第11話 彼女の事情
猫になってから夜型になった、朝になるとコナーが起きて来るのが嬉しくてコナーの周りをウロチョロとしてしまう…どうやらコナーは朝が苦手、頭が起きるまで時間がかかる。
彼はいつもコーヒーを用意してからシャワーを浴びる。
私も人間の頃は朝はコーヒーで起きていた、もしかしてまた飲めるかも…?
テーブルの上に置いてあるコーヒー、良い香り!
コーヒーカップに顔を近づけた所でコナーがシャワーを終えて出て来た、私を見て慌ててスマホで何か調べている…
「わー!! ダメ!!! カフェインがーーー!!」
「え⁈…」
カフェインは猫には毒なる、飲むと中毒症状を引き起こす危険な飲み物…コーヒーは香りだけ楽しもう!他にも気を付けるべき食品がたくさんあって、コナーがちょっと過保護気味に話してくる、もはや説教かというくらいだ。
こんな風にコナーは少しお堅いところがある様だ、私のこの楽天的な性格の持ち主と暮らして大丈夫だろうか?
そう言えば、結婚した建洋とは一緒に暮らし始めたばかりだった…長い付き合いだったからお互いの家に泊まりあったりはしていたけど、長く一緒の空間で暮らしたことがない。でも建洋は厳しくもおおらかな部分もあってきっと一緒に暮らすには何の苦労もなかったのでは?と思えるほどだった。
私は結婚しても仕事は辞めず、お互いの生活習慣を尊重して暮らすのが夢だった。
インテリアデザイナーとしての仕事は軌道に乗っていたし、長い付き合いの結婚が決まった彼がいて幸せだった。建洋も私のことは良く知っていたので結婚という形を取っても変わらずお互いの生活を守れると思っていた…でもきっとそれは私の理想であって現実は違ったのかもしれない。
実際に他人と暮らすのだから少しのずれや変えようがない習慣があるはず…
まさか猫になってこんな現実に突き当たるとは思わなかった、コナーとは出会ったばかりだから何もまだ分からないくらいだ―――
とにかく!長い付き合いだろうがなんだろうが…一緒に暮らし始めてしまったのだからとにかく追い出されないように気を付けよう!
しかし、考えてみると料理や家事は出来る気がしない…かと言って家からは出れないし、いったい一日どうやって過ごしたらいいの??
こんな心配は猫の習性ですぐに解決した―――夜行性なのだから昼間はほとんど寝ている、ご飯を食べて外を見たりしているとウトウト…気が付くとコナーの帰宅時間、と言う風に一日が過ぎた。
コナーの提案でテレビを見ることもできる、今はリモコン操作を猫の手でなんとかならないものか試行錯誤している。
猫になってから人間と触れるのも大きな課題だった、頭を撫でれれるくらいはなんともない…でもたいがいは頭から体にかけて撫でられる、そうなると少しゾクっとして耐えるのが難しい。猫カフェの店員とコナーはもう大丈夫だけど他の人だったら無理だ…後は抱っこもなんとか…でもやっぱり恥ずかしい。コナーは猫好きだから抱っこもすりすりもしたいんだろうけど、すりすりされるのはハードル高い!
コナーと話をするには彼に触れなければならない、手をチョンと置いたりしていたけど最近楽に話せる方法を見つけた―――コナーの肩に乗る!
そうすると近いし話しやすい、コナーがこれで良いと言うのでこの形に落ち着くだろう。
こうやって少しづつ私達にあった生活を見つけていこう!
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