第9話 人間と猫と幽霊

 とんとん拍子に話は進み…ついに!今日からコナーのお家でお世話になることになった。猫になっているとはいえ、誰かと…しかも男の人と一緒に暮らすなど…う~ん…。コナーは一体どう思っているんだろう???ずっと思いを寄せていた猫とは言え中身は見知らぬ日本人の女…よく引き取る気になったな。


 コナーの家は日本で言うマンションの様な建物の一室で、ワイキキのすぐ近くのビーチまで歩いて5分とかからない場所にあった、観光名所でもあるアラモアナショッピングセンターの近くでとても立地が良い。このマンションにはプール、テニスコート、ミニゴルフ、バーベキューエリア、小さいけれど映画館が付いていて住人ならば使い放題、遊ぶにはこの敷地で事足りるくらいだ。こんな所に住んでいるコナーってば実はお金持ち?


 部屋は日本で言う1DK、少し手狭だが一人暮らしにはちょうど良い。コナーはすでに猫グッズを買い揃えていた、しかし果たしてそれはに必要になるかは疑問だった。

 一緒に生活を始めるにあたり私は基本猫として生活、コナーは自分の生活を変えずに猫がいる生活になるだけ、ただ幽霊わたし憑きの猫というだけだ。


 コナーはララサチをキャリーケースに入れてマンション周辺を一通り案内してから、今後外に出たいときはこうやってキャリーケースに入ることを約束させられた。

実態があるとはなかなか不便なものだ…、しかも猫…今時は猫でもフラフラと外には出ていけない時代なのか…この辺は交通量が多く事故にあってまた死ぬのもごめんだ、おとなしくコナーの言う通りにしよう。


 家の中の案内をしながらコナーは猫にこんな案内するのはおかしいね…なんて言いながら食べ物はどうするか、寝るところ、トイレ…生活する上で大事なことを聞いてくる、を飼うならこんなことは必要ないのに…。


 私も猫であることは考慮しながらも人間らしさを保ちたいという思いもあり、とりあえずは人間部分に重点を置きたいことをコナーに伝え、トイレは猫トイレは使わない、ご飯は猫の体を考えキャットフードを食べる、寝るところは猫用ベッドでということになった。




 私は一つだけコナーに特別なお願い事があった、コナーにしか出来ない特殊なお願い事。コナーの膝に手を置き話しかける。


「あの…、一つお願いが…聞いてくれますか?」


「ん? いいよ」


「私がララちゃんの体に入ってから出れないのは言ったけど、実は出られる方法を知りたいの」


「えーと…僕に何かできるかな?」


「他の幽霊が取り憑いてる人を探して欲しいの。」


「…?幽霊の入ってる人?僕にそんな人探せるかな…???」


「え⁈ コナーは幽霊がわかるんでしょ?」


「いや…、ごめん…そんなはっきりとは分からないんだ…。それにララサチだって触れていないといけないしね」


 そうか…触れていないと分からない…コナーが幽霊を認識するには触っていかないといけない…かぁーーーーー!不可能!!幽霊憑きの人なんて探せない…。


「じゃあ、私が探しに行くしかないのね…」


「ちょ、ちょっと待って!言ったでしょ、一人で外には出ないって…。僕が一緒に行けばいいんだよね、休みの時に探しに行こう!」


 コナーの提案は嬉しいが、冷静に考えて大の男が猫を連れて散歩する…おかしくないだろうか???う~ん…考えると頭が痛くなってきた。もう少しいい方法がないか考えよう。





 

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