第2話 にゃんにゃんにゃん

 ご存知だろうか? 私の命日の2月22日は猫の日だそうだ。

猫の鳴き声のにゃんの語呂合わせ、にゃんが3つ並ぶこの日を猫の日としたと。

特に動物に好き嫌いはなかったが命日のたびに誰かが今日は猫の日だね~なんて言うのを聞くので今では猫が一番のお気に入りだ。


 ちなみに、ここハワイ、アメリカ合衆国では猫の日ではない…猫の日だと知ったのはハワイに止めどなく来る日本人の観光客からだ。

 そんな訳で今日はお気に入りの猫カフェでも行くかな。


 猫には霊感があるか?

――答え、あります。

まあ、猫にもよりますが感じたり見たりできるみたい、私達の存在。


 ハワイの猫カフェは少し日本と違うようで、人気の猫種なんてものはいません…

ここにいるのは保護猫、飼い主を探している猫たち。ワクチン接種済・避妊手術済の猫ちゃんが連れて帰ってー!と飼い主になる人を待ってます。時々幽霊の私に寄ってくる子がいる、多分人間か幽霊かの区別が出来てないんだろうな、じっとこっちを見つめて足元に寄って来てクンクンしてこられると可愛くてたまらない!でも、これって猫が何もない所をじっと見つめているっていう光景になるんだろうな~、結構怖いよね。


 猫カフェにいる猫は3カ月くらいから1歳くらいまでの猫が多い、やっぱり小さい子猫は早く引き取られて行くからいつも面子が違う。私のお気に入りはこの猫カフェの年長ララちゃん推定年齢3歳、人間にいじめられていたのかちょっと人間不信だ…私の存在にはいち早く気付いてくれる、もう大人なので子猫の様にじゃれることもない、いつものお気に入りの座布団の上で私が近づくのをじっと見ている。私が横に座るとまた来たの?っていう顔をする、それがなんと心地いいことか!私の存在があることを思い出させてくれる。


 いつもの様にララちゃんの横に座り触る真似してみたり遊んでいると、珍しくララちゃんの所に人が来ようとしている…

ララちゃん…いつもの様に警戒!逃げる体制!あ~、やっぱり逃げた。奥にあるキャットタワーの裏に隠れてしまった…そうだよねー、人間怖いよねー。

 今日は新入りの子猫ちゃんが多いのに、ララちゃんの所に来ようとするなどなんと珍しい!結構若い男の人だ…地元の人らしくこんがりと日に焼けてTシャツ・ハーフパンツ・ビーチサンダルというハワイの三種の神器のいで立ち。


 ハワイによくいる東洋系だ、この東洋系の顔立ちを見るとつい日本語が話せるかな~?と興味を引く。日本人を親に持つ人すら日本語が出来ない人は珍しくない。幽霊になって何語でも理解できる!なんて…そんなことはなかった。

 私の英語力は高校卒業レベルで読み書きはわりと得意だが、会話は苦手だ…。5年もハワイにいるけど英語力は上がらない…そりゃそうだ、幽霊同志はあまり会話をしない…と言うか意思疎通が出来ない。


 多分生きていた時の性格の違いだろうが、私の様ななんでもどうでも良いや的な性格をしてると自由?というかフワフワと自分の好きなことが結構出来る。

 地縛霊というのは自分が死んでいるのかさえも分かっていない…そこにはもう彼らの意思はなくただただ悲しみに暮れているのみの存在…。悲しいけど彼らはこの場所から離れられないのだ、それが望みでもある。


 他にもなんでこの場所で死んだのかという疑念が強いと縛られやすいみたい…。

私はこれかな?なんでここで死んだかな…せめて日本国内で死にたかったな。



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