第11通 コネを使って郵便屋さんになった人の話。前半。
せっかくのコネを使わずにチャンスを棒にする青年もいれば、そのコネを活かして郵便屋さんになった者もいます。
今回はコネを使って郵便屋さんになった職員のお話です。
私が郵便局員になって翌年に1人の新人が入りました。
4月採用で他の高卒採用と違い、中途採用なので二つ程年上だったと思います。
この局員Mさんは私と違う班に配属されていたのであまり接点は無かったのですが他の新採と一線を画してました。
ヤンチャな高卒と違って大人しくほとんど喋りません。で、いつもニヤニヤしてる。人の話を聞いているのかいないのか?ボーっとしていて仕事内容も頭に入って来てないという印象がありました。
噂によると入局の初日に母親と2人で来たとか。
瞬く間に変わり者が配属されたぞ!と話題になりました。
まあ、私もバイト時代に夏場に麦わら帽子被ってましたからね。ある意味変わり者だったのかも知れませんが、Mさんは遠巻きに見ていても変わり者なのは伝わって来ました。
当時は組合員の親睦会という名の飲み会がちょこちょことありまして、その二次会でカラオケスナックに先輩らと言った時に初めてMさんと接しました。
「おい。Mと握手してみな?」と酔った先輩が言うものでなんだろな?と握手を求めるとニヤ〜リと無言で握り返してくるのですが、めっちゃ握るのです。まるで握力計で握力を図るみたいに!
「嘘でしょ⁉︎痛い痛い!!もういいですから!!」とその席から離れましたが、周りの先輩達はゲラゲラ笑ってました。
集配課は内勤の郵便課や窓口業務、特定郵便局と違って男ばかりの男子校の様な結構荒っぽい職場で、今ではパワハラと大騒ぎするような事は日常茶飯事です。
2年経ってもMさんはその環境や仕事に馴染めないようでした。
とにかく全てにおいて遅い。誤配も多い。先輩配達員からは怒鳴られる。
側から見ても、Mさんを戦力として班構成されてる班員は気の毒だなと思える程仕事が出来ませんでした。
そう、みなさんお気づきですね?
このMさんこそが今回のタイトル「コネを使って郵便屋さんになった人」なのです。
まず、みんなが疑問に思いました。
よく試験に合格できたな?と。
以前に私が名前を書けば受かる程の広き門の試験だったとお話しましたが、いくらなんでもおかしい?とみんな思うわけですよ。
で、班員の方々がいろいろ探ってみると、このMさんはどっかの代議士の親戚の方でその代議士から局長が頼まれたので雇用したという究極のコネがあったのです。
みんな思いましたね。
なるほど〜と。
そりゃ納得いくわと。
いや待て!!それで入って来た役立たずをうちの班がなぜ受け持たないといけないんだ⁉︎勘弁してくれよ!!
1番の被害者は配属先の班員の方々でした。
そんなある日、事件が起こるのです。
一件の苦情電話が郵便局に掛かりました。
暴力団事務所から。
今回もご愛読ありがとうございました。
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