第6話 騎士達が飛んできましたが、私がやり合おうとしたら男が飛んできました

この糞野郎!

私は何も考えずに、その厭らしい男を殴り倒していた。

私の足に触ったのだ。シャルル様にしか触らせたことのない私のきれいな足に! 私は完全に切れていた。

天使な息子のために我慢するとか、シャルル様に言われて我慢していたリミッターが完全に飛んでいた。


私に殴り跳ばされた男はそのまま、壁に頭から突っ込んでいた。


ズドーン


大きな音がする。


それと同時に、壁の隠し扉が開いてわらわらと破落戸どもが出てきた。


「このあまあ! 旦那様になんて事してくれるんだ」

「者共、やってしまえ!」

男達は小刀を出して、私に斬りかかろうとしたが、完全に切れていた私は


「邪魔よ。おどき!」

そう叫ぶや、瞬時に雷撃を浴びせかけたのだ。


破落戸どもは瞬時に黒焦げになって、次の瞬間、痙攣して倒れてくれた。


怒り狂った私は、壁に頭を突きさして、もがいている、エイミスの股間に後ろから蹴りを入れてやったのだ。


「ギャッーーーー!」

エイミスの叫び声が聞こえたが、知ったことではない。


このクソ豚は許せなかった。


私はエイミスの服を掴むとぐいっと壁から出してポイしてやったのだ。


そして、手を離す。


ドン


という音とともにエイミスは地面に落ちた。


「た、助けてくれ」

股間を押さえて悶え苦しんでいるが、私を見るなり後退りしたのだ。


そして、逃げようとしたその鼻先に、剣を突きさしてやったのだ。


「ヒィィィィ」

男は失禁していた。


そのまま、落ちていた小刀を二本投げる。


ズブっズブっと

男の顔の周りに剣が突き刺って、男の顔が壁に固定されてしまった。


「お前は、今、私に何をした?」

ナイフを構えて私は言った。


「ヒィィィィ、許してくれ」


「その汚らしい手で、私のきれいな足に触ったわよね」

私はニヤリと笑ったのだ。


「も、申し訳ありません。ほんの出来心で」

「はああああ? お前は今、侯爵夫人の私に襲いかかろうとしたのよ」

「いえ、そのようなことは」


グサリっ

私はエイミスの股間の真下に剣を突き刺したのだ。

少しでも手元が狂ったら宦官になれただろう。


「ヒィィィぃ、も、申し訳ありませんでした。たのむ。いえ、頼みます。何でもしますから命だけはお助け下さい!」

低姿勢でエイミスが言うんただけど……


「最初からそうしていれば良かったのよ。でも、もう遅いわ。

普通は商人が貴族の令夫人に襲いかかったら処刑よ。処刑。まずは宮刑にして二度とあんたのものが立たないようにしてあげようか」

私が剣を股間に向けて言うと、

「何でもします! 借金は待ちます」

「待ちますだあ!」

私が眉をつり上げると

「いえ、半分に」

「たったの半分?」

「判りました。全て帳消しにさせて頂きます! だから、それだけはなんとか」

男は震えながら言うんだけど。


「借金の帳消しって、そんなの当然でしょ。それよりも慰謝料つけて払うのが当然でしょ」

私が凄むと

「えっ、でも金額が……」

私が何も言わずに剣を握り直すと

「ヒィィィぃ、そうさせて頂きます。慰謝料も払います」

エイミスは必死で頷いてきたのだ。


「ふんっ、そんな端金なんてどうでも良いけれど、それよりもあなた、私のシャルル様が何故死んだか知っているわよね」

私は聞いてやったのだ。


「えっ、いや、それは」

男はしどろもどろしたのだ。必死に誤魔化そうとしていた。

こいつは黒だ。私のカンがそう言っていた。



「何事だ?」

そこへ足音も大きく騎士団の連中が扉を開けて入ってきたのだ。

「エイデン様」

その先頭の男の顔を見た途端、エイミスは満面の笑みを浮かべたのだ。


「この女がいきなり借金を踏み倒してきたのです」

エイミスがそう言ったのだ。

「私が借金を返してほしいと言うといきなり襲いかかってきて、借金をチャラにしないと殺すと脅されたのです。それを断るとこの有り様で」

エイミスがペラペラ話してくれた。


「そう、今まで私の言う事は何でも聞くって言っていたのは嘘だったのね」

その言葉は私の怒りに火をつけたのだ。


「早く、この女を捕まえ……」

プッツン切れた私はエイミスの股間を思いっきり蹴飛ばしたのだ。


「ギャーーーーーーーーーーーーーー」

この世とも思えない叫び声を上げてエイミスは泡を吹いて気絶した。


「き、貴様。何をするのだ」

エイデンと呼ばれた男は剣を構えたのだ。


私の前で剣を構えるとはいい度胸だ。


「悪徳商人を退治しただけよ。あなたも味方するなら悪徳商人の仲間として一緒に退治してあげるわ」

「き、貴様、騎士団に逆らうのか」

「何が騎士団よ。騎士団がいつから女子供を守らないで、金の亡者の厭らしい老人の味方をするようになったの?」

「何だと、女、貴様聞いていれば言い気になりおって。ええい、この女を捕まえろ。抵抗するなら斬っても構わん」

エイデンははっきりと言ったのだ。

悪徳商人と結託した悪逆非道な騎士たちをやっつけても何も問題はないよね。

私はやる気満々だったのだ。


騎士たちが剣を抜いた。

私がまさに雷撃を浴びせようとした時だ。


「お前ら待て!」

大声を上げて入ってきた男がいた。


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