第32話 レベル上げ

~シャロンの日記~


 きのうはうれしいことが2つもありました!


 ひとつは、イケメンのお兄さんとかわいいおねえさんがきて、おねえちゃんのびょう気をなおしてくれたこと。


 シャロンが、となりにすんでいるお兄さんのおともだちのおねえさんに、おねえちゃんのびょう気をなおすはっぱがほしいっておねがいしたら、そのおねえさんががっこうの人におねがいしてくれたの!


 そしたら、きょう、イケメンのお兄さんがはっぱじゃなくておくすりをもってきてくれました。かわいいおねえさんが、おくすりをおねえちゃんにのませたら、おねえちゃんはすぐにげん気になりました!


 でも、おねえちゃんにおくすりをのませてくれたのはかわいいおねえさんなのに、おねえちゃんったらイケメンのお兄さんばっかりにありがとうをいって、おねえさんには1回もおれいをいわなかったの。かわいいおねえさんはちょっぴりさびしそうだったな。


 2つめのいいことは、おかあさんのびょうきもなおったこと!


 きのうのよる、みんながねたあと、くろいふくをきたおねえさんが、おくすりをおいていってくれたの。さいしょは、こっそり入ってきたからこわかったけど、おはなししているこえをきいて、おひるにきたかわいいおねえさんだってわかったら、すぐにこわくなくなったよ!


 ないしょにしているみたいだったから、シャロンはねたふりしてしてたんだけど、おねえさんは、ひとりなのにだれかとおはなししてるみたいだったな。


 それから、おねえさんはすぐにかえったから、シャロンはすぐにおねえちゃんをおこしたの。


 それで、おねえちゃんはおくすりをみてすぐにお母さんをおこして、そのおくすりをのませたの。 


 そしたらなんと、お母さんまでげん気になっちゃった!


 イケメンのお兄さんと、かわいいおねえさん、ほんとうにありがとう!



~~~~~~~



(アスカ、いいことしたな!)


(うん! あの薬でお母さんの呪いも治るといいね!)


(いきなりあんな薬が置いてあったら怪しいけど、お昼のこともあるから、きっと飲んでくれるだろうさ)


(そうだね。また明日にでもこっそり見に行ってみようね!)


(ああ、そうしてみようか。それにしても、サンタさんってこんな気分だったのかな?)


(ん? サンタさんって誰?)


(ああ、何と言えばいいか……お兄ちゃんの知り合いというか、1年に1回だけ子ども達にこっそりプレゼントを配ってまわるおじいさんのことさ)


(へー、そんなことしてくれるおじいさんがいるんだ。いいおじいさんだね!)


(まあ、いいおじいさんだね。それよりアスカ、明日から少しレベル上げをしようか)


(えっ? どうしたの急に?)


(いやぁ、目的もわかったし、準備は早い方がいいだろうと思ってね)


(そっかー、そうだよね。わかった! レベル上げ頑張るね!)


(それじゃあ、明日から2日間学院が休みだから、ちょっと遠出しようか)


(はーい!)


 こうして俺は、アスカにレベル上げすることを承諾させた。





▽▽▽





「へー、こんなところにも地下迷宮ダンジョンがあるんだね」


 次の日、俺はアスカをデスバレー峡谷に連れて行った。と言っても、空を飛んでいるアスカを案内しただけだが。


 デスバレー峡谷は前回アスカが転生したときに発見した地下迷宮ダンジョンで、地下130階層からならるかなり大きめの地下迷宮ダンジョンである。最奥には確か、地竜王アースロードというSS級の魔物がいたはずだ。

 ただ、そこまでいくとまた面倒くさいことになりそうなので、少し手前でS級を中心に倒しながらレベル上げをすることにした。


 それにしても、この場所はまだ人の手が入っていないようだった。とにかくここまで来るのに魔物が多くて大変なのが原因だろうか。それとも、クランホープのメンバーがこの場所を公表していないのだろうか。どちらにせよ、ひとりでレベル上げするには都合がいい。




 ひとりでひっそりと地下迷宮ダンジョンの中へと入る。アスカは初めての地下迷宮ダンジョンにちょっと興奮気味だが、俺は少々懐かしさを感じていた。なぜならここは、アスカがひとりでレベル上げしたところであり、アスカがミーシャとふたりでレベル上げをしたところでもあるから。

 

 アスカは魔物との戦闘経験は少ないものの、昔からよくキリバスやルークが戦っている姿を見ていたので戦闘のセンスは抜群によい。いや、センスと言うより身体が覚えているといった感じに見える。前世の記憶は全くないようだが、アスカが戦っている姿を見る限り、とても記憶を失っているとは思えない。


 戦い方や動きのクセも、前世のアスカにそっくりだし。


 最初は戦い方やスキルの使い方などを教えていたが、あっと言う間に教えることがなくなってしまい、もう何も言わなくても出てくる魔物を片っ端から倒している。


 地下迷宮ダンジョンに入ってからまだ半日も経っていないのに、すでに50階層に到達して、今はA級のカースバジリスクの首を気づかれる前に刈り取ったところだ。この調子で、A級だろうがS級だろうが関係なく、出てくる魔物が全てF級の魔物であるかのように、一撃で片付けていくアスカ。あぁ、デコピンで倒されたのはS級のヒュドラだな。あまりのスピードに3本の首がほぼ同時に消し飛んでしまった。


 この日だけでレベルは120に達し、次の日、100階層から130階層を行ったり来たりしてS級の魔物を中心に倒し、めでたくレベルがカンストしました。


 名前 アスカ・ライトベール 人族 女

 レベル 35(200)

 職業 なし

 HP 153(18625)

 MP  61(18635)

 攻撃力 146(18625)

 魔力   62(18645)

 耐久力 134(18625)

 敏捷  158(18635)

 運   211(18635)

 スキルポイント 102(200995)


 スキル

 剣術 Lv3(剣術 Lv5)

 (炎操作 Lv5)

 (風操作 Lv5)

 (水操作 Lv5)

 (土操作 Lv5)

 (氷操作 Lv5)

 (雷操作 Lv5)

 (光操作 Lv5)

 (闇操作 Lv5)

 (重力操作 Lv5)

 (時空操作 Lv5)

 (治癒 Lv5)

 (結界 Lv5)

 (全属性耐性 Lv5)

 (全状態異常耐性 Lv5)

 (思考加速 Lv5)

 身体強化 Lv2(身体強化 Lv5)

 (無詠唱)

 (魔力増大)

 (消費魔力半減)

 (魔力回復倍化 Lv5)

 (経験値倍化 Lv5)

 (経験値共有 Lv5)

 (スキルポイント倍化 Lv5)

 (ステータス補正 Lv5)

 (自動地図作成)

 (鑑定 Lv5)

 (隠蔽 Lv5)

 (探知 Lv5)

 (危機察知 Lv5)

 (鍛冶 Lv5)

 (錬金 Lv5)

 (付与 Lv5)

 (限界突破 Lv5)


 はい、ステータス5桁いただきました。最早、アスカが本気を出したらどうなるかわかりません。


 そして、もうこれ以上強くなれないと思っていたアスカがさらにとんでもない存在になってしまうできごとが、この後起こるのだった。いや、正確にはアスカにではなくて……

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