第35話 王妃様から王子と結婚してはどうかと爆弾発言をされました

つんつん

私は寝ている天使な息子のシャルルちゃんをつついた。


「うー」

シャルルちゃんは首を振っていやいやする。それもとても可愛いんだけど。

あんまりやるとメリーが怒るからやらないけれど。


「ところでジャンヌ。この王宮はそろそろ慣れましたか?」

隣で見ていた王妃様が聞いてこられた。

今日は王妃様に呼ばれていて、王宮の王妃様のお部屋でお茶会なのだ。

当然王妃様のお部屋は立派だ。


まあ、でも、私は天使な息子のシャルルちゃんしか見ていないけれど。


侍女たちも皆周りに集まってきてシャルルちゃんを見ている。

シャルルちゃんはそんな中はしゃいでいたが、流石に疲れたみたいで、今は寝ていた。



「まあ、王宮は子供の頃からいろいろ楽しませていただいておりますから」

私は余り何も考えずに、適当に答えていた。


私の横では嫌そうな顔をしたエドが私を見てきた。こいつも仕事に行けばよいに、何故かこの部屋にいたのだ。


まあ、昔から王宮で遊んでいる私はエドとカーティスを引き連れていろんな冒険をした。

大臣のかつらを釣り上げたり、歴代の国王陛下の肖像画にいたずら書きしたり……


見つかって付き合わされたエドもカーティスも私と一緒に怒られていたっけ。


まあ、今となってはいい思い出だ。


私がそんな想い出に浸っていた時だ。


「そうよね。あなた小さい時からこの王宮に出入りしていたわね。じゃあ王宮で生活するのも慣れているわよね」

「まあ、寝起きしたことはないですけれど、何処に何があるかは大体は判っています」

そうだ。エドと一緒に秘密の通路とか全部探検したんだった。

王宮外への脱出通路も全て見つけ出していた。


そう、私は全然見当違いなことを考えていたのだ。


「じゃあ、あなた、私の娘として王宮に住んでも問題ないわよね」

王妃様が唐突にとんでもないことをおっしゃったんだけど。


その瞬間、紅茶を含んでいたエドがそれを盛大に吹き出していた。


「もう、汚いわね。エドワード。紅茶くらい礼儀正しく飲めないの」

王妃様の叱責が響いたが、


「すみません。母上。今、変な言葉が聞こえたような気がしたものですから」

むせながらエドが言い訳した。


「変な言葉?」

「はい。ジャンヌを母上の娘にするって」

カーティスに背中を叩いてもらいながら、エドが言葉を絞り出した。


そう、たしかに私もそう聞こえたのだ。


「そうよ。あなたのお嫁さんとしてね」

王妃様は爆弾を落としてくれたんだけど、


「「はい?」」

私とエドの言葉が重なったのは仕方がないことだった。


いやいやいやいや、私の聞き違いに違いない。


「あの王妃様。私も今、変な言葉が聞こえたような気がしたんですけど、私と王太子殿下が結婚するとか」

「良いじゃない。あなた達は幼馴染なんだから」

王妃様は笑っていうんだけど。


「「絶対に有り得ないです」」

私達の声がまたしても重なったのだ。


その余りの大声に

「オギャーーーオギャーーー」

思わず盛大に天使な息子のシャルルが泣き出したんだけど。


中々泣き止まなくて私はその真意を確認する間もなく、王妃様は次の予定があるとかでさっさと部屋を出られたんだけど、絶対に冗談だと私は思いたかった。


**********************************************************

すみません33話と34話更新する順番が34話のほうが早くなってしまいました。

33話まだの方はお読み下さい



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る