第8話 アスカ無双!

 前にはゴブリン7匹、後ろからはゴブリンナイト1匹とゴブリン3匹。ルーク達4人には絶対絶命のピンチに見えたのだが……


「エリーさんさがってて」


 アスカはエリーを下がらせると……


(お兄ちゃん、お願い!)


(よしきた!)


 俺は、事前の打ち合わせ通りにスキルをつけていく。


 《鑑定》


 名前 アスカ・ライトベール(人族 女)

 レベル 1

 職業 子ども

 HP 20(8315)

 MP 10(8325)

 攻撃力 12(8315)

 魔力  12(8335)

 耐久力 12(8315)

 敏捷  12(8325)

 運   8325

 スキルポイント 0


 スキル

 (剣術 Lv5)

 (炎操作 Lv5)

 (風操作 Lv5)

 (水操作 Lv5)

 (土操作 Lv5)

 (氷操作 Lv5)

 (雷操作 Lv5)

 (光操作 Lv5)

 (闇操作 Lv5)

 (重力操作 Lv5)

 (時空操作 Lv5)

 (治癒 Lv5)

 (結界 Lv5)

 (全属性耐性 Lv5)

 (全状態異常耐性 Lv5)

 (思考加速 Lv5)

 (身体強化 Lv5)

 (無詠唱)

 (魔力増大)

 (消費魔力半減)

 (魔力回復倍化 Lv5)

 (経験値倍化 Lv5)

 (経験値共有 Lv5)

 (スキルポイント倍化 Lv5)

 (ステータス補正 Lv5)

 (自動地図作成)

 (鑑定 Lv5)

 (隠蔽 Lv5)

 (探知 Lv5)

 (危機察知 Lv5)

 (鍛冶 Lv5)

 (錬金 Lv5)

 (付与 Lv5)

 (限界突破 Lv5)


 ※3歳までは赤ん坊補正、10歳まで子ども補正がかかる


 おお、懐かしくて以前と同じようにつけてしまった!


 これだと、身体強化でステータスが3倍、剣術スキルで剣での攻撃は速さも威力も2倍。元が低いけど6倍もあれば、ゴブリンナイトくらいなら、余裕で倒せるだろう。


「アスカ、エリー逃げるん……だ?」


 ルークが背後から斬られるのを覚悟で、ゴブリンナイトに向かっていこうとしたのだが、その時にはすでにゴブリンナイト首が落ちていた。


 アスカの水色の剣が、ゴブリンナイトの剣ごと首を刈り取ったのだ。


「ガッ!?」


 さらに、呆気にとられているゴブリン3匹の心臓をそれぞれ一撃で貫く。


 素のステータスが大したことないので、目にも留まらぬとは言い難いが、E、Fランクの目には十分神速に見えたであろう、あっという間の出来事だった。


「ルーク、あぶないよ。物理防御フィジカルディフェンス!」


 アスカは、背後からゴブリンに襲われているルークに、結界 Lv1の物理防御フィジカルディフェンスをかける。MPは少ないが、この程度の魔法なら問題ない。


 ギィン!


 ゴブリンの粗末な短剣が、アスカの張った結界に阻まれ弾き返される。


「なっ!? なんで? 結界?」


 最早、目の前の出来事に思考が追いついていないルーク。


「ルーク! こっちはおわったんだから、はやくそっちもたおしちゃってよ! それともそっちもわたしがたおす?」


 すでに思考停止状態のルークだが、アスカの声に身体が反応したようで、再びゴブリンとの戦闘を再開した。さすが、キリバスの訓練を半年間も繰り返しただけのことはある。


 後ろの心配がなくなったのと、時間制限がなくなったので、かなり余裕が出てきたのか、その後は危なげなく2人でゴブリン10匹を倒しきった。


「ハァハァ、終わった……のですかね?」


 ただ、余裕があったとはいえ、さすがのマルコも、一度に3匹も相手にしていただけあって、お疲れのようだ。


「2人とも大丈夫?」


 エリーは戦闘が終わったルークとマルコに近寄り、ケガがないか確認している。


 そしてみんなの脳内に響き渡るファンファーレ。


「あ、レベルがあがった!」


 初めてのレベルアップに無邪気に喜んでいるアスカ。そんなアスカを見て、ルークは思い出したかのように矢継ぎ早に質問してきた。


「アスカ! さっきのは何だ!? 何で6歳のお前が、ゴブリンナイトを一撃で倒せるんだよ!? それに、お前俺に結界を張らなかったか? 一体どうなっちゃってんだよ!?」


「うーん、アスカよくわかんない! でも、パパとママにはないしょにしてね!」


 これまた事前に用意しておいたセリフを、脳天気に読み上げるアスカ。こんな言い訳で納得するわけないが、わからないの一点張りで突っぱねれば、いずれ相手が根負けするだろう。


 案の定、しばらくすると最後までしつこく聞いて来たルークも、渋々引き下がった。


「どうやらここが行き止まりのようですので、この洞窟にはもうゴブリンはいないみたいですね」


 いつまでも言い争いをしていても仕方がないので、とりあえずみんなで奥へと進む。すると、ゴブリンが10匹固まっていたところが洞窟の最深部らしく、行き止まりになっていたので、マルコがそう判断を下した。


「よし、戻ろう」


 来た時同様、ルークが先頭となって洞窟の入り口を目指して歩く。外に出ると、まだ日は高くお昼になったばかりだった。


「うわ、まだ昼なのか!?」


 しかし、ルーク達は実際の時間より長く洞窟に潜っていた気がしていたようで、まだ昼になったばかりだということに驚いている。


「とりあえず、王都に戻りましょう。僕はもうくたくたです」


 マルコの一言にルークもエリーも頷き、来た時よりも急ぎ足で王都へと帰っていった。


 家に着いたルークは、どこに出かけていたのかソフィアに問い詰められ、あっさりと洞窟へ行ったことをしゃべってしまった。そして、ソフィアにしこたま怒られたあと、帰ってきたキリバスにも怒られていた。特に、エリーとアスカを危険に晒してしまったことを強く叱られていたようだ。


 ただし、ルークもそれは痛いほど反省しているようで、泣きながら謝罪していた。


 俺にしてみれば、ちょっと調子に乗っていたルークが、勉強するいい機会になったんじゃないかと思う。まあ、そのためにアスカが一緒に行くと言ったときに止めなかったんだけどね。


 そして、このちょっとした大冒険の後から、アスカに対するルークの態度が変わったのは、言わずもがなである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る