第10通 ifの話。〜コネがあるなら使え!〜

もし、あの時あれをしていれば人生が変わっていたかもしれない。と、思う事ありませんか?

ありますよね?私はあります。


人間ですからね、生きていればいろんな選択肢があるし、チャンスや裏技もあります。

今回はそんなお話です。


前回、お伝えしたように名前さえ書けば受かる外務職員の試験を合格した私。

実はこの時、郵便課配属の郵政事務Bの試験も願書を出していました。

郵政外務職員の合格を知ってから約一ヶ月後ぐらいにその試験があったのですが、当日に台風が接近し、天気は暴風雨。

その気になれば行けるんですが、台風の中受験しに行くのはめんどくさい!!と、行かなかったんです。

数日後、台風で試験を受けれなかった人の為に再試験が実施されました。


しかし、もう外務員として就職は決定していたのでもういいや!と、これも行きませんでした。もう、全く試験に対してやる気が無かったんですね。


で、翌年度になって、外務員として毎日配達をする日々を送っていたある日、局長室に呼び出されました。

なんだろな?俺、悪い事したかな?

と、局長室に行ってみると私の祖父がいたんです。

実は私の祖父は昔、小学校の校長先生をしていて地元ではちょっとした有名人でした。

祖父は厳格な先生だったらしく、その当時の私の地元では鬼の〇〇先生と恐れていた元教え子の方々が沢山いたようです。

その祖父がA市のちょっとした役員をやっていてその挨拶でA郵便局に立ち寄り、その時に孫がここで働いてると局長に言ったらしいんです。

それで局長に呼ばれました。

「そうか、君は〇〇さんのお孫さんか?もし、何か困った事や頼りたい事があったら言ってくれよ?」

「仕事で何か希望とかあるかね?」と局長に聞かれたので、

「内勤の仕事とかやってみたいですね」

「そうか、それならまずは郵政事務の試験を受けないとね」


郵政外務職員になっても、郵便窓口や郵便課には役職者にならない以外に移動できません。郵政事務A、Bの試験を受けなくてはならないのです。


祖父も「まあ、孫をよろしく頼むよ」

「〇〇さんのお孫さんが立派な局員になれる様に面倒を見させていただきます」

といったやりとりがありました。


祖父が局長が自ら挨拶する様な人物だったとは知らなかった私なんですが、その時わかりました。


私には強力なコネがある。と。


早い話が、試験を受ければあとは何とかしてやるよ?的なことです。


で、普通ならそのコネを使うのが正解なんですが、高校も卒業したばかりの頭の悪い勢いだけ立派な若僧ですからね、コネを使うのはカッコ悪い!と思ってたんです。

コネを使って良い仕事に就くとかはまるで金持ちの甘やかされたボンボンが使う手だ。俺はそんな情けない甘えたことはしたく無い!コネなんか使わない!俺は俺の道を行くんだ!!と変な反骨心が芽生えたんです。


で、翌年の郵政事務Bの試験を受けなかったんですね。

今、思ってもバカでした!!

もし、この時に試験を受けていればまず間違いなく合格して郵便課の内勤に変わっていたでしょうね。


この祖父の挨拶の数ヶ月後に軽四での配達時に、配達先でちょっとした接触事故を起こしました。


当時の課長代理が「これは始末書だな。」と言っていたのですが、

数日後に「始末書は書かなくていいから顛末書を書いてくれ。

…お前、局長に誰か知り合いいるか?」

「はあ、祖父が局長と挨拶してました」

「そうか、それでか。普通は始末書なんだが顛末書になったから、なんでだろうと思ったんだけど、そういう事か」

それ以来、その課長代理の方は私にはキツく言わなくなりました。


しかし、そのコネも長くはありませんでした。


翌年に私の祖父が年齢的にもA市の役員を辞めて、A郵便局の局長も新しい局長に変われば私の祖父のコネなんて関係ないですもんね。

もし、あの時そのコネを使って試験を受けていれば私の人生はどう変わっていたのか?

後悔しかありません。

あと、自分にはチャンスをモノにする行動力が欠けていたなとも思いました。

結構そういうのに腰を上げるのが億劫なんですよ。


今回で思い知った教訓はいつまでもチャンスがあると思うなモノにしろ!でした。

ことわざにもありますよね?「ある内に頼れ親とコネ」ですよ。

え?無いですか?


せっかくのチャンスをモノに出来なかった愚か者のお話でした。


そう、そう。コネといえばもう一つこんな職員もいました。

今回は長くなったので、次回にご紹介させていただきます。

 

今回もご愛読ありがとうございました。

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