裏幕 顕れ

私は国枝”渚”。

本日から大学へ入学する。新居はとある灰色のアパート。高級1軒家に左右から挟まれているのは些か甚だしい。この世の真理そのものではないか。ようやく慰し清清したのだ。忌々しい庭とおさらばできた。

家のドアを開いて足を運ぶ。会談を降りて出口のオートロックが自動で開き外へ出る。まだ薄青の空。地下鉄に乗り会場のドームへ到着する。既にドーム会場内は開場されていた。


まだ誰もいない。


規律正しく並べられたパイプ椅子は何も発さず、ただ私一人と共に佇む。「早く着きすぎた。1番乗りか。」独り言を述べても答える者はいない。ぐるぐるとパイプ椅子の左端から右端まで、一番前から一番後ろまで、並べられた椅子を品定めながら回った。黒いハイヒールの尖った音が鳴り響く。「どれが私を導いてくれるんだ。」1つ、また1つ定めるたび興奮していた。すると、真ん中列の前から6番目の左から2番目の席が上から光に照らされていた。

「これに、しよう。」

再び会場を後にして地下鉄に乗り家へ戻る。ベットの手前橋に腰掛け、壁の掛け時計を見る。時間までまだ2時間。ひたすら時計を眺める。針が規則正しく揺れ動く。

時間になる。先程と同じく外へ出る。地下鉄に乗る。すると、私の座っている席から右斜め向かいに同じくスーツを着た男が座っていた。若くて優しそうな人。ガタイも良く背も高い。髪は黒で短髪。

ああ、いい。


みshgjjっじdxgbbjくあgysfgdsfgじぇyzgすうfjbksfgばdjhがもだあか。


「はッ!」

気づくとドーム会場内に立ちすくんでいた。人が多い。どうしよう。私の椅子が見当たらない。前を押しのけて歩いていると私の椅子が見えた。途端に隣の者に目をやる。「っ!」

先程地下鉄で見た短髪の男性ではないか。汗が額、いや、顔から滲む。足が震えておぼつく。何とか私の席まで歩き座る。座って一瞬こちらを彼は観たような。手が震え拳を握り両膝に置く。人込みは何ともないはずなのに今は気になる。

抑えられない。

必死に心へ閉めようと努力してる時。突如左耳から鮮やかな声が響く。

「あの、これ、どうぞ。」

青のハンカチ。

やはり彼とは運命的だ。

入居当初、彼が同じアパートに入るのを2階窓から見かけた。途端に悦な感情が芽生え記憶が消える。


目を開く。

「ここは?」

夜中で暗い小さな室内。ホテル?同時に何かが私を包んでいる。目を横に動かすとさっき観た彼がぐっすり幸せそうに寝ている。嘘!?何があった?私は裸体であった。彼に目を通すと同様に裸体。困惑する。いつから記憶がないのか?…入学式で彼に声をかけれてか。

今回もまた”夕凪”の仕業か。

「まったく。」

”夕凪”はつくづく男を虜にさせる。処女の演技も特級だ。彼もまた”夕凪”にとことん騙されたのだろう。

「チッ!」


全くこの2重に満ちた”人格”は困る。


ここで彼の後ろに回って首を絞め殺すのは容易い。腕や足の関節を折ることも。いや、ここは”夕凪”に泳がせよう。いつか”夕凪”が恋愛遊びに満足したら再び”私”の番が長期的に来る。”私”が来て彼を見つければ素直に衝動に任せて殺そう。そう思った矢先、突如全身が鉛に変化したような重みと吐き気が襲い意識が遠のく。糞っ!また”夕凪”か。今回はしばらくお預けだな。私は眠る。

眠る中、一つ頭に浮かんだ。どうやらどちらの私も彼が好きなのは確かだ。それだけは革新的だ。ただ、渚の好きはsじnんしょ、ytfrsうどであ。


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