転生~幼年期 第11話
11.七五三④
昨晩の幸せな晩餐を思い出しているうちに、センザン神社に到着した。境内では多くの人が参拝や周遊をしていた。ミョーケンザン神社と比較すると人出の数約2倍。センザン神社は平地におわす神社だった。規模はミョーケンザン神社の倍以上かな。
(ホッ 平らでよかった。坂道は幼児の俺にはきついからな。でも強くなるには良い事か。強くなるって地味にコツコツだな)
手水舎で手水を使って各所を清めいざ参拝。まぁアキーコお婆さんに手伝ってもらったが。
俺の心の中はどきどきだぜ。なんせ神社にお参りするたびに加護を頂いているからな。今回も期待は膨らむ。チートは避けたいが自分が強くなることへの誘惑には逆らえない。三点課題解決の為にも有益だろう。
「「「「「「「「2礼」」」」」」」」
ガラガラガラガラガラガラ
チャリンチャリンチャリン
「「「「「「「「パンパン」」」」」」」」
「「「「「「「我が家の長女ナオが無事七歳となりました。そして長男、カズチャも無事五歳となりました。ありがとうございます。ナオとカズチャと家族がこれからも幸せに過ごせますようお見守りのほどよろしく願いします」」」」」」」」
「」の数をよおーく見てくれよ。カオも「バブ」じゃないからな、なんて余計なことを考えてたら、来たーーー 俺は、いつもの眩しいけれど暖かな光の奔流につつまれた。
〈おお、シンバよ、ここへ来るのはもっと先だと思っていたが、よう来た。この世界での生活にも慣れとるようだな。能力の鍛錬も順調なようでなによりだ。儂からもそなたに加護を授けよう。悔いのない人生を送るのだ〉
その言葉の終わりと同時に、光の奔流が徐々にどこかに消え去る。直後、俺の脳裏に〈ピコーン〉と電子的な音が鳴り、続いて
〈エイビスの加護を得ました。成長に補正がかかります。『狩猟』のスキルを取得しました〉
(『狩猟』か、マジで3度目も来たな。俺をどこかに導こうとしているのか、ただの気まぐれなのかわからないが有り難く頂戴しよう。ありがとう神様)
「「「「「「「「礼」」」」」」」」
皆に合わせて礼をし、ナオ姉七歳カズチャ五歳の七五三は無事終了した。と思ったんだが、
「ねえ、父さん。イザナーギの加護ってなぁに?槍術ってなぁに?身体強化ってなぁに?」
カズチャが父さんに語り掛けた。
「え?カズチャ、なんだって?もう一度言ってくれ」
「お参りしてたら、急に周りが白く輝いて、男の人の声で、イザナーギの加護をあげるっていわれたんだ。そして『槍術』が使えるっていって、周りの白いのが消えたんだ。」
「あ、私も一緒。神様にお礼をしていたら〈ピコーン〉って鳴って、イザナーギの加護を得ましたって。成長に補正がかかるとか、『槍術』のスキルを取得しましたって声が聞こえたの」
「何?ナオもか?…… おお神様ありがとう。カズチャ、ナオおめでとう。イザナーギの加護を授かったのか。イザナーギ様はここ、淡路の島を作った神様の内の一柱だぞ。ナオとカズチャはイザナーギの神様からお祝いをもらったんだよ。そして鍛錬を積めば槍を上手に使えるようにしてもらったんだよ。そして身体強化が使えるようになったはずだよ。気持ちを込めると体を強くできるんだ。神様から加護のお祝いを頂くのは珍しいことだけど、とてもありがたいことなんだよ」
「わーい。イザナーギの神様ありがとう。槍を上手に使えるようにたくさん練習します。」
「やったー、僕も槍のれんしゅうがんばるぞー。イザナーギの神様ありがとー」
「「「「「「ナオ、カズチャ、おめでとう」」」」」」
(おいおい。加護を授かることがあるのは既知の事だったのか。俺だけ特別だと思ってたけどすんなり受け入れられるんだな。よし今のうちに、善は急げだ。俺の直感が告げている。ここで動かないと三点課題の解決が遅れると)
「父さん、僕もベザイテーン様とホッテイソ様とエイビス様から加護をもらったよ。」
「「「「「なんだって?」」」」」「「?」」
大人3人が口をあんぐり開けて固まった。ナオ姉とカズチャも唖然としている。周囲の木立から鳥の群れが一斉に飛び立つような不穏な空気とは違う、俺が前世でも経験したことのない未知との遭遇をしているような空気だ。
俺の発言はどうやら前代未聞の事案だったようだ。まぁ一度に三柱から加護を頂いたことにしたからな。微妙な空気を纏って俺たちは神社から引き上げるのだった。
平成の営業マンはここぞという時に脇が甘いんだ。そのおかで何度煮え湯を飲まされたことか。あ、これは俺だけか。よく怒鳴られたからな。パワハラ?昭和のモーレツ達の辞書にそんなものはなかったよ。
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