第9通 国家公務員時代の郵便屋さんの試験の裏話。後編。
(注)今回お話しする内容は全国的に郵政省が行った事では無く、私が勤めた郵便局エリアが行った事なので、そこの所を念頭にお読みください。
景気が良すぎて人気の無い公務員。
そんなバブル期で人手が足りない郵便屋さんのお偉いさんが行った奇策とは?
それはズバリ!!ビラ配りです。
当時の郵便屋さんは何度も言う様に国家公務員ですので、郵便局で就職したいとなると、国家公務員試験を受けないといけません。
しかし、受験者があまりにも少ないので私の職場の郵便局では、総務課長や集配課の集配課長自ら駅前で「郵政外務職員募集中です!郵政外務職員募集中です!!郵便局で働いてみませんか?」と、ビラを配ったのです。
当時は人海戦術が基本の時代ですからね。役職者自ら先陣を切って駅前で郵政外務職員募集中をアピールし、その部下の職員も一緒にビラを配っていました。そういう時代があったのです。
現在はアルバイトから期間雇用社員という名前に変わり、時給や働く内容などが書かれた人員募集ハガキを郵便屋さんが郵便配達時にポスティングしていく方法や、新聞広告や職業安定所での求人をしています。
そして、大学卒業生がこの好景気に外務職員の新採用試験を受ける事は本当に少ないので、ターゲットを高校卒業生に絞っていきます。
この当時に私の勤めていたA郵便局には私が入局してから7年近く毎年高卒の新人が入ってきました。
同じ県内でも勤め先が少ない地方の田舎の高卒採用で、特に多かったのは漁が盛んな漁師町出身の高卒採用です。
漁師にはなりたく無いけど、仕事が無い。大学行く程賢くない。でも、体力には自信ある。
早い話がヤンキー気質のやんちゃな高校生です。
そういう生徒に先生が何とか就職先を探そうと走り回り、郵便局や、知人から紹介された郵政外務員試験を受けないか?と声を掛けるわけです。
私の4歳下の後輩で工業高校に通っていて、先生に停学になりたくなかったら郵便局の外務員の試験を受けろ!と、停学免除の代わりに無理やり試験を受けさせられた者もいます。
で、その郵政外務員の試験も高卒程度の学力テストと作文と面接が主な内容なのですが、あまりにも人材不足なので自分の名前さえ書ければ受かる!!と言われるほど合格率が高く、私が言うのもなんですが、誰でも受かります。
そういう風に毎年ヤンキー気質のやんちゃな高卒新人が入ってくるのですが、そのほとんどが勉強は出来ないけど、体力があるし、バイクの運転は慣れてるし、持ち前の明るさでお客さんには可愛がられるし。と、そういうヤンキー気質の高卒新人は勉強が得意だけど、体力やコミュ能力が低い高卒新人より仕事ができるんですよね。
そして、そういうやんちゃな新人の方が先輩職員に可愛がってもらえるもんだからドンドン仕事も覚えて郵便屋さんとしても成長していくんです。
そう、意外と郵便屋さんとヤンキーはマッチしてました。
今でも忘れられない私のその4歳下の後輩のセリフがあります。
「最近、夜にA駅のロータリーで2ケツの族のバイクが2、3台走ってるでしょ?アレ俺の後輩なんです。
2週間前もその後輩に誘われてタオル巻いて俺も後輩の後ろに乗って走ってました。」
その後輩は今では某郵便局の集配部で課長の仕事をしているそうです。
元気にしてるかなあ?
と、バブル期の国家公務員の試験事情を3回に分けてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか?
今回もご愛読ありがとうございました。
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