転生~幼年期 第5話
5.収納の検証
お宮参りを終えて数日。この間俺はいつものルーティーンをこなしながらホッテイソの加護を得たと同時に発現した『収納』の検証をおこなった。前世ラノベの世界では大人気の『収納』だ。これを使いこなせれば異世界生活はバラ色となる。ニアマ父さんやイチジ爺さんの持つ『収納』との違いはあるのか。俺の胸の内は期待に膨らむ。
そうそう、ナオ姉の耳たぶ好きは相変わらずだ。だが、今はその標的が生まれたばかりのカオの耳にロックオンされている。俺の耳はどうやら格闘家のようにならずに済んだ。そのお陰もあり、俺は自由に動き回ることが出来る。敷地の中だけだが。
商店ダイホウの倉庫に積んであった米俵に手を触れ、(『収納』)と念じた。その瞬間、米俵は消えた。
(消えたよ。ニアマ父さんと祖父のイチジ爺さんに『収納』を見せてもらったときと同じだ。ん?取り出しはどうするんだ?まぁ適当に)
消えた米俵のあった場所を意識して(『出ろ』)と念じる。何も起きない。(『出す』)、(『放出』)、(『出てこい』)(『出ておいで』)、米俵は出てこない。
(意外と難しいな。ニアマ父さん達は無言で何の苦も無く出し入れしてたけど。使い方聞いて来ようかな?いやいやいや、それは悪手だ。幼児が『収納』を持ってるなんて絶対異常だからな。冷静になろう。収納の対義語は確か『展開』か?)
脳裏に米俵と表示された。
(おお~、『展開』でよかったのか)
『収納』されていた米俵が元の場所に戻った。
米俵の大きさは約1㎥、重さ約60kg。
(本当に収納が使えるよ。ファンタジーの王道だよ。チートだよ。)
ファンタジーの王道スキルを手に入れて興奮した俺は、倉庫にあるものを手あたり次第『収納』を試した。
米俵2俵は無理だった。2俵目を『収納』しようとしたときに胸がつかえるような感覚が起こり2俵目は収納できなかった。体積なのか重量なのか原因はわからないが何らかの制限がかかったのだろう。椅子などの比較的軽いものは複数個収納できた。また、『収納』『展開』ともに手に直接触れなくても可能であった。収納したいもの、展開したい物と場所を明確にイメージすれば簡単にできた。
また、『鑑定』のように使いすぎるとMP消費するのか気になったが、都合数十回『収納』『展開』を使用しても眠気は襲ってこなかった。魔力消費はないのだろう。 レベルアップの要素になるのかは不明だ。
こうして俺は『収納』スキルに大満足したのであった。でもね、まだ試してないことがあるんだ。『収納』の対義語を考えていた時に『展開』以外に閃いた言葉があった。でも今は試さない。本当に発動してしまったら大変なことになるからな。
もう一つ気になっているのは、授かった加護がどの程度成長の補正をしてくれているのかだ。既に何度かレベルアップを経験しているが、他の人はどうなのか。とにかく比較情報がない。『鑑定』でも経験値やレベルは出てこないしな。いずれ出てたとしても過去の状態は『鑑定』できない。ルーティーンは続けているがその効果はどの程度か。加護の成長補正はどの程度か。それが2つとなれば単純に倍なのか二乗なのか。
(まぁこんなことでもやもやするのは前世の影響だろう。常に他人と比較評価されて一喜一憂。受験とか最たるもんだ。あ、社会人になっても他人との比較は同じだな。昇給とか賞与とか常に評価されてたからな。せっかくの異世界人生。他人を見て上だとか下だとか気にするんじゃなくて、俺は俺だ。の精神で行きたいもんだね。)
平成の営業マンは安全第一なんだよ。だってコンプラとか煩いからな。
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