転生~幼年期 第4話
4.神社再び
「みんな、準備ができたら出発するぞ。」
「「「準備OK―」」」「バブ」
『鑑定』スキルの成長から1年の歳月が過ぎた。この世界の時間軸は1年が360日。1月は30日、1日24時間。1時間60分。1分60秒だ。だが表現は刻だ。一刻2時間。半刻1時間。四半刻30分。但し時計は普及してなくて、誰かが時を告げる鐘を鳴らしている。昼間だけだけど。他の度量衡はおいおい。俺の住むアワージの町は四季も前世と同じくあり、俺は3度目の春を迎え2歳となった。
ちなみに現在のステータスはこんな感じ。相変わらずルーティーンこなしただけあって、レベルは上がってる。。
鑑定結果:シンバ(2) 人族 男
Lev12
職業 無職
経験値1536/12288
HP9/9
MP7/7
STR2 力の強さ 物理攻撃力、所持武器、荷物量
DEX1 器用さ、命中率、クリティカル率
VIT2 丈夫さ、持久力、物理防御力
AGI1 敏捷性
INT3 知力、魔法攻撃力
LUK12 運 クリティカル率、ドロップ率、生産成功率
レベルや加護の各種補正がついても伸び率は低いようだ。本当に補正がついてるのか疑わしいが、レベル11になったときに例のピコンが「上昇した補正値が付きます」とか言ってたな。レベルにおけるステータス補正はレベル5単位で上がる可能性があるが検証しようがない。まぁいいか。
今日は家族揃って今年の早春に生まれた俺の妹、カオのお宮参りの日だ。
俺の住むアワージの町は、中心にこんもりとした約100m程の高さの丘ミョーケンザンがありその頂上に神社がある。ミョーケンザンを中心に半径5キロ程の距離に堀と土塁で構成された囲いが円周状に築かれている。東から東南には海運・漁業用の港やその施設、従事者たちの住居がある。いずれも木造、瓦屋根、土壁の古き良き町並みだ。東西南北には通用門があり、各地への街道と繋がっている。これから町の中心部にあるミョーケンザンにある神社へと向かうのだ。
我が家は比較的漁港近くの商業街にある。そこからニアマ父さんと手を繋ぐカズッチャ兄と俺、カオを抱っこするイスリ母さんでのお参りだ。イチジ爺さんとイーセ婆さんは店番でお留守番だ。約1時間弱、四半刻ちょいで坂道を登り参道の執着地点まで到達した。
「「「「2礼」」」」
ガラガラガラガラ
チャリンチャリン
「「「「パンパン」」」」
「「「「我が家に新たな娘(妹)が誕生しました。カオと名付けました。スクスクと健康に育ちますようお見守りのほどよろしくお願いします」」」」「バブ」
それは突然始まった。眩しいけれど暖かな光の奔流につつまれた。俺のお宮参り以来の光景だ。
「シンバよ、よう来た。よう来た。待って居ったぞ。この世界への転生を無事に成し遂げ、その能力をよう研鑽しておる。そなたに我が加護を授けよう。悔いのない人生を送るのだ。」
その言葉の終わりと同時に、光の奔流が徐々にどこかに消え去る。直後、俺の脳裏にピコーンと電子的な音が鳴り、続いて
「ホッテイソの加護を得ました。ステータスに補正がかかります。『収納』のスキルを取得しました。『収納』重量 魔力量×10kg、容量 魔力量×1㎥が使えます。」
ピコン
「経験値が規定値に到達しました。収納スキルの第2段階が解放されます。収納排出範囲拡大、収納排出速度自在を使用することができます。」
機械的なアナウンスが俺の脳裏に響いた。
・・・何事だ?またかよ?今日はカオのお宮参りなのに。。。
まったくこの事態を予期せず油断していた俺は光の奔流が収まった後もしばし呆然としたのであった。
「「「礼」」」「バブ」
あわてて皆に合わせて礼をし、俺の妹カオのお宮参りは無事終了した。
俺のお宮参りの時と同様、例のお茶屋さんでみたらし団子をほおばった。もちろん口の周りはべとべとだ。あー、こんなに美味かったのか。俺は新たに授かった加護とスキルの事を考えないように頭の片隅に追いやり、みたらし団子を堪能したのだった。
平成の営業マンは様子見が得意なのだ。先送りとも言うけどね。
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