第8話 一緒に住む?

 まずコナーに確かめたかったのは、幽霊わたしがどう見えているのか?

どうやら、はっきりとは見えず…ララちゃんと重なるようにもやのような白い煙が人の形の様に見えるらしい。

良かった!顔とかはっきり見えてなくて…ゾンビみたいな顔だったら最悪だ。

そして、ララちゃんに触れている時だけそのもやが現れ同時に声も聞こえるそうだ。


 結局その日コナーはふれあい時間を延長してカフェの閉店までいたのだった。

自己紹介やなぜこうなっているかなど説明が出来る程度の話をした。

店員はコナーがついにララちゃんと仲良くなったのを見て、今や引き取るための手続きなどを説明している…。


 コナーは楽しそうにしていたけど、こんな幽霊憑きの猫を飼うなんて考えるだろうか? 普通は嫌だよね…。ごめん、ララちゃん…新しいおうち探せなかった…次のチャンス…あるかな?



 次の週末に来ないと思っていた彼がやって来た。

入ってきてすぐにこっちを向いて手を振っている…かわいいな。

私も手を振り返したかったが、グッとこらえていつもの座布団で待機した。


 コナーはニコニコしながら私の隣に座り、ぽんと頭に手を置いた。


「ララ、一緒に住まない?」


「え?」


「僕は一人暮らしで、仕事行ってるときは君だけになっちゃうんだけど…それでもいいなら…」


(まるで同棲を提案されているようで…なんだか全身がくすぐったい。)

「それは…ララちゃんを飼うということ?」


「飼う…ね…そう言っていいものか迷って…一緒に住むっていう方が良いかと思ったんだけど…。でも、そうだね書類上はあなたを飼うことになります。」


(ムムム…なんだか余計にややこしい感じになったな…)

「…はい。私で良ければ…?…よろしくお願いします。コナーさん」


「ハハハ、コナーでいいよ、僕はなんて呼んだらいいのかな?」


「えっと…どうしよう…ララちゃんでもあるし…さちでもあるし…う~ん…」


「じゃあ、ララサチで! 嬉しいな~…、これから宜しくね。」


 コナーはにっこりと微笑んでいる、それは猫に対してか私に対してなのか…?

いや!ずっと思っていたララちゃんに対しての笑顔だ、思い違いするな!彼の屈託のない笑顔を見ると心臓がドキドキしてしまう…いやいや…飼い主になる人ですから!


 こうしてララちゃん家族が出来た、私はと言うとまだララちゃんからの出方が分からず…、こうなったら誰かに憑いている先輩を探して教えを乞うしかないのか?などど思いつつコナーとの生活が楽しみで心がフワフワとしている…その度に私は猫ー!と頭の中で叫んでいる…。

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