こわさ
ゆ〜 @WGS所属
こわさ
「この前な、
「げっ。ヘビ?僕も恐いんだけど」
「ヘビって言ってもこんくらい?まー、30cmないくらいだぜ?」
「そんで?結風、どうした?」
♬テッテレレッテテッテー
ボスを倒したので小気味良いゲームの音が二人の足音に混じって聞こえる。この音を聞くといつも嬉しいよりも悲しさが勝ってしまい、なんとも言えない気持ちになってしまう…
「アイツさ俺のこと蹴ってきやがったんだぜ…て、おい!!!前々々!!」
「え、なんだy…」
ドン!!!!!!!!!!!!
「
なんか恐くないや、でもちょっと悲しいかも…
もう少しで新作のゲーム発売日だし、妹と一緒に小学校行きたかったのにな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…ここ、どこ?」
目の前には白い服をきた男性がいた。
「病院ですよ、お体大丈夫ですか?」
「あ、はい…」
「お母さま、陽太くん目を覚ましましたよ!」
「びぃなぁだぁ…、だいじょうぶ?」
「母さんこそ大丈夫?めっちゃ泣いてるんだけど…」
どうやら事故った後に病院に連れてこられたらしい。
手に包帯が巻き付けてあるな… 手を怪我したのか。
「陽太くん目を覚ましてくれてよかったです!
痛いとことかないかな?あとは、吐き気とかもない?」
「大丈夫です。」
「なら、とりあえずお医者さん呼んでくるね」
看護師さんがお医者さんを呼んでくれていろんな検査を受けた。
僕は頭をぶつけたらしい。その時に分かったのは、僕は「へんとうたい」という所に少し怪我をしてしまったらしい、ということだった。そのことについて説明をしてはくれたけど、新発売のゲームはどうなったのか心配でしょうがなく、とにかくややこしい説明は頭に入ってこなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「陽太!!大丈夫?」
「お見舞い行けなくてごめんな」
「無事で良かった〜」
病院から退院して学校に行くと、みんなに心配された。
学校に行けなかったのが長かったけど、何故か緊張せずただみんなが心配してくれたのが少しだけ嬉しかった。
「陽太、今日は調理実習だって言ったが必要な物は持ってきたか?
まあ、休んでたから忘れててもなんとも言えないんだが…」
先生は頭の後ろに手を当てて気まずそうに言う。
「あ、それ母さんが持たせてくれたのでカバンの中にありますよ」
「そうか、なら良かった。学校に貸せるエプロンがなくてな」
そして家庭科の時間になった。
今日は味噌汁とおにぎりを作る。
僕はおにぎり担当になっていたので、丁寧に水でお米を洗う。
ザー、ザー、ザァー…
お米をとぐ時は手をボールを握るような形で優しく静かにとぐ。
それを炊飯器に入れ、お米が炊けるのを待つ。
中では、お米と一緒に入れた水が水蒸気になりお米を蒸す。
ふわふわなお米で作ったおにぎりは美味しいんd―――
「ちょっと誰が火みてたの!!!なんか燃えてる!!!!」
「先生!!消化器!!」
「何が燃えてんだ?」
「めっちゃやばくない?」
「これだけだったら火事にならないよね…」
あ、燃えてる…
火って確か酸素があるから燃えるんだって理科でやった。
だったら…
「おい!!!陽太危ないぞ!」
危ない?何がだろう。
「そっち行くなって!!!燃えるぞ!!!」
「近寄るなって!!」
「消化器あるから!!」
僕は火を消そうと近づき、燃えているものを鍋の蓋で思いっきり閉じ込めた。
すると次第に火の勢いはなくなって、消えていった。
消化器を持った先生は、きょとんとしている僕に感謝を言った後にそれの何倍もの時間の間大声で喋っていた。その内容は、「今回は上手くいったから良かったが一歩間違えたら死んでしまうんだぞ」という僕には理解しづらいものだった。
僕はすぐに保健室へ連れて行かれ、何もないとなった後に普通に残りの授業に出て帰った。
「ただいまぁ…」
「ひなた!?大丈夫なの!?」
「なんのこと?」
「火!」
「火ぃ?」
「ボヤ消したんでしょ!!消化器も持たずに鍋の蓋持って消したって先生から!」
「うん、消した」
「あんたねぇーー!!」
その後、僕は病院に連れていかれてお医者さんから話をもう一度受けた。
僕は「扁桃体」を損傷したこと、それは恐怖心を感じにくくなったり、むしろ普通は感じないものに感じてしまったりすること。さらに「扁桃体」は簡単に言うと恐怖心や緊張、不安などの主にネガティブなことに反応し、そのような危機を回避するために働く重要な部分であるということ。
「だから、『恐怖を感じない』っていうと聞こえはいいけど、すぐに危険な状況に陥ってしまったり、周りの人が怒っても感じることが少なかったりするんだ。そのあたりはこれから気をつけてね」
「あ、はい。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二十歳になった今でもなかなか不便だ。
恐怖を感じないことは危険な状況だと判断できず、簡単に死に至ってしまう。また、もし大切な人や物が危険でも気づけないのだから。
あの時は、僕が歩きながらゲームしていたのが悪いが、この世界には生まれつきでこのような障害を持っている人もいる。多様性が叫ばれる時代だからこそ、もっとそのようなことにも目を向けたり相手のことを知ろうとし、教えたりすることも僕は大事だと思う。
※この物語は実際となんの関係もありません。
僕としての「扁桃体の存在意義」の答えは、「人が生きるため」だと思います。
たしかにストレスは扁桃体も関係しているけれど、この主人公のように死ぬことに対して恐怖
を感じないということは、自殺が多発したり簡単に人を殺せたりする世界になってしまいま
す。だから、僕はストレスを感じている器官であっても扁桃体は必要だと考えます。
こわさ ゆ〜 @WGS所属 @MainitiNichiyo-bi
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