糸と蜘蛛/犬若丸

◆作品URL

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895370012


◆レビュー

「追うものと追われるもの、追うものもまた追われ、終わりなき輪廻」


主人公の少女と地獄と呼ばれるところで遭遇した男の生き方が交錯する話です。

表現に難解なところが多く、言い回しもやや迂遠であることから、じっくり腰を据えて読む方向けの作品だと感じました。


ただ、難解に見える理由の一つが文章がブロック分けされていない(空行がほとんどない)ことも理由の一つにあるかと思われます。

そのためか、話の内容がすっと頭に入ってこない印象を受けました。

とはいえ、ストーリー自体は重めではあるものの、内容自体はいたって素直な展開になっていると思いました。


ジャンルが現代ファンタジーになっておりますが、カクヨムの現代ファンタジーの主流作品とは作風が異なっており、どちらかと言えばミステリー寄りの作品かなと感じました。

これは描写が細かい点から考えても、ミステリー(推理小説ではなく一般的なミステリー)の方がしっくりきます。


構成として、主人公の少女の話が10話くらい続いて、その後で初めて男の話に移っていくような感じなので、展開が遅く感じるのと、それぞれの話が長いため男の話の終わり頃には少女の話の内容がおぼろげになってきてしまいました。

別の作品でも書きましたが、カクヨムの仕様的に、文章の先頭に前話のリンク、最後に次話のリンクがある形なので、前から順番に読んでいくという作りにしないと、読者がストレスを感じやすくなります。(なろうだと、上下に前後の話のリンクがあるので気になりにくい)


そういった点からも、カクヨムで読ませるのであれば、1~2話ごとに切り替えて交互に進めていく方が良いのかなと感じました。

もっとも、カクヨムでの想定は、一般的なラノベ形態である、主人公一人称視点+ときどき1話だけ別の視点、だと思われます。


それゆえに、空行などの書き方の問題を除けば、この作品はカクヨムだと内容の良さに対して、読まれにくいように感じました。

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