第47話 天使な息子を屋敷に置いて王宮に向かってしまいました

私はその日は朝から少しだるかった。

「シャルルちゃん、今日も可愛い」

私はシャルルを抱いてキスする。


でも、なんかシャルルちゃんのご機嫌は今日は斜めだ。

グズグズしているんだけど……


なんか少しイラッとした。

その私の顔を見たとたんだ。


オギャーーオギャーー


とシャルルは泣き出したのだ。


「えっ、どうしたの? シャルルちゃん」

私は慌てて抱き直した。


「大丈夫よ」

そう言って揺するがシャルルは泣き止まない。


「どうされたのですか、お嬢様」

慌ててアリスが入ってくるが、おしめを取り替えてもおっぱいをやっても治らなかった。

二人していろいろやってもシャルルの機嫌は全然治らなかったのだ。


「大丈夫なのか?」

その様子を椅子に座って見ていたエドが言ってくれるんだけど。


「あんたね。私達が大変なの見てたら判るでしょう。少しは手伝いなさいよ」

私がムッとして言うと


「手伝えって、何をすれば」

「取り敢えず、抱いてみなさいよ」

私がシャルルをエドに渡すと


「「「「オギャーーーーオギャーーーー」」」

更に大音響でシャルルが泣き出したのだ。

もうエドは唖然としているし


「ああ、もう貸しなさい。全然エドは駄目ね」

ムッとして私がシャルルを取り上げるとシャルルの声は小さくなった。


その横では唖然としたエドが固まっているんだけど。


でも、私があやしても、全然シャルルは泣き止まなかった。

私も段々イライラしてくるし……


「お嬢様。私が少し代わりましょう」

そう言ってアリスが受け取ってくれると何故かシャルルはピタッと泣き止んでくれたのだ。


「えっ」

私は驚きで固まってしまった。


「そんな馬鹿な」

私は信じられなかったのだ。


「ちょっと貸してみて」

私がシャルルを抱くと


うーーーオギャオギャ


また、シャルルが泣き出したのだ。


また、アリスに代わると泣き止んでくれたのだ。


嘘ーーーー!

私は茫然自失した。


「まあ、お嬢様、こういう事もたまにはありますよ」

アリスが自慢げに言ってくれるんだけど……


そして、それはメリーが抱いても同じだった。メリーにはクズついてはいるが大人しくしているのだ。


私が抱くと


オギャーー

と泣き出したのだ。


今までこんな事は無かったのに……


私はショックの余り倒れそうだった。



「ウホン、ウホン」

その時わざとらしく後ろから咳払いがした。


「なんなのよ、エド」

私がムッとして聞く。

この忙しいときに何なのだこいつは!


「いや、母がまたジャンヌを呼んでいるんだ」

エドは済まなそうな顔をする。


「でも、シャルルちゃんの調子が悪いのは判ったでしょ。今日は無理!」

さすがの私も今日は断ったのだ。一日くらい行かなくても良いだろう!


私はシャルルの機嫌を取ろうとした。でも、シャルルはこちらを向いてくれないのだ。

アリスの豊満な胸の中に顔を埋めているんだけど……

なんかそれもムカつく。


「いや、それがだな、今日は父も待っているのだ」

更にすまなさそうにエドが言い出してくれたんだけど。


「はいっ? どういう事?」

私は驚いてエドに聞いた。


陛下とは夜会でお会いして以来ほとんど会ってはいない。

その陛下が何の用があるんだろう?


「何でもジャンヌに頼みたいことがあるそうで」

言いにくそうにエドが言う。


「頼みたいことがあるなら、そちらからこちらに来るのが筋じゃなくて」

私がムッとして言うと、エドが驚いた顔をしてくれた。


「お嬢様、さすがに陛下にそれは」

アリスが注意してきた。


「だって、シャルルちゃんがこんな感じじゃ、さすがに陛下の前につれていくことは出来ないじゃない」

「それはそうですが」

アリスも私の言葉に戸惑っていた。


「何でしたらアリス様と私でシャルル様の面倒は見ておきますけれど」

メリーが言ってくれるんだけど。


「えっ」

私はその言葉に戸惑った。

「そうですね。すぐに帰ってこられれば良いのでは。それまでシャルル様の面倒は私とメリーで見ておきます」

アリスまで言ってくれるんだけど。


私はどうしようか悩んだんだけど、さすがに陛下をほっておくわけにもいかない。

それに私に懐かないシャルルにも少しムカついていたのは事実だ。


私はエドと一緒に王宮に向かうことにしてしまったのだった。

そのことについて私は嫌ほど公開することになるのだった。

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