第28話 実践力向上研究会 2回目の依頼
あの後、学院に戻ったアスカは、 Aクラスのみんなと冒険者ギルドに行って素材を売ってから、家に帰ってきた。
初のレベル上げを十二分に楽しんだアスカは、家に帰ってきてからもご機嫌だ。それは、へたくそな鼻歌を歌いながら装備の手入れをしていることからも、間違いないだろう。
名前 アスカ・ライトベール(人族 女)
レベル 17
職業 学生
HP 9115
MP 9125
攻撃力 9115
魔力 9135
耐久力 9115
敏捷 9125
運 9125
スキルポイント 1525
レベルが17になったことで、アスカのステータスも800ほど上がっている。この調子なら、全てのステータスが5桁になる日も近そうだ。
これで、念願だったクラスメイトとのレベル上げを終えたアスカは、ソロでのレベル上げを解禁したようだ。今度、暇があるときにはレベル上げがてら色々なところに連れて行ってあげよう。
(あっ! 明日は研究会に参加しないとね! カケルさんに明日は来てくれって頼まれてるんだ!)
(む、思い出しただけで腹が立つ! カケルめ、何が目的でアスカを誘ったのだ!?)
(何言ってるのお兄ちゃん? 研究会でしょ。カケルさんが代表なんだから、アスカを誘うのは当たり前だよ!)
ちょっと腑に落ちないが、これ以上言うとアスカに嫌われちゃいそだから、ここはグッと我慢するか。
それからアスカは後から帰ってきたルークに、Sクラスのレベル上げの様子を聞いたり、逆にAクラスでのレベル上げの様子を話したりしていた。どうやら、Sクラスのメンバーもほとんどレベルが上がっていないようだ。まあ、あのクラスのメンバーはほとんどが高ランクだから、レベルが上がりづらいのもあるだろうが。
そして、ルークとアスカは明日の研究会の確認をしてからそれぞれ眠りにつくのだった。
▽▽▽
初のパーティーでのレベル上げの次の日は、午前中は魔物の生態について学び、午後はペアを作っての2対2の戦いの訓練をした。色々な組み合わせで行うことで、ペアと合わせて連携したり、相手のペアの連携を読んだりと中々ためになる訓練だった。今回のアスカは力をコントロールして参加したので、連携が上手く決まったり決まらなかったりして、楽しそうだった。
授業が終わると、アスカは軽い足取りで研究会用に借りている空き教室へと向かう。
「やあ、アスカ。久しぶりだね!」
「あ、カケルさんこんにちは! でも、久しぶりって言ってもまだ3日ぶりくらいですけど!」
クソッ! 青春を謳歌するようなこの会話に嫉妬を覚える!
「アスカ。元気にしてた?」
「あ、アオイさんもこんにちは! はい、アスカは今日も元気いっぱいです!」
うむ、アオイとの会話は何の心配もないな。むしろ、もっといっぱい話してくれてもいいんだぞ。
「アスカちゃんおひさー!」
「リンさん、お久しぶりですー!」
魔族のリンもフレンドリーにアスカに話しかけている。こいつ、まだバレてないつもりなんだろうな。一体、何が目的なのやら。
「ア、アスカちゃん今日もかわいいね!」
「マルコさんもこんにちは!」
黙れ変態マルコ! お前はアスカに話しかけるな!
「アスカ! 相変わらず細いな! しっかり食って、しっかり筋トレしてるか?」
「あはは、リックさんは相変わらずですね! ご飯はちゃんと食べてますよー!」
ここにもいたか筋肉バカが。アスカと腕相撲でもやってみろ。その太い腕が真っ二つに折れるぞ!
(お兄ちゃん、ただの挨拶で一回一回興奮しすぎだよ!)
(それだけ心配なんだよ、アスカのことが)
(もう、大丈夫なのに……)
さて、これで挨拶に参加しなかったルークも含め今日は全員参加だな。カケルがわざわざアスカを呼んで全員参加にしたってことは、何か理由があるのかな?
「みんな、今日は全員集まってくれてありがとう。ちょっと、人手がいる依頼が来たからみんなに手伝ってもらおうと思ってさ。いいだろうか?」
全員が揃ったところで、カケルが話を切り出した。
「実は、
ナトリ草か。
しかし、こんな依頼を格安で受けてしまっては世の中の経済バランスが崩れてしまう。そんなことがわからないほどカケルはバカじゃないはずだ。にもかかわらず、この依頼を受けるということは……
「その依頼主って誰なのですか?」
アスカも同じこと気になったのだろう、俺と同じ疑問を口にした。ってか、アスカって10歳だよね? 頭よすぎない?
「依頼主は2年生の先輩なのだが、どうやらその先輩も頼まれたらしくて、本当の依頼主は貧民街に住む子どもみたいなんだ。その先輩が言うには、その子のお姉さんが石化の病にかかってしまい、親は病弱な母親だけ、治そうにもそんな大金など払えるわけもないということらしい」
貧民街といえば、確か『ベン&ソニアマート』があったような気がしたが、あそこなら格安で売ってくれそうな気もするが。
「だけど、貧民街には『ベン&ソニアマート』があったような? あそこならもっと安く手に入るんじゃないかな?」
おお、ルークはその存在を覚えていたか。確か、小さい頃キリバスとソフィアに連れられて何度か行ったことあるからね。
「ああ、そんなことも言ってたな。僕は知らなかったんだけど、すごい良心的な薬屋が貧民街にあるらしいね。ただ、そこの店員が二人とも素材集めと近隣の町や村に薬を届けるとかで、二ヶ月ほど留守にしているみたいなんだ。それで、ダメ元で僕らのところに依頼を出してきたってわけなのさ」
へー、ベンとソニアはそんなことまでしてるんだ。確か、アスカと別れ際にレベルを70まで上げたんだっけか? 二人で二ヶ月も旅をするってことは、ベンはその時のスキルポイントで武術系のスキルを取得したのかな?
「んじゃ、早速、今日から探しに行くんかい?」
リンはそう言うが早いか、嬉しそうに立ち上がった。
「そういうことだ。確か、ナトリ草はチックの森だったな。明日は学院も休みだから、野営の準備をしてから出発しようぜ!」
リックも笑顔でリンに続く。
「おいおい、まだみんな行くって決めたわけじゃ……」
「あなたが受けるって決めたら、みんな反対するわけない。早く準備しましょう」
カケルの言葉を遮って、アオイもその場に立ち上がった。結局、アオイの発言が決め手となって、みんなでぞろぞろと教室を後にした。最後に残ったマルコが『お、女の子達と野営……!?」と言っているのが聞こえたが、気にしたら負けだろう。
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