第164話【創星装備】
◇創星装備◇
それは別に最強装備という訳じゃない。
しかしその見た目と、アニバーサリーという形で登場したおかげで、ルクスの代表的な装備として知られる様になっていた。
ガチャリ……と、ルクスが木箱を開けた。
「これって……ス、スゲェ!!なんだよこれ、アル!?」
木箱の中身と僕に視線を行き来させて、その喜びを笑顔で表現するルクス。
「ルクスに贈呈する。【サンバル川】であれだけの戦いを見せたんだ……あの光に耐えられるかは分からないが、それでもマシだろうと思ってね。書物によると……創星装備と言うらしいが」
初代の【ギャラクシー・ワールド・ソウルズ】には、武器、防具、アクセサリー×2。の装備項目しかなかった。3作目からは装備項目が増えたんだけどね。
武器×2(盾)、身体装備、頭装備、足装備、アクセサリー×2。だったかな。
「創星装備!スッゲェカッコイイな!これを、俺のために!?」
鎧と同じくらいキラキラの目で見てくる。
純真無垢なんだよ、君は……眩しいって!
「違う。勝手に死なれたら僕が困るからだ!父上の任務も熟せないようじゃ……姉さんを任せるのも馬鹿らしくなる」
ツーンとした態度で。
「あはは!そっか……それでいいよ!ありがとな、アル!!」
「ふふふっ。素直じゃないなぁ、アルは」
「そうですわね。一年前はもっと素直だったのではなくて?」
次々に僕へ対する言葉を投げる三人。
僕はそっぽを向き。
「う、
ルクスはまだ病み上がりだ、それでも行くと言うんだから……主人公だよ、どこまで行っても君は。
「わ、分かったって!怒るなよぉ!!」
そう、あくまでもシナリオに沿って進むんだ。それは僕が何もしなくても、きっとルクスたちが証明してくれる。だけど僕は決めた。不足の事態にだけは、絶対に上手く対処して見せると。
この世界に転生して七年……僕はまだまだ甘かったと認識した。
ゲームの世界だから、そのシナリオ通りに進むに違いない。多少の
だから、万が一にも仲間が死んでしまうような事態だけは避ける。僕が離脱するまでは、絶対に皆を守ってみせるさ。
◇
「……疲れた」
「うふふ……アルベルト君、優しいのですわね」
プレザが笑顔で言う。
「なんだ急に」
ルクスは着替えに行った。姉さんは付き添い。
「いえね。正直……一年前のあの時、私は君がドライなのではと思っていましたわ」
「なら変わっていないだろう。僕は……冷たい」
「いいえ。君は凄く……熱い
自分の大きな胸をトントンと叩き、示す。
心……か。それはそうだよ。だって僕は、本来のアルベルト・リヴァーハイトじゃないんだ……クールで冷静なキャラになりきれない。それが僕の甘さか、それとも……本当は、この展開を望んでいたのか。
制作者に対する冒涜にも等しい、シナリオを崩壊させる……
僕は、本当にこの世界で生きていていいのだろうか。少しだけ、分からなくなっていたんだ。
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