの世界に感謝を忘れぬように過ごしましょう。』


「はぁーい」


『皆さんはこの世界のことだけ考え、この世界で幸せに暮らしましょう』


こう教えられた。

そうだ。私たちはこの世界に生まれたたった特別な存在。だから他の世界なんて気にする必要なんてない。


…でも、なんで今まで疑問に思わなかったんだ?


今まで考えられなかった。他の世界があることなんて。というか、考えもしなかった。

そんな発想をすることが出来なかったから。思いつかなかったから。


でもなんで思いつかなかった??これぐらいのこと少し思えば疑問に思うことだってあるはず。


「どういうことなの…」

頭が酷く痛い。なにか、脳から抜けたかのような、くらくらとする


~読んでいて混乱するだろう。この本を読んでいるそこの君たちは″この世界こそ生命という唯一無二のものが存在する特別な世界″と教えられてきていただろうからね~


確かにそう教えられてきた。でも、それじゃあ他にも生命が存在する世界があるってこと…?


頭を抱えながらページをめくる


~この世界以外にも世界はある。ここと違う明るくて、文化も違っていて、自由な世界がね。~


(違うところはそれだけ…??それなら別に他の世界を勧める理由にはならないんじゃ…)


~まず、ここの世界は自国のことしか考えていない。ブラックムーンの厄災だって″星の都″が掟を破ったことで発生した~


(え?)


~掟のことは詳しくは話せないが、話せることはある。ブラックムーンによって大量の人が亡くなった。だが政府はそれを見て見ぬふりした。自国が…いや、上位の権力者が豊かな生活をしていれば国民なんてどうでも良いってことだ~


~それ以外にもそうだ。もうじきすればまた他の星と戦争が起こり多くの国民が死んでしまうかもしれないだろう。そして機会流星群体の暴走などもあり得る。そもそも政府の人間は国民を豊かにしようだなんて思ってもいない~


(そんなことあり得るの…??)

政府は私たちを守ってくれた立場でしょ?

なのになんでこの人はそんな勝手なことばかり…この本を書いた人に政府のことがわかるっていうの…??


~こんなことを書いても信じてもらえるとは思わないが信じてくれ。私は元政府の人間だ。もし、この本を読んで他の世界を目指すというのであればこちら側でも尽力を尽くそう。キミの選択を待っているよ~


と、それを最後に話は終わってしまった。


(政府が敵??厄災の原因は政府??)

そんなことを考えながら次のページをめくる。


「えっ」

そこには目を丸くさせるような驚くことが書いてあった

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