第12話 伯母たちが攻撃してきたので返り討ちにしました

その日も私はご満悦だった。

だって天使な息子が可愛すぎるのだ


「シャルルちゃん、お目目きれいでちゅ」

私はそう言うとシャルルのほっぺたにキスした。


「お手手も可愛いでちゅ」

手にキスしていく。

「きゃっきゃっ」

天使な息子は喜んでくれたのだ。


「おい!」

「ジャンヌがおかしいぞ」

と変な声がして

「姉はシャルルの前ではいつもああです」

呆れた弟の声がした。


でも私は無視だ。

「でも、可愛いかも」

誰かの声がして

「「「えっ」」」

「バリー、お前は頭がおかしくなったのか?」

ギョッとした声と弟の叫び声がしたんだけど


「ちょっと、あんた達、煩いわよ」

私は注意した。せっかく私が天使な息子のシャルルをあやしているのに、外野が煩い。

「そもそも、何故、ここにいるのよ?」

私が不機嫌に言うと


「「「お前が呼んだんだろうが!」」」

「そうだっけ?」

私の声に全員がずっこけているんだけど。


そうだ、思い出した。

私は用があると王太子たちを呼んだのだんだった。この前お願いした事は一週間くらいかかったから今回も一週間くらいかかるかなと思ったんだけど、今度はすぐに飛んで来てくれたみたいだ。

ちょっと早すぎるのだ。

私は自分の都合で勝手なことを考えていた。


「ジャンヌ、俺たちは暇ではないんだぞ」

「そうだよ、姉上。冗談で呼びつけるのなら止めてよね」

王太子のエドと弟のブライアンが文句を言ってくる。


「私も暇ではないわよ。可愛い天使な息子の世話があるんだから!」

「じゃあ呼ぶな!」

私の声にエドが叫ぶが、


「良いじゃない。天使な息子のシャルルを見てくれても。ブライアン、愚痴愚痴言っていると皆に10歳までおねしょしていたのばらすわよ」

「ばらしているじゃないか姉上!」

涙目でブライアンが文句を言ってくるんだけど。

やってしまった。でも、弟も私の機嫌を損なうから悪いのだ。


「あら、本当ね。つい口が滑ったわ」

私は笑って誤魔化した。


「殿下の秘密もばらしてしまいそう」

ついでにそう言ってやったら、


「ちょっと待て! それだけは絶対にやめて」

何かエドが必至に頼んでくるんだけど……エドの秘密ってなんだったっけ?

まあ、良いわ。これでこれからもこの一言でエドのタダ働きが決定した。


「でも、ジャンヌ様。俺たちもやらないといけないことがたくさんあって」

カーティスが下手に出てくるが、


「煩いわね。すぐに来るわよ」

「来るって、誰が?」

私の言葉に皆が不思議そうな顔をした時だ。


「キャっ」

「どけ、女」

そこに叫び声と、誰かが倒れる音がした。


そして、扉が蹴破られたのだ。


なんとトチ狂った男達が抜剣して叔母を先頭になだれ込んで来たのだ。


「ジャンヌ、よくもやってくれたわね」

伯母が叫んできた。


「あらあら、伯母様方、何の話かしら」

私は余裕で笑ってやった。


「しらばっくれないで。私達が今までいろいろやってきたのは、そこの乳飲み子に家督を譲ってやるためではないわ」

伯母は鬼の形相で言ってくれた。


「まあ、怖い」

私は怯えたふりをしてやった。


「ふん、今頃怯えても遅いんだよ」

「叔母様達は侯爵位に付くためにわが夫のシャルルを殺したの?」

「そうよ、あの子も素直に私達に家督を譲れば死ななくても済んだのよ」

伯母は大声で叫んでいたのだ。


「殿下、こんなこと言ってますけど」

私はエドに振ってあげた。


「「「で、殿下!」」」

みんな唖然とししている。


ここに王太子がいる事に気づいていなかったのだ。

本当に馬鹿だ。


「それは事実か。ブランドン」

エドは立ち上がって、抜剣している奴らを見渡した。


「貴様ら、控えおろう。王太子殿下の御前であるぞ」

カーティスが格好良く言っていた。

でも、この叔母たちが素直に聞くんだろうか?


私は訝しげに思ったが、


「はっ」

取り敢えず、伯父等は剣をしまって跪いた。

エドの権威もたまには役に立つんだ。

私は感心したのだ。


「で、ブランドン、貴様ら、シャルルだけでなく、その前の父親のヘクターまで殺したそうじゃないか」

エドが突きつけていた。

「いいや、そのような事は、ございません」

ブランドンは必死に言い訳するが、

「嘘を言うな。商人のエイミスが全て吐いたぞ。貴様らに頼まれた毒を渡したとな。ジャンヌも襲うようにお前たちが指示したそうではないか」

「そのような。エイミスが勝手に言っているだけでございます」

ブランドンが必死に言うが、

「言い訳は牢で聞こうか」

エドがそう言った時だ。


「ええい、何しているの。あなた。こうなったら殿下諸共殺すしかないわ」

立ち上がったバーバラが言い切ったのだ。

「ここにはほとんど護衛もいないのよ。こちらには騎士が100人もいるわ」

「えっ、しかし、お前。王族の殺害は処刑では」

「何を言っているの。貴族の殺害はみな処刑なのよ」

バーバラは開き直ったみたいだ。


その声に抜剣して騎士たちが私達を囲んだ。


エドたちも剣を抜く。


さあて、エド達はどれくらい強くなったんだろう。

ここはじっくり見せてもらいましょう。

私が高みの見物を決めた時だ。


「ジャンヌ、どうしたの。笑って。気でもおかしくなったのかしら」

バーバラが笑ってくれたのだ。


「もう遅いわよ。その乳飲み子を含めて殺してやるわ」

そう言うと伯母はシャルルに剣を向けたのだ。

天使な息子に!


その瞬間だ。私は完全にプッツン切れたのだ。


「私の天使な息子に剣先を向けるな!」

そう叫んだ時には私は雷撃を放っていた。


ズドーーーーン


一撃だった。

叔父たちは一瞬で黒焦げになっていた。そして、ぴくぴく震えてバタリと倒れたのだ。


ついでにエドたちも衝撃を避けきれずに吹っ飛んでいた。


「ジャンヌ、やる時は俺達を避けてやってくれ」

「すげえ、以前よりパワーアップしていないか」

エド達の声が響いたのだが……


でも、私はそれどころでは無かったのだ。


「おぎゃーーーーおぎゃーーーー」

いきなり天使な息子が泣き出したのだ。


「おお、よしよし、あのババアに剣を向けられて怖かったのね」

私があやすと


「いや、今のは絶対に怒り狂った姉上の顔が怖かったからだ」

ぼそりと呟いたブライアンをぎろりと睨むと


「嘘です。姉上」

慌てて謝りだしたんだけど、私はあやすのに忙しくてよく見ていなかったのだ。


こうして私は愛しの旦那様シャルル様の仇を討ったのだった。


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ここまで読んで頂いて有難うございました。

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話はまだまだ続きます


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