第104話 アソパを追いかけろ!
ようやくアソパの野郎を見つけた! だけど、あいつは私とティノちゃんの相手をジャッジメントライトの戦士に任せ、逃げ出した!
「ウガアアアアア!」
「エクス・シルバハート! ぶっ殺す!」
ジャッジメントライトの戦士はストッパーブレイクを使ったせいか、私とティノちゃんを殺す以外のことを考えていない。ジャッジメントライトにとって、使いやすい戦闘マシーンになってしまったようだ。
「かかって来るなら、やられる覚悟を持って来なさい!」
私は剣を振りながら、迫るジャッジメントライトの戦士を斬って行った。ティノちゃんも魔力を使って攻撃を始めた。私とティノちゃんの攻撃を受けたジャッジメントライトの戦士は倒れ、吹き飛ばされて行った。だがそれでも、奴らは立ち上がる。
「グググググ……」
「殺す……エクス・シルバハート……ティノ・オーダラビト……絶対に殺す!」
「グフゥ……殺す……殺す!」
もう。呆れるほどの生命力だ。結構深く傷つけたのに、まだ立ち上がるのか。
「どうします、エクスさん? あいつらの相手をしていたら、アソパを逃がしますよ」
「そうねぇ。気絶させるってことも考えたいけど、今のあいつらは気絶しなさそうね」
「ええ。動きを封じるために両足を斬り落としても、這ってでも追って来そうですね」
「そこが怖いのよねー。本当にどうしようかしら」
私が考えていると、ジャッジメントライトの戦士が私とティノちゃんに襲い掛かって来た。
「本当にしょうがない奴らね。その程度の実力で私とティノちゃんに勝てるはずがないのに」
私はそう言いながら、ジャッジメントライトの戦士を返り討ちにした。その後、後ろから迫るジャッジメントライトの戦士を対処しながら、私とティノちゃんはアソパを追うことにした。
「あいつ、どこに行ったのかしら?」
「扉を見てください。挑発をしているのかどうか分かりませんが、扉が開けっぱなしです。まるで、私はここですよって言っているように見えます」
「挑発ね。まるで遊んでいるかのように見えるわ。ささっと追いついてぶっ倒しましょう」
私はティノちゃんにそう言うと、開けっ放しの扉の先の部屋へ向かった。すると、無数の弾丸が私とティノちゃんに向かって飛んで来た。
「ティノちゃん、後ろに下がって」
「はい」
私は剣を振り回し、飛んで来た弾丸を斬り落とした。その直後、スナイパーライフルを持ったジャッジメントライトの戦士が姿を見せ、再び私に銃口を向けて引き金を引いた。
「そんなもんで私を倒せると思わないでよね」
再び飛んでくる弾丸を見て、私はもう一度剣を振り回して弾丸を斬り落とした。その時、私はティノちゃんにこう言った。
「どんな魔力でもいいから、あいつらの動きを止めることってできる?」
「お任せください」
ティノちゃんは水の魔力を発し、霧状にした。そして、霧をジャッジメントライトの戦士に向けて動かし、魔力を動かした。
「凍ってください!」
その直後、霧は凍り、包んでいたジャッジメントライトの戦士も凍ってしまった。これでうざい弾丸が飛んで来ることはないだろう。私は周囲を見回し、開いている扉を見つけた。
「それじゃあ次に行くわよ、ティノちゃん」
「はい」
私とティノちゃんは話をし、次の部屋へ向かった。
一体アソパはどこへ行ったのだろう。屋上にでも行ったのか? 私がそう思っていると、どこからか剣が飛んで来た。
「何か罠に引っかかったのかしら?」
私は飛んで来た剣を見て呟いたが、特に変わった所がない、普通の剣だった。ティノちゃんは周囲を見回し、私の肩を叩いた。
「この部屋、何かおかしいです。至る所に剣や槍が置いてあります」
「そうね……さっきの剣みたいに動くかもしれないし、気を付けて動きましょう」
私がそう言うと、少し離れた所にあった槍が少し動いた。私とティノちゃんは素早くしゃがみ、飛んでくる槍をかわした。
「やっぱり何か変よ、この部屋! 武器が飛んでくる!」
「まさかポルターガイストですか?」
「考えてティノちゃん。相手の都合に合わせて怪奇現象が起きるはずがないわ! これはきっと、敵の攻撃よ!」
私はそう言いながら、飛んでくる剣や槍を剣で叩き落とした。しばらく攻撃をしていると、飛んでくる武器はなくなった。
「ふぅ……これでもう何かが飛んで来ることはないでしょう」
「よかった。でも、どうして急にこんなことが……」
「敵が何かを仕掛けたのよ。重たいものを自由自在に動かせるほどの魔力を持ってる奴がいるのよ」
「厄介ですね……」
私とティノちゃんが話をしていると、前から魔力を感じた。これは敵の魔力だろうけど、他のジャッジメントライトの戦士の魔力と違ってかなり強い。それ相当に強い奴がいるのだろう。
「さっきの攻撃を仕掛けた奴がいるわね」
「強い魔力です。ラーパって言ってたおばさんよりも強いかもしれません」
「上等よ。相手が強ければそれだけ熱くなる」
「熱くなりすぎて冷静さを失わないでくださいね」
と、ティノちゃんが心配しながらこう言った。その後、私とティノちゃんは奥の部屋へ向かった。そこにいたのは、三十代くらいの男だった。そいつの周りには、ギルドの戦士が倒れていた。
「お初にお目にかかります。あなたがエクス・シルバハートですね。野蛮な人だからゴリラのような見た目だと思ったんですが、綺麗な人ですね。まるでグラビアアイドルだ」
「褒めても何も出てこないわよ。それよりも、そこで倒れているギルドの戦士をやったのはあんた?」
「その通りです。野蛮人は死んでもらいました。何を言ってももう聞こえないでしょう」
その言葉を聞き、私は男に向かって斬りかかった。男は魔力を解放し、私の攻撃を左手だけで防いでいた。
「美しい人ですが、やはり脳内はゴリラのようですね。仲間が殺されたことを知って、斬りかかるなんて……」
「ゴリラで上等! あんたみたいなクソ野郎は私が斬ってやるわよ!」
「恐ろしい人たちだ」
と言って、奴は魔力を解放して私を後ろに吹き飛ばし、自身は後ろに飛んだ。その直後、ティノちゃんが発した巨大な氷柱が地面から出てきたが、奴はその攻撃をかわした。
「結構強敵ですね。かすかな魔力を使って攻撃を仕掛けたんですが……」
「少量の魔力は察知しにくいですが、私は察知できます。どれだけ弱い魔力でも、探知できる自信があります」
「へぇ。それだけ強いってことね」
「そういうことです」
奴はそう言うと、魔力を解放した。だけど、一体何をしたのか分からない。
「何が起きたか分からないって顔をしていますね。ま、いずれ分かりますよ」
「いずれ分かる? どういうこと?」
私がこう聞くと、奴が座っていたソファが動き出した。ソファは私に向かって飛んで来たが。所詮は安物のソファだ。斬って真っ二つにすれば対処できる。
「これでソファは使い物にならなくなったわね」
「確かにそうですね。これじゃあ座ることも横になって昼寝もできません。ですが、攻撃用の武器としてはまだ使えます」
奴がこう言った直後、真っ二つになったソファは宙に浮いた。それを見た私は驚いたが、ティノちゃんが火の魔力を使ってソファを消し炭にした。
「どんなトリックを使っているか分かりませんが、とにかく奴を攻撃しましょう!」
「そうね。最初は驚いたけど、本体を叩けばどうにかなる!」
私とティノちゃんは奴に向かって襲い掛かったが、死んだはずのギルドの戦士たちが立ち上がり、私とティノちゃんの攻撃を防いだ。
「な……何で?」
「死んだはずなのに……」
「分からなくて結構。エクス・シルバハート、ティノ・オーダラビト。あなたたちはここでこの私、ハモニッカの手で命を落とすことになるんです」
ハモニッカはにやりと笑いながらこう言った。この野郎……一体どんなトリックを使っているのよ!
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