第6話 情熱解除

「夕凪。目、瞑って。」

一瞬何のことかと戸惑いを見せたが即座に彼女は思い立ったのか素直に目を瞑ってくれた。静かに椅子から立ち彼女の側まで近付く。近付くまでに心臓が奥から鳴り出してきた。汗が滲む。手も震える。側に近付いた時には頭が真っ白になりそうだった。一瞬夕凪の両掌が膝下に固く拳を握られて震えていた。本人が言い出したことだが、そちらも僕と同じ気持ちなんだと実感した。すると、少し和らいだのか真っ直ぐ彼女を見て僕も目を瞑って唇を接触した。

途端、互いの緊張がより解けたのか燃えるように抱き合い唇を深く馴染ませた。目を開けてどちらの服も勢いよく脱ぎ捨て裸体を見て触れて順序よく進んだ。

彼女は抵抗なく僕を受け入れ、薄い予防物を着け彼女の中に入る。彼女の中は血は出なかったが痛がる。「続けて。」僕はゆっくり気遣いながら抱きしめて揺れる。夕凪は何とか淡い声を弾ませ答えようと必死だった。


何分、いや、何時間経ったか。

始まりから終わりまで互いに情熱だった。疲れたように互いに目を合わせたままベットへ横たわる。

「大丈夫?結局最後まで痛そうだったけど?」「うん。痛かった。でも、嬉しかった。また一つ大人になれたし貴方がもっと好きになった。もっと優次を愛したい。」「そうだね。僕も夕凪が好きで愛したい。」

笑顔のまま夕凪の顔に手を伸ばし唇を接触させる。しばらくして、一緒にシャワーを浴びて湯をいれた風呂に入る。抱き合いながら色々話した。小説の好きな作家、得意なこと、苦手なこと、住む場所や家族のこと、大学のこと、夕凪のこれまでの経緯と大分打ち解けた。

はずだった…。


僕は、会って間もない彼女に黒い影を背負って生きていたとはこの時知らなかった。

いや、知るべきではなかった。不幸を招く本性は他者へ転移する。闇の存在はつくづく恐ろしい。


綻びはいつか起因する。

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