第14話 両親との同居⁈
コナーの両親とも打ち解けてきて家の中を案内してもらったり、コナーの子供の頃の話を聞いたりしているうちにすっかり夕方になっていた。
コナーのお母さんが得意の韓国料理を作ってもてなしてくれるらしく、カルビ、キムパ、ワカメスープ、トッポギ、キムチ、なんていい匂い!!キッチンで見ている私の前に次々と出来上がっていく料理が並ぶ…食べたいーーー!!!
出来立てのチヂミを目の前にして匂いを満喫しているとお母さんが何やら私の前に差し出してきた、小さい器に入ったスープだ!
「魚と野菜しか入ってないから大丈夫よ、食べてみて」
「ニャン!!!」
実はコナーも前に手作り猫ごはんを作ってくれたことがある、それもまあおいしかったが…料理上手のお母さんが作ったものは違う! う~ん…、良いおダシ…!
「美味しいでしょ? ここにいればいつでも食べれるよ」
「?…ニャン…?」
「これもちょっとなら大丈夫よ、ほら!」
コナーに隠れてお母さんはほんの少しチヂミをちぎり私の口に放り込んだ
「ニャ…… ーーー!!!」
とてつもなく美味しい!ほんの少しなのに口いっぱいに味が広がって…!!!
「フフッ…、猫がこんなに可愛いなんて…」
「お母さん⁈」
ここでコソコソと何かしている猫と母親に気が付いたコナーがキッチンの方にやって来た
「ララサチ? 何かもらったの? スープもらったんだね、どう?」
私はさっとコナーの肩に飛び乗った
「お母さんの料理美味しい!!!!!」
「良かった、お母さん料理するの好きだから」
「ララサチ気に入ったんでしょう! だからここに一緒に住めばいいって言ってるじゃない!」
お母さんがコナーに突然言い出したのには驚いたけどコナーは前から言われていた様子だ
「だから…もう言ったでしょ? ここからじゃ仕事に行くのも大変だし……」
「でも見てみなさい、ララサチはここの方がハッピーよ!ねえ?ララサチ」
コナーの言うことを遮ってお母さんが私のほうに話を振って来る……
私は思わず、はい!と答えてしまいそうだった、私の口の中にはまだチジミの美味しさが残っていてもっと食べたかったのだ
「お母さん、食べ物で釣るのはやめて…」
この言葉に私はハッとした、そうか…私はすでに胃袋をつかまれてしまっている⁈
「コナー、どういうこと?」
「お母さんはね、ララサチと僕に一緒に住んで欲しいんだよ…前から言われてるんだけどね」
「そうなんだ… コナーと一緒に住みたいんだね…」
「それもあるけど、ララサチの方が重要なんだよ」
「猫が飼いたいの?」
「……もう! ララサチは分かってないんだよ、こんな一緒にいて楽しい猫なんていないんだから!」
「⁈」
考えてみたら…人間の様に振舞い、意思疎通ができる猫―――可愛いじゃないか!!! そりゃあ、一緒に住みたくもなるなぁ…
「私はね、コナーの猫だからコナーと一緒にいられればそれでいいよ」
「……うん」
(なんだかコナーが恥ずかしそうにしているのはなぜだろう?……ちょっと待って…! 私なんて言った???)
コナーと私は言葉が出なくなってしまった…なんだか変な雰囲気の私たちに気付いたのかコナーの両親が話しかけて来る
「あら、コナー…ちゃんともっとララサチのこと考えないとね」
「そうだな、ララサチが来るならここも住みやすい様に改装しないとなぁ!」
ここで遠くから見ていたお父さんの登場だ、サラッと笑顔でとんでもないことを言っている…益々話が変な方向にいっていて私の頭は自分が言った告白めいた言葉が繰り返され…自分の頭から煙が出ているに違いないなどど思いながら、このおかしな同居問題に巻き込まれていった。
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