第33話 側妃達を反逆罪で断罪してやりました

「ふんっ、言いたいのはそれだけなの。アデラ・ナッツフォード」

私がニコリと笑って、呼び捨てにしてやった。


「な、貴方に呼び捨てされる覚えはないわ」

「そうだ。貴様、側妃様になんてことを」

「礼儀をわきまえろ」

側妃達が宣ってくれた。煩い奴らだ。


「だまらっしゃい!」

私は一喝したのだ。


私の横にいたエドが思わず飛び上がったほどだ。


「厄災だ厄災」

「ああ、この世も終わりだ」

「やばい、もっと離れないと巻き込まれるぞ」

周りの群衆が更に我先にと下がったのだ。


「メリー、この中で私の天使な息子のシャルルちゃんを誘拐するようにあなたに指示した奴は誰?」

「あの男です。側妃様の右から二番目の男です」

メリーが指さしてくれた。


男がギョッとした顔をする。


「ダニー・ボフマンです」

横からアリスが教えてくれた。


「そこのお前。私の天使な息子のオルレアン侯爵様の誘拐、殺害を命令したそうね」

私の氷のような声が響き渡った。


「ち、違う、私は側妃様に命令されただけで」

思わず男が叫んでいた。

「何を言うの。私は知らないわ」

「側妃様のせいにするな」

「勝手にやったのなら、罰は自分一人で受けろ」

「何を言われるのです。財務卿も近衛騎士団長もそこにおられたではないですか」

「何を言う。儂は知らんぞ」

悪人共が罪のなすり合いを始めた。


「陛下。この者ども、私の天使な息子のシャルルちゃんに手を出そうとしたそうです。どう責任を取って頂けるんですか」

私は笑って聞いてみた。でも、頬が引きつっているのが見えたみたいで、


「わ、わしは知らんぞ」

陛下は慌てて見捨ててくれた。


「では、私が処分しても宜しいのですね」

その言葉に周りの者がギョッとする。


「いや、それは」

何か、諦めが陛下も悪い。

一緒に処分されたいんだろうか?


「へ、陛下」

何か横の宰相が真っ青だ。必死に陛下に向かって首を振っていた。


「まあ、宜しいですわ。ブライアン!」

「はい。姉上」

私の呼びかけにブライアンは後ろ手に縛られたヴァーナスを連れて来たのだ。


「私達、この男達に襲われたんですの。ねえ、殿下」

私がエドに振ると、


「そうだ。この者に襲われたのだ。そして、この者たちの放った矢が私に当たったのだ」

「な、何ですって」

後ろから驚いた王妃様が現れた。


「エドワード、大丈夫なの?」

「はい、母上。ジャンヌに助けてもらいました」

「あなた、これはどういう事ですの」

王妃様が陛下に噛みついた。


「いや、儂は知らんぞ。」

「でも、あなたがエドワードにジャンヌを呼びに行かせたんでしょう」

「いや、儂はアデラに頼まれただけで」

陛下は怒り狂った王妃様の前にはそう言うしかなかった。


「側妃様はご自身の息子に継がせたいから王太子殿下が邪魔だったのですわ」

私が言うと


「何ですって!」

「いや、さすがにそくひもそこまでは」

「あなた、この期に及んで何を庇うのです」

否定しようとする陛下に王妃様が噛みついた。


「えっ、いや、知らないわ」

「そうだ。その者が勝手にやった事だろう」

「我らを巻き込むな」

側妃達も一斉に否定するが、


「何を言う。その男に俺は言われたのだ。馬車を襲って中にいる者たちを殺して亡きお嬢様の仇をうてばいいと」

ヴァーナスは側妃の横にいる男に向かって言ったのだ。


「あなた、そんな大それたことを命じたの」

「何という事だ」

「独断で何という事をしてくれたのだ」

この期に及んで側妃達は必死に罪をなすろうとしたが、


「何をおっしゃられるのです。『ついでに王太子が亡くなれば都合が良いわ』とおっしゃられたのは側妃様ではないですか」

男がはっきりと言ってくれた。


「そんな事は言っていないわ」

「そうだ、勝手な事を抜かすな」

「何を言うのです。『王太子が死ねば殺す手間が省ける』と財務卿も近衛騎士団長も笑っておっしゃられたではないですか」

男がはっきりと証言してくれた。

これで証拠は十分だろう。


「勝手な事を言うな」

「陛下、これは誤解です」

「そうです。陰謀なのです」

そう言うと側妃らはなりふり構わず、こちらに向けて駆けだしてきたのだ。

なんか必死だ。必死に叫んでいる。

でも、もう遅い。私は完全に切れていた。

そう、天使な息子のシャルルちゃんを誘拐しようとした点ですでに許されなかった。

それに、彼らの後ろに近衛騎士達も続いているんだけど。こいつら何がしたいの?



「そう叫びつつ陛下を亡き者にしようと襲って来るみたいですけど」

私が筋書きを読んであげた。


「ジャンヌ。構いませぬ。やりなさい」

王妃様が横から叫んでくれた。

これで了解まで取れた。


「御意」

私は頷くと


「アデラ・ナッツフォード並びにその一等、国家反逆罪にて処断する」

私はそう叫ぶや、手をかざすして雷撃を発射したのだ。


凄まじい閃光を発して雷撃が反逆分子たちを直撃した。


「「「ギャーーーーー」」」

私の雷撃を浴びて反逆分子達は凄まじい叫び声を上げた。


そして、雷撃が終わった跡には黒焦げになって倒れ込んだ反逆者たちが残ったのだ。


こうして私にちょっかいを出してきた側妃達を私は処分したのだ。


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ここまで読んで頂いて有難うございました。

いかがでしたでしょうか?

☆☆☆を★★★にして頂けたら嬉しいです。

まだJまだ続きます。

どんどん更新していきます。



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