第20話 ペット探し

「ところでカケルさんは、探知スキルを狙ってるんだよね? 他にも狙ってるスキルとかあるの?」


 とりあえず、ミュウが住んでいる家がある居住区に向かいながら、アスカがカケルに質問する。


「そうだね。探知と鑑定は取りたいと思ってる。まだ、どっちも選択肢には現れていないんだけどね」


「そうなんだ。スキルって、環境とか行動で選択肢が増えるんだよね?」


 アスカは俺が教えているから知っているはずだが、あえて知らない振りをして聞いているようだ。


「そうそう。だからペット探しの依頼も受けたし、他にも人間や魔物を探知する訓練とかもしてるんだよね」


「へー、そうなんですか」


(へー、そうなんだ)


「アスカは探知スキルは持っていないのかい?」


「えっ? あー、うん。探知はまだだったかなー? あははー」


 さすがはアスカ、嘘が下手くそだ。だが、カケルはあまり人を疑うことを知らないみたい。特に怪しむ素振りも見せず、『そうなのかー』なんて言ってるし。


「でも、アスカの知り合いが言ってたんだけど、探知を使うと自分中心に薄い魔力が広がっていく感じがして、その中に生き物がいると光る点になって見えるんだって! しかもー、その生き物の強さによって光の強さも変わるらしいよ!」


「そうなんだ。それは知らなかった。しかし、相手の強さもわかるなんて便利だな。……よし! ちょっと試してみようか。こんな感じかな……あ、選択肢に出た!?」


 なんと!? アスカのアドバイスでカケルのスキル選択欄に、探知が現れたようだ。


「カケルさんよかったですね!」


「ありがとう! これは嬉しいな! 早速、スキルを……よし! スキルポイントを475使って探知スキルをLv3にしたぞ!」


 カケルは確か、スキルポイントが900近くあったはずだから、選択さえできれば一気に上げることができるのか。


「おお、すごい! これが探知か!? わかる! わかる! おっ!? この一際強い光はアオイだな!」


 カケルは覚え立てのスキルを楽しそうに使っている。


「それに鑑定があると、光る点を鑑定することでその生物の情報がわかるらしいですよ!」


「そうなのか。それは是非とも鑑定を覚えたいな! ちなみに鑑定のアドバイスはないのかい?」


 カケルは探知の性能に満足したようで、嬉しそうな顔をしている。さらには、鑑定のアドバイスまでアスカに求める始末だ。だがしかし、そう上手くいくと思うなよ!


「うーん、鑑定はね、鑑定する対象の輪郭が青白く光って、その横に光るメッセージで情報が現れるらしいよ!」


「お、鑑定のアドバイスまであったのか。どれどれ……おおお! 鑑定も選択肢に現れた!」


 いや、なに上手くいっちゃってるの……。くそ、転生者はその辺りの補正でもあるのか!?


「あは、上手くいってよかったですね!」


「ありがとう、アスカ! これも早速……おお、できたできた! こっちはLv2でいいから175ポイント使ったよ。ちょっと、アスカを鑑定してみてもいいかい?」


 こいつ、さりげなくアスカを鑑定しようとしてやがる。なまじ悪気がないだけに、ついオッケーを出してしまいそうになるが、そうは問屋が卸さないぞ。


(よし、アスカ……)


「いいですよー!」


(ぐは!? アスカ、お兄ちゃんの意見を聞いておくれよ……)


(えー、どうせ隠蔽してるしいいじゃない!)


(いや、確かにそうなんだけど……アスカがじろじろ見られているようで、ちょっと嫌な気持ちが……)


(こっそり見られるよりいいじゃない)


 残念ながら阻止に失敗してしまった……


 ちなみにカケルが見たアスカのステータスは―――――


 名前 アスカ・ライトベール 人族 女

 レベル 30(2)

 職業 なし

 HP 143(8365)

 MP  51(8375)

 攻撃力 136(8365)

 魔力  52(8385)

 耐久力 124(8365)

 敏捷  148(8375)

 運   201(8375)

 スキルポイント 219(25)


 スキル

 剣術 Lv2(剣術 Lv5)

(炎操作 Lv5)

(風操作 Lv5)

(水操作 Lv5)

(土操作 Lv5)

(氷操作 Lv5)

(雷操作 Lv5)

(光操作 Lv5)

(闇操作 Lv5)

(重力操作 Lv5)

(時空操作 Lv5)

(治癒 Lv5)

(結界 Lv5)

(全属性耐性 Lv5)

(全状態異常耐性 Lv5)

(思考加速 Lv5)

 身体強化 Lv2(身体強化 Lv5)

(無詠唱)

(魔力増大)

(消費魔力半減)

(魔力回復倍化 Lv5)

(経験値倍化 Lv5)

(経験値共有 Lv5)

(スキルポイント倍化 Lv5)

(ステータス補正 Lv5)

(自動地図作成)

(鑑定 Lv5)

(隠蔽 Lv5)

(探知 Lv5)

(危機察知 Lv5)

(鍛冶 Lv5)

(錬金 Lv5)

(付与 Lv5)

(限界突破 Lv5)


(レベルは隠蔽しなくてもいいかとも思ったけど、さすがに2で入学してたらそれはそれで大事おおごとだよな)


 カケルはアスカのステータスを見て、ちょっと首を傾げたように見えたが、特に何も言うことはなかった。


「それじゃあ、カケルさん。早速、探知と鑑定でミラちゃんを探して下さい!」


「おっけー、おっけー。確か探知Lv3の範囲は……半径1kmってところか。この王都の広さならちょっと物足りないが、ないより全然ましだろう。まだ、慣れていないから時間かかるかもしれないけど任せてくれ!」


 カケルとアスカは居住区に入ったところで、いったん足を止めカケルが探知を始めた。といっても、俺もアスカも思考加速の中で探しながら移動していたので、とっくに目当てのミラちゃんは見つけていたわけだが……あえて言う必要もないだろう。

 ちなみにアスカは、無数にある点の中から、一発でお目当のミラちゃんを見つけやがった。これが運8000越えの力か。ただ、ここから3kmほどのところにいるから、カケルの探知にはかからないな。その辺りは、アスカに上手く誘導してもらおう。

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