猫の私と猫にさわれない猫好きの彼
篠キニコ
第1話 私の命日
本日、2月22日は私、桜井さち(享年29歳)の死んだ日だ。
30歳を目前に結婚して憧れのハワイに新婚旅行!浮かれてたな~…。
海なんてあんまり入ったことすらないのに、海の綺麗さについつい…って気づいたら海の底。足がつったような気もするけど覚えていない、海を甘く見過ぎていた。
旦那様、
―――隣にいる方、どなたですか???
「さち、もう5年になるね…僕もやっと前に進めることが出来たんだ。今度結婚するんだ、紹介するよ…こちら美咲。」
(ちょ、ちょっーーーーーー!!!結婚⁈前に進むって…私はどうなるのー?)
健洋と私は高校からの腐れ縁で、付き合って別れてまた付き合って…でついに結婚した。ずっと好きでいてくれるって言ったのに…。でも死んじゃったらそれはなしになるってこと?ずっと好きでいてなんて我が儘だって分かってるけど!それにしてもさ、ここまで連れてくるか?
ま、でも私がハワイで地縛霊になってるとは思っていないだろうけど。自分でもなぜハワイに留まってしまったのか分からず5年…。
基本、死んだ場所のここハナウマ湾にいる、ハワイの人気観光スポットだ。綺麗なサンゴとここに生息する様々な熱帯魚、本当に素晴らしい!しかし…ここには私の他にもお仲間が結構いるのだ。海の事故―――事故にも色々あるが、私達が絡むこともある…海の中にいるとたまにみえる人がいる、驚かせて溺れたら大変…だから私は人がいる時は極力他の場所に行くことにしている。
そんなんで、今日は元旦那について行くことにした。
彼らは私と来た時と同じでワイキキに泊まっている、ハワイはワイキキがメインで観光客はワイキキビーチに沿って並ぶ沢山の高級ホテル、少し路地に入ったホテルなどに泊まっている、建洋達が泊っているのは有名な高級ホテルだった、日本人の新婚カップルの憧れのこのホテルはもちろん私も泊った所、懐かしいなぁ…。
有名なダイヤモンドヘッドを望むワイキキビーチ、観光客でごったかえしている。
そんな中、私の元と新妻?は楽しそうにイチャイチャと…!ケッ!!!
婚前旅行なのか新婚旅行なのか知らんが、外国の風にあたって解放感?からなのか?
あー…私もそうだったかも。このハワイのカラッとした空気、周りの陽気な外人とかさ…。店の人にアロハ~!なんて言われてアロハ~なんて返しちゃったりさ。
もういいや、ずっと憑いてるわけにはいかない…他に行こう!
もう建洋には会うことはないのかな…もう私の命日には来ないのだろうか?いつか一緒に日本に帰れると思ってたのに。私を忘れて幸せになっていくのか…幽霊って辛い…
こんな所に一人で残されて…。
天国にいきたいよぉー!!!
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