1-24.ボクはだれだ?【フー・アム・アイ】


 ここは、どこだ?


 気づけば、何も無い殺風景な部屋の中いた。


 ー やっと 話ができるな 異世界から来た 人間 ー

 

 視界に、が見えた。

 誰だ? 誰かいるのか?


 ー 誰かって? は だよ ー


 え?


 ー 正しくは ユーサという人格が できる前の人格だよ ー


 それは……つまり。

 ここは、僕の中?


 ー そう ここは ボク達の身体と精神の中だ ー

 

 ……得体のしれない自分がよみがえろうとしているって事?


 ー 失礼な奴だな 元々はボクの身体なのに 大変不愉快たいへんふゆかいだ ー


 顔の見えない誰かが、目の前に現れた。


 ー 気づけば ボクが本能ほんのうで 君が理性りせい みたいな 扱いだ 嫌になる ー


 現れた誰か。

 声は聞こえず、でこちらにうったえて来る。


 なぜ、今になって君と話せるようになったんだい?

 

 ー それは多分 さっきサキュが唱えた魔法の影響で ボクの意識が強くなったからだろうね ー


 さっきの魔法……。アレはいったい?


 ー 能力向上魔法 君の世界で言うバフ みたいなやつさ ー


 悪魔にしか効かない……という事は、やはり……。


 ー そう ボクが悪魔だったからだ そして今更だが 君の強さの大半が ボクのお陰なのさ 勘違かんちがいするなよ? ー


 ……。


 ー 元々、前世で喧嘩けんかもしたことない君が 強い力を持っているなんて 可笑おかしいと思わなかったか? ー


 ……確かに、それは転生した時に思った。


 ただ、一応これでも、ユーサとして生まれ変わってからは。

 体をきたえたり、戦い方を勉強したり、自分なりに努力して。

 自分で言うのもなんだけど。

 都市の中でも五本の指に入る実力者になったつもりではいるよ?


 ー 甘い 甘い ボクからしてみれば 力の使い方がまだまだ未熟だ ー


 ム!? ……そうなの?


 ー あぁ だからさぁ 一時的 かもしれないけど ー


 ん?


 ー  ー


 !? ダメだ!! 何をする気だ!!!?


 ー 心配するな この手で終わらせてやるから ー


 何を……終わらせる気だ!?


 ー できる事なら 一番は  だけどね アッハッハッハッハッハ!!! ー


 待て!! 待ってくれ!!! 何をする気だ!!!!?


 気づけば、顔の見えない誰かはいなくなり。

 相手の文字が見えなくなり、唐突とうとつ睡魔すいまが襲ってきた。


 理性りせいが、本能ほんのうみつぶされそうになるような感覚。


 あぁ……。


 誰か……。


 を……。

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